きょう、3月11日。
旭市へクルマを走らせた。
行った先は「旭市防災資料館」である。
なんとなくの成り行きで千葉県民になって3年あまり。
きょう行くべき地はここのような気がしたのである。
しかし、思いたったのはきょうのことである。
この週末はシゴトがオフとなり、昨夜は酒の勢いもあって実は佐賀県への1泊2日の旅を企てていた。
ANAのマイルを使った特典航空券で羽田~佐賀のフライトを予約した。
佐賀空港発着のレンタカーの予約も完了した。
佐賀へ行く大きな理由はとくになく、空席があったのと、通常よりも少ないマイルで予約できるから、というくらいの軽いカンジであった。
後付けの目的としては、昨年ゆっくり見られなかった伊万里の地で器を手に入れよう、というもっともらしいものはできた。
ところが、旅の要素として重要な宿が見つからなかった。
常識外と思われるようなめちゃくちゃ高い料金設定の施設か、ドミトリー形式のゲストハウスくらいしか見つからないのだ。
苦悩しているうちにいつしか眠りに落ちてしまい、気づいたのは深夜3時頃。
予約していた羽田発の便に搭乗するためには、3時間も経たぬうちに起床してクルマで出発しなくてはならない。
なんだかバカバカしく思えてきて、特典航空券もレンタカーも予約をキャンセルした。
ちなみに、航空券の払い戻しには3,000マイル取られた。
そんなドタバタの後、アラームセットもせずにゆっくり眠って迎えた今朝。
冷静な頭で考えた先が佐賀ではなく旭市だった、という顛末である。
資料館を出た後、目の前の海へ行く。
平和な光景が広がっていた。
14時46分。
サイレンが鳴り始めた。
海に向かって佇んでいたのだが、そのまま黙祷する。
1分間。
途中、1回だけ薄目を開く。
海岸で遊んでいた家族も、若いカップルも、皆同じように黙祷していた。
サイレンが止まり、目を開く。
雲ひとつない青空と広い海の景色がまた目に飛び込んできた。
駐車場へと戻る。
喪服を着た人たちの姿を目にした。
楽し気なサーファー集団もいる。
12年目の3月11日。
伊万里の器は手にできなかったけれど、きょうしかできない「旅」を実行してよかったと思った。