昨夜は、先日「予告」をした池袋の「水月」に宿泊しました。
16時を回り少しずつ暗くなっていく中、池袋駅北口から宿をめざして歩きます。
玄関前にはポリバケツが堂々と置かれています。
スリッパも何組か置かれています。
すぐ右奥に帳場があり、奥からおばちゃんがこちらを見て何か言っています。
どうやら、他の滞在客と人間違いをしていたらしく、
「似たような年頃だったからー」
などと弁解されました。
予約は通っているようで、ひと安心です。
「3,900円の部屋しかなくてすみませんねえ」
と言われました。
電話で予約した際の値段なので、問題なしです。
現金での前払いです。
宿帳への記入は求められませんでした。
タオル、バスタオル、緑茶のパック、部屋の鍵をおばちゃんが持って、部屋へ案内してくれるようです。
「2階です。先に上がってください」
と促され、傍らの階段を上がります。
靴はどうするのか尋ねると部屋に持っていくように言われたので、靴は自分で持って行きます。
部屋は209号室の「竹の間」でした。
6畳の和室で、一応角部屋です。
テレビもあります。
すでに敷かれた布団には浴衣が置かれていました。
ついでに、ハンドソープか石鹸があれば有り難いのですが、それは望み過ぎ?
2階の隅にある共用の浴室。
ちなみに、使う予定はしておらず、実際に使いませんでした。
夜は外で呑んで部屋では寝るのみ。
朝はチェックアウト後に、近くの日サロでタンニングをしたついでにシャワーを浴びることに決めていたのです。
よく見れば、部屋の中でも何本もの髪の毛を発見してしまいました。
まあ、深酒してコンタクトレンズを外して眠ってしまえば、気にならないでしょう。
少なくとも海外のどこかの安宿よりは、余程清潔で快適かと思います。
夜は有名金融系企業勤務の友人と池袋の街で呑み語りました。
門限の23時を少し過ぎてしまいそうだったのであらかじめ電話しておくと、おばちゃんは待っていてくれました。
門限を過ぎそうだったら電話してくれれば大丈夫、と入館時に言われていたので、その言葉に甘えたわけです。
部屋に戻った後、途中のコンビニで買ったビールやおでんにはほとんど口をつけないままに、布団に倒れこんで眠りに落ちました。
迎えた、朝。
言われていたように部屋の鍵は机の上におき、靴とゴミを手にして部屋を出ました。
外に出る前に、玄関で最後の撮影。
ゴミは玄関前のポリバケツに捨ててから、通りに出ました。
驚くべきことはない、いつもの池袋の風景が目に飛び込んで来ます。
最近では、池袋は人気の街であるらしいと見聞きします。
しかし、平成もまもなく終わろうかというこの時代に、いまだ昔ながらのこのような旅館が存在するとは、街の奥深さを感じずにはいられません。
他の部屋から時折聞こえてきた咳払いも、部屋の扉の開閉の音も、騒音のクレームとして最低評価をインターネット上でアップするのが今の常識かもしれません。
しかし、人の気配を感じ、お互いさま、といった心持ちでいれば、腹を立てるほどのこととは思えませんでした。
無菌、防音、プライバシーの完璧を追求するあまり、些細なことに敏感に反応してストレスをためているのが今を生きる人たちのような気がしてきました。
都会の片隅でひっそりと営む昔ながらの宿での一夜は、この国で生きてきた人びとのかつての生きざまも思い起こしてくれるような、貴重な時間でもありました。
2017年12月27日(水)〜1泊3,900円
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