こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日想像力と70年代クラヤミ・ホラーというテーマで

 

フランケンシュタイン80(1972)

(原題:FRANKENSTEIN '80)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

★想像力と70年代クラヤミ・ホラーとは?

 

本シリーズは70年代に公開された、おどろおどろしいホラー映画を特集したもの!

 

60年代のカウンターカルチャーの終焉や環境汚染問題、核戦争の恐怖や校内暴力、そして政治不信などが吹き荒れていた70年代のホラーは、どこか病んだ感じがする鬱展開のホラー!

 

ですがエンターテイメント系ホラーとは異なり、鬱展開のホラーは観終わった後についまでも記憶の中に残るような、忘れられない作品でもあるのです…

 

本作では、そんな70年代に作られた暗闇系のホラー映画を特集させて頂きました🎃👻💀😆

 

 

 

 

 

どんなホラー?

 

本作は1972年に公開されたイタリア映画。

 

現代も邦題と同様「FRANKENSTEIN '80」なので、本作は1972年に作られた1980年代をイメージした近未来SF映画のように思われるかもしれませんが、本作が公開された当時は、将来どんな80年代がやって来るのか全く見当がつかなかった混沌とした時代!!

 

 

ですので本作で描かれている近未来の1980年代は、私たちが知っているキラキラとした80年代とは全く違う世界となっているのです…

 

これが近未来の80年代の警察署だ!

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば、本作の解説は以下の通り。
 

小説や映画などでお馴染みの怪物が現代社会で暴れ回るホラー。

死体を繋ぎ合わせて怪物を作り上げたフランケンシュタイン博士。

しかし、その怪物は研究室から逃げ出してしまう。

行く先々で美女をレイプし惨殺する怪物を止めることはできるのか…。

【スタッフ&キャスト】監督:マリオ・マンチーニ 脚本:フェルディナンド・デ・レオーネ 撮影:エミリオ・ヴァリアーノ 音楽:ダニエル・パトゥッキ 出演:ジョン・リチャードソン/ゴードン・ミッチェル/レナート・ロマーノ/ダリラ・ディ・ラッツァーロ

 

 

 

 

んんんん?

 
本作に登場するのは、小説や映画などでお馴染みの怪物であるフランケンシュタインと何の関係もないのですが…
 
いやいやいやいや。
私と一緒にしないで下さいあせるあせる
 
 

そんな本作の冒頭の内容は以下の通り 。

 

① 映画の冒頭、謎の殺人鬼が女性を襲って殺害しますが、その後場面は急転して、交通事故で亡くなった女性を、緊急で病院に運ぶ医師たちの姿が描かれます。

 

映画の冒頭、唐突に女性が殺害されますが…

 

その直後、別の場所で交通事故死した遺体を

救急車が病院へと運び込みます。

 

 

② 遺体の運ばれた病院では、抗リンパ球血清の権威であるシュワルツ博士が、遺体の心臓を心臓疾患の女性に移植するための緊急手術を翌日行う事を決断します。博士が開発した抗リンパ血清を使用すれば他者の臓器を移植しても拒否反応が起こらない事が、動物実験で証明されていたのです!

 

おめでとうお嬢さん。

たった今、ドナーから心臓を提供されたよ。

明日手術を行おう!

 

 

③ ところがその晩、シュワルツ博士の部屋に何者かが侵入して抗リンパ球血清が盗まれてしまったため、通常の手術しか受けられなかった女性は、術後に死亡してしまったのです。

 

深夜、シュワルツ博士の部屋から

抗リンパ球血清が盗まれ

手術後女性は拒否反応を起こし死亡…

 

 

④ 抗リンパ球血清盗難は警察沙汰となりましたが、死亡した女性の兄で事件記者のカールは、自身でも事件を解決すべく調査を開始し、恐らく犯人は病院内の人間であり、盗難現場に強いホルマリン臭が残っていた事から、事件は死体を扱う人間ではないかと推測しますが、そんな時、病院内の隠し部屋では何者かが事故死した人間の肝臓を摘出し、別の巨漢の死体に移植していたのです…

 

病院内の隠し部屋の中で深夜に一人で、

死体の内臓を摘出している謎の男!

 

 

 

さて、隠し部屋にいた謎の男は、一体何を画策していたのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

摘出した内臓を保管する

隠し部屋の中の冷蔵庫の中には

盗まれた血清の瓶が!

果たして彼は何者なのか!?

 

 

 

【私の感想】人類を破滅させる研究者の性!

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は無邪気に輝く未来を信じていた60年代から一転して、暗黒の未来しか見えなくなっていた70年代の世相を反映したダウナー系の80年代が描かれているホラー・サスペンス!

 

 

そう。

 

若者たちにとっての希望の未来が見えず、治安が悪化し、猟奇的な犯罪が増えてゆく時代には、不穏な未来を描いた作品が生まれて来るものなのです。

 

 

本作もそんな絶望した世界で鬱々としていた70年代初頭のイタリア人監督によって作られた作品であり、隠し部屋の中で死体蘇生を行っている人物(名前を書くとネタバレになりますので控えさせて頂きます)が、一体なぜ巨漢の死体を蘇らせたいのか?蘇った巨漢は何故、次々と人間を襲うのかという映画で重要なプロットが一切描かれないだけでなく、捜査をする警察側の態度の今一つ真剣さに欠け、結果として次々と無辜の市民が殺されてゆく様は、当時のイタリア人が考える絶望的な未来像だったのかもしれません…

 

勝手に隠し部屋を抜け出して

町の人を無差別に襲う死体の巨漢!

 

特に理由もなく女性を撲殺!

70年代初頭の劇画にも

こういう描写が多かったのです!

 

 

私見ですがそんな本作は「フランケンシュタインの怪物」を換骨奪胎したようなホラー映画であると同時に次の時代が見えず人々が絶望していた時代に生まれて来る典型例のような作品であり、ほぼ同時代に作られた「サイレント・ランニング」や「脱出」「ジョニーは戦場へ行った」そして「キャバレー」などの作品と比較してみるのも興味深いのではないかと思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか?

 

特に理由もなく

無関係の人を殺害する巨人。

こういう事件は、

世相が荒れた時代に生まれる

「対象は誰でも良かった」という

犯行と類似したものでは?

 

尚、本作はラストも

社会の無力感を感じさせる

虚無的なものなのです…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

娘ならどうだ!

 

と言うテーマで

 

フランケンシュタイン・娘の復讐

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい日本未公開1970年代ホラー

「DEAR DEAD DELILAH(1972)」

 

南部の古い邸宅に住む病弱な家長が、

敷地内に隠されていた宝物を見つけたと

兄弟たちに嘘をつきますが、

それは惨劇の始まりとなってゆくという

コメディ・ホラーのようです。