今日念願だった”マーロウ”(22年)をやっと見る事が出来た。昨年劇場公開されたロスアンジェルスに住むフィリップ・マーロウが主役で演じたのはリーアム・ニーソンである。まあ、フィリップ・マーロウと言えば私立探偵の代名詞みたいなものだがその昔はハンフリー・ボガードの当たり役として長年親しまれて来た。原作を書いているのは言わずと知れたレイモンド・チャンドラーで1930年代のロスアンジェルスを舞台に”大いなる眠り”を始め”さらば愛しき女よ”などまで7本の長編小説が出版されている。

 

 

それら一連の原作が映画化されロバート・ミッチャム、エリオット・グードル等がマーロウを演じているのだがハンフリー・ボガードを超すハードボイルドさは生まれて来なかった。今回のリーアム・ニーソンも、、実はかなり期待していたのだが残念乍らハンフリー・マーロウを超える事は叶わなかった。ボクの印象としては数年前に公開されたマット・スカダー私立探偵の方が断然魅力的だった気がする。そのマット・スカダーものは原作がローレンス・ブロックで同じロスを背景に書き上げたもの、マイケル・コナリーが描くところの”ボッシュ刑事(後に私立探偵)”と並びかなり好きな作品である。

 

 

(こっちがマット・スカダーを演じたリーアム・ニーソン)

 

今回の新作、”Marlowe"、は原題、邦題では”探偵マーロウ”としか表示されていないのだが拝見すると元ネタは明らかに”黒い瞳のブロンド”で実際に書かれたのは2014年の事であり作者もチャンドラーではなくベンジャミン・ブラックである。映画は冒頭、マーロウの事務所へ美女が訪ねて来る(これは私立探偵ものの常道)そしてそのキャベンディッシュ(ダイアン・クルーガー)が行方知らずになっているダンナを探して欲しい、、となる。

 

プロットは良いしのっけから謎解きムード満載ではあるのだがこれは脚本のせいなのかどうにもどっぷりハマる事が出来なかった。どうしてもマット・スカダーを演じた時のリーアム・ニーソンが記憶に残っていてこっちのマーロウ私立探偵にすっぽり浸かる事が出来なかった。そう言えばこの前日再見した、ジェイク・ギティスに扮したジャック・ニコルソン、”チャイナタウン”の残像が強く残っていてクライマックスになってもギティス私立探偵とフェイ・ダナウェイの妖艶な姿を忘れ去る事が出来なかった。

 

 

(これが”チャイナタウン”でのジャック・ニコルソンとフェイ・ダナウェイ、監督はロマン・ポランスキ)

 

公開されたのが1974年ともう50年も前になるのだが今見てもちっとも色褪せてない。ハンフリー・ボガードの私立探偵振りと遜色ない探偵振りで22年に公開された”探偵マーロウ”を完全に押しのけていた。


2日間の間にこうして同類の私立探偵ものを見てしまうとその差は歴然としている。これまで鑑賞したなかでハンフリー版を別にしてゲティスを演じたジャック・ニコルソンを越える私立探偵は現れた事がない、、。無論それは映画の出来がずば抜けて良いと言うことである。