こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と今昔まんがまつりというテーマで

 

パタリロ!

スターダスト計画 (1983)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★"今昔まんがまつり"とは?

近年発表されるアニメーション映画の本数は膨大なものとなり、すべてのアニメーション映画を閲覧する事は不可能な時代へと突入しています。

 

推しのアニメを一生見続けられるというのは幸せな事ではないかと思いますが、その一方で、自分が知らないアニメと出会うための時間を作るのは、簡単な事ではなくなりつつあるのではないでしょうか?

 

本シリーズはそんなアニメの百花繚乱時代において、かつて日本に存在していた「東映まんがまつり」や「東宝チャンピオンまつり」のような、雑多なアニメが一挙に上映されるようなイベントがもし存在したとしたら、どんな効果があるかをシミュレーションしてみようという夏休み企画!

なんとなく立ち寄った古本屋さんに素敵な本が見つかったり、何気なく観に行った3本立ての名画座で、大好きな作品巡り合えるような、そんな偶然をご提供できればと思っております😊
 

 

↑本シリーズの概要はコチラ!

 
 
どんな作品?

 

本作は1983年に公開されたアニメーション映画。

 

1982年にTVアニメ化されて話題となった「パタリロ!」も公開から40年が経過しているため、既に原作自体を知らない方も少なからずいらっしゃると思いますが、「パタリロ!」は現代の方がお読みになったとしても斬新さを感じて頂けるコミックなのです(ちなみに現在でも連載は継続されており、少女漫画のギャグマンガとしては歴代一位の長寿作品)。

 

最新刊は104巻!!!

 

 

そんなコミックスを原作とした本作は、よくあるアニメ作品とは一線を画したセンス・オブ・ワンダーな映像と展開が楽しめる作品となっているのです!

 

明らかに2次元タッチの絵柄を

アニメ化した本作は

見てて不思議な感覚になる作品なのです。

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

世界征服を企むタランテラと戦うパタリロ等の姿を描くギャグアニメ。

「花とゆめ」連載の魔夜峰央の同名漫画のアニメ化で、脚本は「プルメリアの伝説 天国のキッス」の田波靖男、監督は「世界名作童話 白鳥の王子」の西沢信孝がそれぞれ担当。

主題歌は、魔夜峰央(「RUN・AWAY美少年達!」)。
 

 

① 【前提】本作に登場する「タランテラ」は、世界征服というより世界の破滅を目論んでいる犯罪組織。首魁は悪魔バフォメットのようなシルエットの謎の人物であり、5人の幹部も悪魔である事を感じさせる姿です。

 

タランテラのボスの姿は

明らかに悪魔バフォメット!!

 

太タランテラの幹部たちの姿も

人間とは思えません…

 

 

② そんなタランテラは、国際ダイヤモンド輸出機構という秘密組織のボスのシュゲルグ博士に、自身が立案した「スターダスト計画」を実行に移すよう命じ、博士は世界中のダイヤモンドの強奪を開始します。

 

国際ダイヤモンド輸出機構のシュゲルグ博士は

元ナチスに所属していた天才博士。

 

そんなシュゲルグ博士の計画の

第一ステップは世界中のダイヤモンドを

強奪する事でした。

 

 

③ 事態を重く見たイギリスのMI6は、凄腕エージェントのバンコランをダイヤモンド生産国であるマリネラに派遣し、元首のパタリロ王子に注意を促しましたが、そのほぼ同時期にマリネラの宝物蔵もタランテラによって襲撃され、ダイヤモンドが強奪されてしまいます。

 

マリネラの宝物蔵も犠牲に!

 

 

④ けれど顔に似合わず明晰な頭脳を持つパタリロは、宝物蔵に仕込まれていた蜘蛛型の超小型ビデオカメラを発見し、このような小型メカを開発する事ができるのは(当時は)日本だけだと推論し、バンコランと共に日本の精密機器メーカーを訪ね、蜘蛛型カメラの製造元を突き止める事にしたのです!

 

この蜘蛛型カメラを使用して

世界中のダイヤモンドが強奪されたんだ!

製造元を見つけよう。

 

 

 

…むむむ。

 

結構本格的なスパイ映画になっているような気がしませんか?

 

 

 

さて、シュゲルグ博士が世界中のダイヤモンドを強奪した目的は、一体何だったのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

少しだけヒント。

本作は007の「ダイヤモンドは永遠に」と

「ムーレイカー」という2作品に着想を得て

作られた作品だと推察されます。

 

さて、2つの作品は

どんな内容だったでしょうか?

 

 

 

【選ばせて頂いた理由】耽美なエロティシズム

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作を選ばせて頂いた理由は以下の3つ。

 

選ばせて頂いた理由① 耽美なエロティシズム

 

本作の原作である「パタリロ!」は、耽美な画質と大胆なエロティシズムが融合された少女漫画なのですが、本作はアニメ化するに際して、耽美さもエロティシズムも棄損させずにTV放映をしていた稀有な作品。

 

丸ペンで描かれた繊細なタッチで背景までキッチリと描かれている画像、ホモセクシャルなバンコランが美少年を口説く濡れ場では背景に薔薇も描かれており、子供も観る作品としてはかなり踏み込んだ描写が描かれているのですが、現代の価値観で考えるなら、本作は多様性をノーマルなものとして扱っている極めて先駆的な作品だと言えるのではないかと思います。

 

バンコランは美男子キラー。

彼に見つめられた美男子はみんな

メロメロに!!

 

そんな本作は、ホモセクシャルの

ラブシーンが頻出していた

時代を先取りしたような作品なのです。

 

 

選ばせて頂いた理由② 海外視点の作品

 

そんな本作のもう一つの魅力は日本が舞台ではなく、主要登場人物も日本人ではない作品となっている事。

 

これは少女漫画では珍しい事ではないのかもしれませんが、本作が公開された80年代に、イギリスのMI6のバンコランが、謎の敵と戦いつつも随所で美男子との逢瀬を楽しむという、007を超えるようなアダルトなスパイ・コミックを楽しんでいたというのは、日本の漫画というジャンルの裾野の広さを感じさせる驚嘆すべき事ではないかと思います。

 

ロンドン郊外のバンコランのマンション!

 

バンコランが心の中で想うのは、

かつてMI6の仲間で

恋人でもあったジュニア(♂)。

MI6の禁断の恋の物語は

日本でマンガ化されていたのです!

 

 

選ばせて頂いた理由③ 目指せ、多様な質感!

 

そんな本作を、本シリーズで選ばせて頂いた理由は、このような異質な質感で描かれた作品をアニメ化は、世界の人々に支持される新しいアニメを生み出す好例となるのではないかと考えたから。

 

もちろん既に今の日本のアニメ界では、今までにないような表現方法の作品をたくさん生み出されているのですが、本作は原作マンガのテイストをアニメに変換する事に成功しておりますので、この考えを踏襲すれば、レンブラントやジョットやモディリアーニのタッチでアニメを作ったり、アンデルセンやグリム童話の原本の絵を踏襲した作品も生み出す事が可能かもしれないのです。

 

 

そう。

 

静止画が動くようになると、新たなる感動が生まれるもの!

 

 

動くはずがない少女漫画の世界を見事にアニメ化する事ができた本作は、次の世代の挑戦者に大いに刺激となる作品ではないかと思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか?

 

宇宙に薔薇と美少年!

こんな少女漫画の世界を

正しくアニメ化できるとしたら

次はどんな素材を

アニメにできるのでしょうか?

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

カルトアニメ今昔まんがまつり⑥

 

というテーマで

 

スーパー変態ハネムーン

花婿はヘンな人

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい特殊な絵の映画

「ブレンダンとケルズの秘密」

 

 

世界中の伝説もアニメになると

親近感がわきますね!

 

アイルランドのケルズにある

世界一美しい本と言われる「ケルズの書」は、

一体誰が何のために描いたのでしょう?

 

本作を観て頂ければと、

今までケルズの書を知らない方でも、

きっとケルズに行って

本物のケルズの書を見たくなると思います!

 

感動するアニメには

人に旅させるチカラがあるのです😄