おとといの祝日、北千住に行った。
極めて有能な元ビジネスパートナーH氏と待ち合わせの約束をしていたのだ。
ちょうど1週間前にも独りで北千住を訪れている。
実は、おとといの「予習」の意味合いもあったのだ。
昼呑みは前週に入った「幸楽」をめざした。
正午過ぎで店内はかなり賑わっていた。
幸いにして奥の座敷に空きがあり、待つことなく入店できた。
H氏と会うのは昨年末以来、4か月ぶりだった。
この間のH氏はといえば、長年一緒に暮らした愛犬が亡くなったり、新しい職場環境に翻弄されたり、とかなり大変だったとあらかじめ聞いていた。
自分には話を聴くことくらいしかできないが、瓶ビールを呑み、あれこれつまむ。
(画像はH氏撮影)
その後、荒川の土手を歩いた。
天気も良く、散策には最適な気候だった。
「金八先生」に詳しいH氏でもあり、ゆかりの地を何か所か巡った。
堀切駅でひとしきり記念撮影などした後、これからどうしようかと相談する。
北千住で会って呑む、以外に計画はしていなかったのだ。
ちょうど来た下り電車に、とくに何も考えずに乗ることにした。
北千住に戻るのは芸がないと思われ、上野か日暮里で呑み直そうか、と牛田駅で下車。
向かいの京成関屋駅に行き、京成上野行きの電車に乗った。
祝日ゆえ、きっと上野の街は混んでいるはずだ。
極力、人混みは避けたい。
そこで、急遽町屋駅で下車する提案をした。
相当な行き当たりばったりである。
15時過ぎ。
駅周辺を歩き回るも、昼呑みできそうな店はなかなか見つからない。
しばらくさまよった後、営業中の看板を掲げる店をようやく1軒見つけた。
(画像は退店時に撮影)
東南アジア系の若い男女が愛想良く迎えてくれた。
店内はかなり新しく、テーブル間隔は信じられないほど広い。
客の姿はなく、なんとなく落ち着かない気もした。
「いいんですか?」
H氏が着席前にニ度、不安げな笑みと共に訊いてきた。
「やめた方がよいのでは?」
ていうニュアンスが含まれていることは、長く一緒にシゴトをしてきたので分かった。
「いいじゃない。とりあえず呑もうよ」
宣言する自分。
満足できそうになければ、すぐに店を出ればよいのだ。
不安から始まった呑みではあったが、実に2時間半ほど長居してしまった。
H氏と共通の思い出もある青森県の酒、田酒を呑み、大いに語った。
いつしか居心地の良い空間になっていた。
感じの良い店員さんはどこの国の人だろうか、という話になり、自分としては控えめな笑顔からミャンマーと推察した。
会計時に訊いたら正解で、これまた気分が良くなった。
久しぶりにミャンマー語の
「チェーズーティンバーデェ(ありがとう)」
が口から出た。
18時を回り、散会。
町屋駅でH氏と別れた。
日暮里ではなく、あえて始発駅の京成上野まで行き、イブニングライナーに乗車した。
車内では缶ハイボールを1本だけ呑んだ。
京成成田駅に着いたのは20時前。
最後は、呑んだ夜に行きたくなる「男寿し」に足が向いた。
外国人客に囲まれながらも、独り心静かに呑み、つまんだ。
人生なにかと迷うことが多い。
とりわけ、今のH氏はそうらしい。
「金八先生」のように強く心に響くようなことは言えない。
しかし、この日のように、とりあえずの思いつきやひらめき、偶然に身を任せるときがあってもよい気はする。
そう、テキトーに。
まったく説得力はない自分からの「贈る言葉」にしようか。