イタリアのひと、こと、ものとほん -7ページ目

イタリアのひと、こと、ものとほん

non ragioniam di lor, ma guarda e passa.

アパートの前のボスケット通りをコロッセオ方面に進み、広場まで行かずにジンガリ通りを左手に曲がるとやがて現れるのが、「アンジェロ・マイ」(Angelo Mai)へ続く年季の入った、薄暗い階段であった。


アンジェロ・マイは、かつての寄宿学校の建物を利用したアートスペースである。
おしゃれな言い方をすればそうなるが、コンクリート打ちっぱなしで全体的に古い建物だった印象がある。


階段を上りきると、校庭と呼ぶには少し狭い空間に出る。
周りを灰色の校舎がぐるりと囲んでいる。
砂埃が立つ中、片隅にテーブルと椅子がぽんと置かれている。


ある夜は映画の上映会が開かれ、入り口では豆のスープが振舞われていた。
上映前には重低音の音楽が流れ、緑や青の光がちかちかと壁に踊っていた。
映画の内容は哲学的すぎて覚えていないが、とにかく私はその異空間にすっかり見惚れてしまった。


朗読会や演劇が行われることもあった。
夜のイベントだけではなく、日中には校庭で中古の家具や自転車の競売が行われたりもしていた。
いつか長年イタリアに住むことになったら、ここで色々手に入れようと思っていた。


移転後足を運んだことはないが、今はこの場所は閉鎖され、チルコマッシモ近くに移ったらしい。
アンジェロ・マイが今も変わらず、あの幻想的な空気を帯びていたらいいと思う。


http://www.angelomai.org/ (ANGELO MAI公式ページ)