4日前の金曜日、
台北から向かった先は蘇澳(スーアオ)という町だった。
台湾の北東部にある。
今回の旅もまた、
最近のいつもの旅と同じように、
目的地があって決めたものではなかった。
たまたま4日ほどのシゴトのオフがあり、
たまたま特典航空券の予約ができた、
ということから台湾行きが決まった。
出発4日前のことだった。
その後、
どこに行こうか思案したのである。
正直、どこでもよかった。
ただ、
台北でブラブラ過ごすだけではもったいない気がした。
そこで。
とりあえず最新版の『地球の歩き方』を買って、
眺めてみたりした。
こういうときは、
まずはアナログ情報から見当をつける。
いきなりネットの世界を覗くと、
玉石混交の無限の情報に溺れてしまうからだ。
つまりは、
古いアナログ人間である、ということか。
そんなテキトーな「調べ」の中で興味をもったのが蘇澳だったのだ。
山と海に囲まれた小さな町で、
世界的にも珍しい炭酸カルシウム冷泉が湧くという。
それだけで、
行くと決意するに充分だった。
客室の風呂で冷泉に入れる、
という宿も出発前に予約しておいた。
台北のホテルを出たのは11時過ぎだった。
朝食、マッサージ、コーヒー、と
出発までにやりたいことはすべてできた。
蘇澳へは鉄道でもバスでも行けるようだが、
今回は鉄道にした。
台北駅へ行く。
切符は前日に買っておいた。
台北から蘇澳新(スーアオシン)駅まで特急で行き、
そこで普通列車に乗り換えて蘇澳駅まで1駅、という行程である。
この特急、
かなり混んでいるようで、
日本出発前から台湾鐡道(台鐵)のウェブサイトで何度も予約を試みたが、
ずっと満席表示だった。
前日、空港から台北駅に着いた際、
駅の券売機でも同様だった。
最終手段としては、
普通列車やバスで行く手もある。
しかし、
ヒマに任せてしつこく何度も券売機の操作をしていたところ、
ついに入手に至ったのである。
粘り勝ち、か。
気ままな独り旅だからこそ、
なんとかなることもある。
こちらが、
苦労して手にした切符。
始発駅ではないため、出発時刻少し前に入線してきた。
車内。
リアルに満席となる。
すぐに台北駅を出発した。
自分の席は、テーブルを前に向かい合うボックスシートだった。
上の画像の左のような席。
着席したのは別の席である。
自分の席は、
進行方向を背にした通路側。
他の3席には、
母親と乳児も含む3人の子どもが座った。
父親は離れた席の様子。
居心地が悪いし、
先方も望むのではないかと思って、
父親との座席交換をこちらから申し出てみた。
最初は交換しましょう、
みたいに言われたが、
すぐにそのままでよいと言われた。
乳児は大きな声で叫び、
窓の日よけを開けたり閉めたりと忙しい。
父親からすれば、
しばし独りの時間を持ちたかったのかもしれない、
などと勝手に想像した。
開けたり閉めたりならよいが、
窓の日よけはついに閉められてしまった。
車窓を楽しめない。
反対側は、進行方向に向かって座っている人たち。
つまりは、視線がぶつかる(スマホやゲームを目を落としている人が大半だが)。
自分もスマホを眺めるか目を閉じるか、
あるいは持参した水を飲むか、しかない。
せっかくの鉄道旅も、楽しさ半減以下である。
全席座席指定の特急に乗れただけ感謝、か。
列車はいくつかの駅に停まって走る。
台北から1時間あまりの礁溪(ジャオシー)駅で、
族連れなど多くの客が下りた。
ここは台北から近い温泉リゾート地らしい。
車内がいっきに静かになるが、
同席の家族連れはそのままである。
ただ、下車準備を始めたので、
もうすぐ目的地らしい。
お母さんが、どこから来たのか、
と英語で話しかけてきた。
日本と答える。
わあ、というような反応。
息子さんが持っていた黒いリュックを見せられる。
そこには「JAPAN」と記されていた。
少年野球をやっているそうで、
日本の野球にも興味を持っているらしかった。
ほどなくして到着した宜蘭(イーラン)駅で、その家族は下車した。
乗車するより下車していく客が圧倒的に多く、
車内はこんなカンジになった。
4名テーブル席独占。
しっかりと外も眺められるようになった。
反対側も空席だらけに。
ようやく鉄道旅の嬉しさを感じてくるも、
ほぼ定刻の13時45分頃には、蘇澳新駅に到着した。
出発する列車をホームで見送りつつ撮影。
乗り換えに30分ほど時間があるので、
いったん改札を出た。
改札横にあった周辺地図。
人は少ない。
眼下にホーム。
出口の前には客待ちタクシー数台と、巨大な工場。
反対側の出口は駐車車両オンリー。
店の類は一切なかった。
幹線上の「新駅」ゆえ、
町中の駅ではないとみえる。
蘇澳行きの列車は14時15分頃に到着し、すぐに発車した。
車内はこんな様子。
乗客は少なかった。
蘇澳新駅から蘇澳駅までは枝分かれした支線のような路線で5分ほど。
ようやく到着した終着駅。
のんびりとした雰囲気が漂う。
空気も穏やかに感じられ、
嬉しい気分になる。
駅前の様子。
駅舎。
駅を背に、青空の中を歩く。
すぐに大通りに出た。
まずは予約済みの宿に向かおうと思った。




















