こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と歌は世につれというテーマで

 

ミスター・ロンリー(2007)

(原題:MISTER LONELY)

 

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

歌は世につれとは?

昨今、歌や歌手をフィーチャーした作品が注目されています。

 

ミュージシャンの人生を映画化した作品。ミュージシャンに影響を受けた人の映画。歌の魅力を最大限に生かしたミュージカル。そして作品のテーマとなるメッセージを挿入歌に忍ばせたような作品。

 

映画と歌との心地よい関係は、今、正に絶頂期なのではないかと思います😆

 

本作では、そんな様々な歌が使用されている作品を映画をご紹介させて頂ければと思います!
 

 

↑本シリーズの概要はコチラ!

 
 
本作をセレクトさせて頂いた理由

 

本作は2007年に公開されたイギリスとフランスの合作映画。

 

タイトルの「ミスター・ロンリー」は、1964年に全米チャートの1位を獲得したアメリカ人ボビー・ヴィントンの名曲!

 

「僕は独りぼっちだ。家に帰りたい」と切々と歌う本曲は、ベトナムへの反戦歌であると同時に1960年代の頃から「ぼっち」が存在がいた事を物語っています😥

 

深夜ラジオの「ジェット・ストリーム」の

主題歌でもあった「ミスター・ロンリー」。

 

 

ちなみに、そんなタイトルを冠した本作のポスターに写っているのはマイケル・ジャクソンらしき人物。

 

あ!マイケルだ!!

 

 

ですが彼は本物のマイケル・ジャクソンではなく、インパーソネーターと呼ばれている「なりきり芸人」さん。

 

…という事は本作は、マイケル・ジャクソンのなりきり芸人が、ミスター・ロンリーを歌う映画?

 

 

いいえ。

 

本作は、マイケル・ジャクソンになりきれば、孤独から解放されるのではないかと思っていたひとりぼっちの青年が、なりきり芸人たちの村を訪れ、仲間と一緒に地上最大のショウを開催する物語なのです。

 

孤独なマイケルなりきり芸人が…

 

なりきり芸人たちと一緒に開催した

地上最大のショウとは!?

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

他人を演じることでしか生きられない男の、少し不思議でかなり不器用な姿を描いた、いとおしいほど純粋なラブストーリー。

主人公・マイケルには「天国の口、終りの楽園。」のディエゴ・ルナが、その恋の相手・マリリンには「ギター弾きの恋」のサマンサ・モートンが扮している。

監督は「ガンモ」のハーモニー・コリン。

 

 

 
むむ。
 
いとおしいほど純粋なラブストーリーというのは、個人の見解のような気がするのですが汗汗汗
 
 
 

そんな本作の冒頭のストーリーは以下の通り。

 

① パリ在住マイケルは、マイケル・ジャクソンのインパーソネーター。自分が孤独だと自覚しているマイケルは、24時間365日マイケルの人格になりきって生活すれば、自分でいる時より有意義な人生を過ごせると考えて活動していました。

 

自分はぼっちだけど、

マイケル・ジャクソンでいれば

毎日、皆を楽しませられる!

介護施設でもマイケルは人気者。

 

 

② そんなある日マイケルは、自分と同じくインパーソネーターとして介護施設に訪問していたマリリン・モンローそっくりのマリリンに出会います。思い切って話しかけたマイケルは、マリリンの一家でインパーネーターで、チャールズ・チャップリンの夫とシャーリー・テンプルの娘と一緒に、スコットランドにあるインパーソネーターの村で暮らしいるので、良かったら一緒に暮らそうと誘われ、一念発起してマイケル・ジャクソンとしてマリリンについて行く事にします。

 

同じインパーソネーターのマリリンと出会い

嬉しくなったマイケルは

彼女の仲間が住む村へと行く事にします。

 

 

③ チャップリンが村長を務めているインパーソネーターの村には、ヨハネ・パウロ二世、リンカーン大統領、サミー・デイビスJr、ジェームス・ディーン、三バカ大将、マドンナ、エリザベス女王などのインパーソネーターたちがおり、彼らもマイケルと同じように、それぞれのキャラになりきって暮らしており、自分たちで「地上最大のショウ」を開催するために劇場建設に勤しんでおり、マイケルも地上最大のショウに参加する事にしたのです。

 

マイケルを歓迎してくれた
インパーソネーターたちは良い人ばかり!
チャップリンやマドンナに混じって
赤ずきんちゃんまでいました😊
 

 

④ 地上最大のショウの観客は、近隣の村人たち。劇場を作るインパーソネーターたちは、自分たちの芸で人々を笑顔にできると信じて劇場建設を進めますが、そんな時、彼らの飼っていた羊の一匹が伝染病に罹ってしまい、政府から全頭を殺処分するよう命じられ、楽しい雰囲気だったインパーソネーターの村に不穏な空気が漂い始めるのです…

 

三バカ大将たちによって殺処分される羊たち。

それを眺めるインパーソネーターたちは

演じている人格ではなく

自分自身の感情で涙したのです…

 

 

 

さて、果たしてインパーソネーターたちが開催した地上最大のショウは、どのようなものだったのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

マイケルが村を訪れた時に

打ち上げられた歓迎の花火!!

心温まる素敵なシーンですが

マリリン・モンローと

マイケル・ジャクソンに対する

歓迎の花火だと考える

なんだかショボい感じですね…

 

 

【映画と音楽】価値のある人生、追求するべからず。

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作はご覧になる方によって感想が異なる上に、軽々に解説してはいけないテーマも含んでいる哲学的な作品。

 

ですのであくまでも私見として読んで頂ければ幸いなのですが、本作は何者かになりきる事で自分の人生を有意義にしたいと考えるインパーソネーターたちが陥るであろう陥穽 (かんせい=落し穴の意味)を描いたような作品であると考えられます。

 

 

マイケルを始め、本作に登場するインパーソネーターたちはみんな心優しい善人ばかり。

 

ですが彼らは、自分の意志で何かを決断したり挑戦する事はせず、あくまでも演じているキャラクターが行うであろう行動を模倣しているだけの存在であり、実在のキャラクターたちのように、様々な成功や失敗を通して自分のキャラを醸造していくような存在ではなかったのです。

 

 

そう。

 

人に歴史あり。

 

 

マイケル・ジャクソンも、マリリン・モンローも、自分の人生を懸命に生きた結果、我々の知っているマイケル・ジャクソンやマリリン・モンローとなっていたのであり、誰かの模倣をしていた訳ではないのです!

 

ヨハネ・パウロ二世と乾杯する

世界的有名人たちですが

自分の実力で有名になった人は

ここには一人もいないのです…

 

 

では、他者を模倣して生きて来た人はどうなってしまうの?

 

それは恐らく羊たちと同じ運命。

 

 

飼われている羊は、従順で柔和な存在でしたが、殺されるまで個性を発揮する事はなく、周囲の羊の模倣をするように殺されてしまうのです…

 

自身の意志を持たず

周囲と同化している羊たちは

自主的な決断を放棄し

殺害されようとしても抗いません。

では、他者を模倣する事で

自主性を放棄して生きている

人たちの未来は…

 

 

私見ですがそんな本作はキネマ旬報社さんの解説のように他人を演じることでしか生きられない男の、少し不思議でかなり不器用な姿を描いた、いとおしいほど純粋なラブストーリーとして観る事もできる作品かもしれませんが孤独を紛らわすために、他者を模倣するという行為は、結果的に自主性を奪って、なれたかもしれない未来が消えて行く事にならないか?という、ぼっちの人への応援メッセージが込められた作品としても観る事ができる作品ではないかと思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?

 

卵にインパーソネーターたちの

顔を描いているマイケルは

卵の彼らと話をします。

 

ですがその会話は結局

自分との対話でしかないので

マイケルの頭で考えた答えしか

帰って来ないのです。

 

では有意義な人生とは何か?

それは、本作の途中で挿入される

シスターの人生で語られます。

 

人生がどうなるかは誰にも分からず

奇跡が起こるかもしれませんし

不慮の死が訪れるかもしれないのです…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

シャーリー・テンプルって誰?

 

というテーマで

 

テムプルの愛国者

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい孤独な人の心を描いた作品
「サンタ・サングレ 聖なる血」

 

本作も何の予備知識もなく観ると

"変な映画"だと思われる作品ですが、

一度ご覧になった後、

観るべきポイントを絞って

再度ご覧になって頂けると、

初見では気付けなかった

監督の描きたかった事が

理解できるようになる作品。

 

本作は孤独とトラウマを

描いた作品だと考えられます。