4日前の日曜日、成田市花崎町にある「鶴亀洞」という店に初めて行った。
(画像は退店時に撮影)
前日、本ブログを読んでくださっているという未知の方からメッセージを頂戴した。
こちらのお店について、店主は個性的だが蕎麦は美味しい、という趣旨の内容だった。
さっそく行ってみることにしたのだ。
成田山の表参道に店はある。
一般的な蕎麦屋とは趣を異にする外観。
看板も店名は目につかず、小さく縦書きで描かれた「燗酒と蕎麦切り。」が気になる。
入店する。
先客はひとり。
L字型のカウンターのみで、座席は8席程度だろうか。
最奥に座る。
「初めてですか?」
と、あきらかに警戒心を抱いたかのような雰囲気の店主に訊かれる。
「ブログで紹介されまして」
などと、引きつりながら返事をする。
「誰ですか?」
店主はたたみかける。
わからない。
未知の読者である。
「いや、なんか、ブログで、あのー」
などと返答すると、
「誰ですか?」
と、さらに強く訊いてきた。
怖い。
そのときは、思った。
あらためて、ブログの未知の読者の方から紹介された、と伝えた。
昼呑みの余韻が消えそうな緊張感を抱いた。
渡された日本酒と料理のメニューは豊富だ。
とりわけ、酒の品ぞろえはすごい。
眺めていると、店主に言われた。
「わからなければ言ってください。わからなくて見ていてもまったくわかりませんから」
そんなカンジの言葉だった。
怖い。
そのときは思った。
事前に少しだけ予習していたので、
「神亀があると聞いたのですが」
と言ってみる。
あると言う。
「神亀はいつも呑まれるのですか?」
と、問われる。
最近は呑んでいないが、かつては好んで呑んだ、といった事実を、若干ビビりながら伝えた。
怖い。。
そのときは思った。
気軽に入る、フツーの蕎麦屋ではない。
しかし、だからこそおもしろそうな気もしてきた。
ほどよい状態の神亀が提供される。
美味い。
蕎麦味噌などといただく。
「メニューにはありませんが」
という前置きの後、生牡蠣のお浸しがあると店主が言う。
いただくことにした。
厚岸産の牡蠣らしい。
酒のアテに最高だった。
「神亀は『戦う酒蔵』とも言われてまして」
店主が少しずつ話をしてきた。
純米酒絶滅期に復興のパイオニアだった神亀。
そのあたりの歴史はかなり前に本を読んで学習済みだった。
先客も含め、酒談義のようになる。
もっとも、かなり知識のある店主の話に傾聴する時間が大半ではあるが、興味深い話ををいろいろと聞けて有意義である。
次第に居心地良く感じられるようになってきた。
かわいそうだったのは、途中でひとりで現れた外国人中年男性客だ。
英語メニューもなく、説明もされず、おそらくは適当に蕎麦と酒を注文していた。
当然ながら純米談義などに加わることもできず、申し訳ない気もした。
そこで、自分が気を使う必要はないし席は遠かったのだが、タイミングを見計らって英語で話しかけてみた。
フィンランドから来たと言う。
「ムーミン、ムーミン」
とも言っていた。
フィンランドはムーミンの国だった。
酒のおかわりもしていたので、それなりに満足しているようで安心した。
こちらも、酒が進む。
店主に好みを伝えて、おすすめを訊いてみた。
「あと何杯呑まれますか?」
そんな言葉が返ってきた。
それによって、組み立てを考えて提供してくれるという。
相当なこだわりだが、間違いはない。
なんだか楽しくなってきた。
酒のアテとして蕎麦つゆも登場。
かなりお腹も満たされてきたので、店主に申し訳なくも蕎麦を食べずに店を出ようかと思った。
素直にそんなことを伝える。
叱責されることはなく、
「でしたら、少しずつ3種類お出ししましょうか?」
と提案してくれた。
断る理由などなく、むしろありがたい話である。
お願いしてみた。
「それがよろしいと思います」
店主は言った。
その後、3回に分けて異なる蕎麦が出された。
これらが、予想を遥かに超えてとても美味しかった。
口にしたことがないような歯応えや風味のものもあった。
画像撮影はしなかったが、間違いなく蕎麦は絶品である。
酔った勢いで、怖い店かと思った、と正直に吐露した。
そんなことを口コミ欄などに書かれることもあるらしい。
「怖くないですから」
店主は言った。
美味い酒を呑み、
美味い肴を口にして、
美味い蕎麦で〆る。
この一連の流れが大前提であり、それに乗れる客が満足することができる店。
自分なりにはそんな結論に至った。
満足のひと時。
店を出るとき、
「また伺います」
と言ったのは本心からだ。
「怖くないですから」
店主はそう言って見送ってくれた。
こちらのお店をご紹介くださった未知の読者の方には、この場を借りて御礼申しあげます。
なお、この日の夜には予期せぬ続きがあったのだが、それは次にでも載せたいと思う。







