東京から熱海へ移住した大きな理由は、幼い頃からの旅好きがエスカレートして「旅するような日常」を求めたからといえます。
実際に移住して1年半あまり。
当初は新鮮だった海の眺めもすっかり見慣れて、「旅するような」感覚は失ってしまったのが現実です。
人は、良くも悪くも環境に順応するものなのでしょう。
でも、それではおもしろくないので、たまには刺激も必要であろうと考えました。
2週間ほど前、10月9日は熱海海上花火大会開催の日でもあり、部屋でのひと時をあえて旅先のような気分で過ごすことにしました。
外は秋晴れの良い天気。
夕方からゆっくりと部屋の温泉に浸かりました。
風呂上がりにはビールを呑みながら、浅田次郎さんの『かわいい自分には旅をさせよ』(文春文庫,2015年)のページをめくります。
夕食は、お気に入りの魚屋さんで買い求めた刺身、たらの甘酢あんかけなどを食します。
普段、自室ではあまり呑まないようにしているワインも口にします。
久々にDVD『旅の贈りもの 明日へ』を眺め、旅情を駆り立てました。
魚の後は肉、というわけで、安物ではありますが、これまた久々の牛肉を焼き、大根おろしでさっぱりといただきます。
当然、ワインは赤に替えました。
DVDも最高のシーンに!
20時20分からは、テラスで花火を鑑賞しました。
マンションの他の部屋からは、楽し気な歓声が聞こえてきます。
こちらは独り、ウイスキー片手に静かに眺める秋の花火。
吹く風も心地良く感じられました。
食事の準備や片付け、洗い物などもしなくてはならないので、完璧な旅気分は無理ですが、心の持ち方次第で日常を楽しめることがあらためてわかりました。
特別なことはしなくても、お金をかけなくても、非日常的な「日常」を満喫することが出来る環境。
もっともっと、今を大切に生きようと思います。