こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と今昔まんがまつりというテーマで

 

ウォーターシップダウンのうさぎたち (1978)

(英題:WATERSHIP DOWN)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★"今昔まんがまつり"とは?

近年発表されるアニメーション映画の本数は膨大なものとなり、すべてのアニメーション映画を閲覧する事は不可能な時代へと突入しています。

 

推しのアニメを一生見続けられるというのは幸せな事ではないかと思いますが、その一方で、自分が知らないアニメと出会うための時間を作るのは、簡単な事ではなくなりつつあるのではないでしょうか?

 

本シリーズはそんなアニメの百花繚乱時代において、かつて日本に存在していた「東映まんがまつり」や「東宝チャンピオンまつり」のような、雑多なアニメが一挙に上映されるようなイベントがもし存在したとしたら、どんな効果があるかをシミュレーションしてみようという夏休み企画!

なんとなく立ち寄った古本屋さんに素敵な本が見つかったり、何気なく観に行った3本立ての名画座で、大好きな作品巡り合えるような、そんな偶然をご提供できればと思っております😊
 

 

↑本シリーズの概要はコチラ!

 
 
どんな作品?

 

本作は1978年に公開されたイギリスのアニメーション映画。

 

イギリスにアニメーションなんてあるの?と思われる方もいらっしゃると思いますが、かのビートルズの「イエロー・サブマリン」や、モンティ・パイソンのアニメ・パートなどでも終わり頂けるように、イギリスのアニメは他国とは一味違う雰囲気!!

 

イギリス・アニメの例①

「イエローサブマリン」

 

イギリス・アニメの例②

「モンティ・パイソン」

…どちらも一味違うアニメですね!

 

 

本作は、そんなイギリス・アニメの代表作の一つであると同時に「人生とは何だ!?」という事を観客に問いかけるような哲学的な作品となっているのです!

 

ほのぼの動物アニメとは

一線を画す作品となっているのです…

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

ユートピアの地“ウォーターシップダウン”を求めて苦難の旅を続けるうさぎたちを通して、生きることの素晴らしさを描いたアニメーション。

リチャード・アダムスの原作を基にマーティン・ローゼンが製作・監督・脚色。

アニメ監督はトニー・ガイ、音楽はアンジェラ・モーレイとマルコム・ウィリアムソン、編集はテリー・ローリングス、アニメ監修はフィリップ・ダンカン、歌はアート・ガーファンクルが各々担当。
 

 

① 昔々フリスという神様が創造した世界では動物たちは皆仲良く暮らし、草を食べて暮らしていました。

 

太陽のようなフリス様は

森羅万象を創造した神様のような存在。

 

そんなフリス様が創造した動物は

すべてが草食動物だったので

みんなが仲良く暮らしていました。

 

 

② ですが多くの動物の中で、ウサギだけは爆発的に繁殖し、行く先々で草を食い荒らし始めます。

 

爆食、爆増するウサギたちに

他の動物たちは大迷惑!

 

 

③ 困ったフリス様は、ウサギの王エル=アライラーにウサギたちを何とかするよう命じますが、エル=アライアーは「ウサギは強い生物なので仕方がない」と言い放って放置したため、フリス様の怒って「だったら自分がウサギの始末をする」と言って、他の動物に個性を与え、動物たちは草の代わりにウサギを食べ始めました!

 

命令に従わないエル=アライアーに

激怒したフリン様は…

 

他の動物に個性を与え、彼らは

キツネ、犬、猫、タカ、イタチにして

ウサギを食べる個性を与えました。

 

 

④ ウサギたちはアッという間に駆逐され、エル=アライアーは死をつかさどる黒ウサギの影におびえ逃げ惑ったので、フリン様はウサギに、白い尻尾と長い脚と俊足という個性を与え「これからウサギは他の動物たちに追われる人生を送る。捕まれば必ず殺されるので、誰よりも早い脚と、小さな物音ににも気づける耳と知恵を使って、生き延びるがよい」とエル=アライアーに命じたのです。

 

他の動物たちによってウサギたちは瞬殺!

 

逃げ回っていたエル=アライアーは

白い尻尾と長い脚という個性をもらって

他の動物から逃げる

現在のウサギの姿になりました!

 

 

 

…ねっ。

 

生きることの素晴らしさを描いただけの作品ではない事が、ご理解頂けましたでしょうか?

 

 

 

さて、果たして本作の主役であるエル=アライアーの子孫であるイギリスのウサギたちには、どんな困難が待ち構えていたのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

イギリスのサンドルフォードで

暮らしていたヘイゼルという穴ウサギは

直観力がある弟のファイバーが

今住んでいる草原に、

災厄が近づいて来ていると告げました。

ウサギにとっての災厄とは…

 

 

 

【選ばせて頂いた理由】残酷無双のイギリス・アニメ

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作を選ばせて頂いた理由は以下の3つ。

 

選ばせて頂いた理由① 人生とは切り開くもの!

 

本作は、サンドルフォードで暮らしていたヘイゼルたちが、新天地ウォーターシップダウンを求めて旅に出るという話ですが、これまでずっと自分たちの土地で暮らして来たヘイゼルたちにとって旅というのは、未知の土地への旅は不安と絶望に満ちたもの!

 

森に入れば猛獣たちに狩られ、人家に近づけば猟犬や猫に襲われ、すでに住人がいるウサギ穴ではよそ者扱いされるヘイゼルと数人の仲間たちの中には、ファイバーの言葉を信じて住処を捨てた事を後悔するウサギたちも出始めるのです。

 

 

そう。

 

人生とは、先が見えないからこそ不安になるもの。

 

 

本作は「ポセイドン・アドベンチャー」で殆どの人に信じてもらえない中、唯一の可能性を信じて船底へと向かっていった少数の人々の絶望と苦難と重なるような、ウサギたちの試練が描かれているのです!

 

只、森に入っただけで

胸が苦しくなるような恐怖が襲う!

ですがこの感覚こそが

未知に立ち向かうという事なのです。

 

 

選ばせて頂いた理由② 残酷無双のイギリス・アニメ

 

そんな本作のもう一つの魅力は、フランシス・ベーコンの絵のようなおどろおどろしいイギリステイストのアニメが挿入されているところ!!

 

私見ですがイギリス人の感覚でアニメとは絵画表現の一つであり、絵でしか再現できない恐怖や不条理は、逆説的に考えればアニメでしか表現できないものなのだと思います!

 

フランシス・ベーコンの絵は

鑑賞者の心に得体の知れない感情を

呼び覚ますような作品!

 

イギリスのアニメには、

ベーコン同様、鑑賞者の心に

得体の知れない感情を呼び覚ますものが

少なくありません。

(ピンク・フロイドのザ・ウォールより)

 

ファイバーの助言に従わず

残ったウサギたちに待ち受けるものは…

 

 

選ばせて頂いた理由③ これはウサギの物語なのか?

 

…という事はやっぱり本作は、生きることの素晴らしさを描いた映画ではないという事?

 

 

う~ん。

 

恐らくですが本作は、新天地を求めて旅立ったウサギの話と考えるか、それとも私たち自身の生き方についての映画だと考えるかで意見が分かれる作品!

 

冒頭で描かれるウサギの姿は、他の生物の事を考えずに繁殖して食料を食い尽くし、創造主であるフリン様の助言に従わないウサギたちの姿は、人間と観る事も可能であり、本作は、もし人間が何らかの形で今の社会環境を捨てなければならなくなったとしたら、果たしてどれだけの人間が行動を起こす事ができ、その後、どうやって新天地へとたどり着けるのかを描いたような、70年代らしいデストピア映画としても観る事ができるのではないかと思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか?

 

黒い死のウサギから

逃げ続けるのはウサギの人生か?

それとも…

 

そんな視点で本作を観て頂けると

ラストシーンは、自分の人生について

想いを馳せるような感動的なものと

感じて頂けると思います😊

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

カルトアニメ今昔まんがまつり⑤

 

というテーマで

 

パタリロ!

スターダスト計画

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たいイギリス・アニメの映画

「ある嘘つきの物語 ~グレアム・チャップマン自伝~」

 

 

本作は、実在した

グレアム・チャップマンという、

モンティパイソン一座の

コメディアンが人生について語った

本人の音声を基に作られたアニメ映画!

彼は48歳で早逝しており、

ある嘘つきの自伝

というタイトルからも、

どこまでが本当の話かわからないのです!

そんな自分自身の人生を、

コメディの題材にした本作は、

亡くなった後、モンティパイソンの

仲間たちによって

コメディ・テイストの

自叙伝映画となったのです!