おととい、松崎(まんざき)にある「ほかけ鮨」に初めて行った。
昨年から、我が人生においてはじめて鮨の魅力にとりつかれている。
そのきっかけとなったのは、たまに通う「ホテル日航成田」のスカイバー「サンセットラウンジ」である。
隣りの店がテナントの「ほかけ鮨」で、そこからお好みで鮨を取り寄せて酒の肴として、あるいは夕食として口にしていくうちに惹かれていった。
バーだけでなく、実際の鮨店のほうにも何度か訪れた。
その「ほかけ鮨」の本店を訪れようという企てであった。
しかし、フラリと呑んで鮨をつまむにはかなり不便なロケーションに店はある。
最寄駅はJR成田線の成田駅隣りにある下総松崎駅で、そこから歩いて10分以上はかかる。
今回は持ち帰りということに決め、クルマで出かけた。
軽トラックに乗った相当に齢を重ねられたご夫婦が店に入って行った。
その直後、こちらも後を追うように店に入る。
店内はレトロでとても落ち着いた雰囲気だった。
愛想良く迎え入れられる。
土曜日の昼下がり。
先ほどの老夫婦以外に客の姿はなかった。
あらかじめ電話で予約しておいたのは「極上握り」。
渡された紙袋はずっしりと重く、期待がふくらむ。
帰宅後、早速紙袋から取り出して眺める。
いいカンジだ。
包みを開く。
視覚でも味わえるひと時だ。
町に溶け込んだ本店とホテル内の店の2店舗だけというのも、地元店としてよいと思う。
いきなりメインに手を伸ばすののもいかがなものかと思い、さまざまな顔ぶれを用意しておいた。
仁勇は地元の純米酒。
石背は30年来の友人が豪州から一時帰国した際、地元いわきで買ってお土産としてくれたもの。
つぶ貝の燻製は、先日札幌に呑みに出かけた際に自分へのお土産として買ったもの。
さまざまな思い入れや意義があっての昼宴なのだ。
以前500円だかで買った中古DVDを鑑賞しながら愉しむことにする。
『冷静と情熱のあいだ』。
2001年公開だから、もう22年前の作品ということになる。
当時、30歳。
秋に遅い夏休みをとり、北海道を旅した。
ヒマつぶしに札幌の映画館で見た思い出がある。
ちなみに主演の竹野内豊さんは自分と同じ年の生まれである。
両者のあまりの違いぶりには絶望感すら味わう。
舞台となるフィレンツェの町の映像は美しい。
その後、実際に訪れたこともあった……
いろいろな思いが交錯する。
酒が進めば、それはますます複雑なものに変化していく。
主役登場。
撮影会実施。
鮨は皿には盛らず、そのままでいただいた。
充分に堪能できた。
いつしか映画は終わっていた。
寝落ちして気づいたときには、外はすっかり暗くなっていた。
デザートで〆よう。