おとといは熊本県の菊池温泉で一夜を過ごした。
「菊池飛行場ミュージアム」を見学したかったので、近くで前泊したのである。
福岡空港からレンタカーを走らせて「筑前町立大刀洗平和記念館」と八女市の「平和の火」を見た後だ。
予約していた「宝来館」に着いたのは17時半過ぎだった。
女将さんと思われる方が笑顔で出迎えてくれた。
「きのうは菊池がテレビで全国に知れ渡りまして」
と言う。
テレビを見ていないので何があったのかわからない。
聞けば、全国で最高気温がもっとも高かったらしい。
たしかに、暑い。
2階の部屋は暑いから、ということで、1階の12畳もある広い部屋に案内された。
浴室も目の前で、ありがたい。
さっそく入浴。
誰もいないことを確認し、先に撮影しておいた。
加温も加水もしない源泉掛け流しの温泉である。
最初はかなり熱く感じられたが、気合いで身を沈めればじわりと肌に浸透していく感覚がした。
肌がツルツルになるのも温泉効果だ。
夕食は個室に用意された。
風呂上がりであり、かつアルコール摂取は5日ぶりでもあり、ビールの味がする。
すでに並んだ料理の後からも、
まだまだ運ばれてきた。
女将さんからは、いろいろな話を聞いた。
菊池温泉が歓楽温泉として賑わっていた頃のこと、
震災時にはたいした被害はなく、逆に復興関連の人たちの宿泊で盛況だったことなど。
豚足にしては臭みがなくて美味しいので尋ねた料理は、馬のアキレス腱だとおしえてくれた。
後から運ばれてきた料理と一緒に、追加でその馬のアキレス腱を出してくれた。
そういう気遣いは、とても嬉しい。
ビール2本の後には酒にした。
「おーい、と呼んでいただければ、すぐに持ってきますから」
と言われていたが、さすがに「おーい」などと言えない。
部屋から顔を出して、
「すみませーん」
と、向かいの厨房に声をかけた。
1種類しかないという冷酒は純米酒の朱盃で、料理に合って美味しかった。
茶そばとメロンで終宴とする。
白飯はとても食べられないので辞した。
部屋に戻れば布団が敷かれている。
これでいつでも寝られる。
寝酒にハイボール。
館内に自販機もないし、コンビニで調達もしてきていなかったので、厨房に声をかけた。
娘さん(若女将?)と思われる方が持ってきてくれた。
ハイボールを飲み干してすぐ、倒れるように寝た。
きのうの朝。
前夜同様に貸し切り状態で風呂に入った。
熱い湯に目が覚める。
8時から朝食。
かなりの品数が並び、食べきれないほどだった。
ご飯は地元の米だと女将さんが言っていた。
農家の友人から直接買っているそうだ。
食後、ロビーへ。
コーヒーをいただくためだ。
カップは好みのものを選べるのが嬉しい。
ユニークな器もあって迷ったが、こちらにした。
部屋へ持ち帰って飲んだ。
前日に八女市のお店でいただいたビワも食してみた。
甘さはなく、若干のエグさがあった。
しかし、これが自然の味なのだろうとも思った。
快適な一夜だった。
今回は温泉目的ではなく、たまたま泊まっただけだった。
しかし、結果としては久しぶりに大正解だったようだ。
宿を去る。
宿泊代はYahoo!トラベルからの予約時にクレジットカード決済していたので、入湯税と酒代のみ支払った。
女将さんに礼を伝える。
わずかではあるが、
「お釣りは結構ですので」
がこういうときにこそ活きるのだと実感した。
冷蔵庫に残したビワのことも伝えた。
食べます、と言ってくれてよかった。
宿の前の碑を眺める。
歴史は浅い温泉だが、良い雰囲気で気に入った。
目的地である「菊池飛行場ミュージアム」までは20分とかからなかった。
隣接する道の駅の駐車場に車を停め、歩いて行った。
10時開館と書かれていたが、3分前に扉に手をかけたら開いた。
フライングで中に入る。
無人で、入館料の200円を箱に入れた。
横に置かれた資料ももらうことにする。
資料代は100円と記されていた。
財布の中に100円玉は残っていなかった。
そこで、わずかな寄付も兼ねて500円玉を入れた。
館内の資料は撮影禁止とのことなので、画像はない。
ゆっくり時間をかけて見学した。
途中、スタッフの方が来て事務室に入り、すぐにまた出て行った。
来館者は誰ひとりとして現れなかった。
道の駅に入る。
当地の名産品だというメロンを1個だけ買い、母と姉宛にお土産として発送しておいた。
阿蘇くまもと空港近くのレンタカー営業所に着いたのは11時15分頃だった。
車を返却する。
走行距離は166kmと、それほどではなかったようだ。
ただ、下道だけだったので、かなり長い距離を走った気がする。
空港へは店の車で送ってもらった。
時刻は11時半頃。
ここから成田へ飛ぶ便もあるけれど、そんな素直な旅程ではおもしろみに欠ける。
もう少し楽しむつもりでいた。