当たり前のことをやる難しさ | 豊洲で働くビジネスマンのアメブロ

当たり前のことをやる難しさ

日本製鉄の転生と言う本を読んだ。



現在はUSスチール買収でニュースを賑わせているが、5年前には過去最大赤字4,300億円を計上していた企業の変革を描いたノンフィクションである。


その変革の主役は、現在代表取締役会長兼CEOである橋本氏である。


本を読み進めるとわかるが、橋本氏が推し進めた変革に、奇策や妙手はない。データや数字から見れば、当たり前の打ち手なのだが、グループ総勢11万人の社員がいる大企業で、その当たり前をやり通す胆力と行動力が何よりすごいのである。


例えば、製鉄所はその規模を考えると、地域の雇用を担っているので、閉鎖するという判断は簡単ではない。また、そのような状況下では、その地域の自治体が圧をかけてくることもあるだろう。そのような環境下で、生産高に対して、生産設備が余剰であるという当たり前の理屈から、閉鎖の判断をするのである。


思えば、歴史がある大企業であればあるほど、そこに関わるステークホルダーや過去のいきさつが複雑に絡み合い、理屈としては正しい判断を難しいものにしているのだ、と言うことをこの本を読むとよく分かる。


当たり前のことをやる難しさと、その先にある希望を教えてくれる1冊である。