こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と発掘良品の発掘⑲というテーマで
ボスを倒せ!(1956)
(原題:RED SUNDOWN)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★発掘良品の発掘とは?
↑今月のラインナップの詳細はコチラ!
本作は1956年に公開されたアメリカの西部劇ですが、監督されたジャック・アーノルド氏は、あの「大アマゾンの半魚人」を撮られた方。
ホラー映画のテイストながら人魚姫的な切ない話になっている「大アマゾンの半魚人」は「不思議なホラー映画」とでも言うべき作品なのですが、本作も「不思議な西部劇」とでも言うべき作品!
人間に恋した美しい人魚の話ではなく
人間に恋した不気味な魚人の映画である
「大アマゾンの半魚人」は
美しい水中撮影が話題となった作品!
そんな本作は、亡き兄の親友を目前で殺害されたガンマンの青年が、殺害した悪党に復讐しないという不思議な展開の「ボスを通さない」西部劇なのです。
深夜に家を取り囲んだ悪党は
ドアの前に立った兄の親友を狙撃!
こんな卑怯な方法で知り合いが
殺害されたのに復讐しないの!?
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
そんな本作の冒頭のストーリーは以下の通り。
① 早撃ちガンマンとして知られているアレックはある日、瀕死の状態で荒野をさまよっていた老人を救出しますが、近寄ってみると老人は、かつてアレックの兄と行動を共にしていたパーヴィスという早撃ちガンマンでした。
かつての名声が見る影もない
早撃ちガンマンのパーヴィスを発見し
救出に向かうアレック
② 再会を懐かしむ二人でしたが、自分の兄が死亡した事をパーヴィスに伝えたアレックに対し、アレックの兄のパートナーだった男も先日射殺された事を伝え、早撃ちガンマンの時代が終わりつつある事を感じながらパセオという街へ向かいました。
兄も死に、兄のパートナーも死に
パーヴィスも脱獄して逃走中…
もはや早撃ちガンマンは時代遅れ?
③ パセオに到着し二人は酒場に向かいますが、外の井戸で旅の汚れを落としていた2人が店に戻ると、アレックの帽子が置いてあった席は5人の若者たちに占拠されており、若者たちと言い争いになったアレックは、自分に銃口を向けた若者の一人を射殺してしまいます。
アレックの帽子を投げ捨てる
無軌道な若者たち!
無礼な若者たちに
堪忍袋の緒が切れたアレックは
自慢の早撃ちで一人を瞬殺。
④ 銃撃後、馬に乗って逃走したアレックとパーヴィスは荒野の空き家で一晩を過ごす事にしますが、彼らを追跡して来た若者たちは深夜になってから2人を襲撃し、迎え撃とうとしたパーヴィスは致命傷を負い、瀕死のパーヴィスは、自分が囮なるので無事生き残れたら復讐を考えずガンマンを引退するようアレックに命じたのです。
家を取り囲んだ4人の若者は
籠城している2人を炙り出すたるに
家に火を放って来ました!
…家を取り囲まれて火を放たれてしまったら、アレックも逃げられないのでは?
さて、パーヴィスはどんな方法でアレックを生き延びさせたのでしょうか?そして生還したアレックは、その後どんな人生を送ったのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
四方を囲み放火されれば
脱出するのは不可能!
アレックは一体どうやって
生き延びたのでしょう?
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は第二次世界大戦で勝利したアメリカで作られたにも関わらず、ガンマンたちのサンダウン (日没)を描いたような高揚感のない西部劇。
私は第二次世界大戦を体験していませんので憶測で語るしかありませんが、1945年に第二次世界大戦で勝利しパックス・アメリカーナを実現したはずのアメリカに待っていたのは、1950年に開戦した朝鮮戦争であり、兵士たちは、一つの戦争で戦功を立てたとしても、次の戦争、次の戦争へと駆り立てられ続け、気が付けば仲間との死別を痛感するようになっていったのではないかと思います…
そう。
近代の戦争は短期決戦で終わるような合戦ではなく、相手の兵力を損耗させ続ける殲滅戦。
パーヴィスが自分より年下のアレックの寂しそうに語った、自分の同世代のガンマンはみんな死んでしまったというのは、1945年まで続いた第二次世界大戦に参加したベテラン兵士たちが、続く朝鮮戦争で戦争に参加した若い兵士たちに語った言葉に通じるものがあったのではないかと思われます。
早撃ち名人のパーヴィスは
アレックに向かって
今の夢は、定職に就いて
平穏な生活を送る事なんだと
自嘲気味に笑いますが
納得できないアレックは
憮然とした顔。
これは長年戦場にいた兵士と
新兵とのやり取りみたいです。
私見ですがそんな本作はガンマンを辞めたアレックが、苦心しながらも銃に頼らない第二人生を模索してゆく西部劇であると同時に兵士としてのスキルしか持たない人間が、第二の人生を歩む事の難しさを説きつつ、それを実行しようとする若者にエールを送っているような作品という視点で観る事もできる作品ではないかと思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか?
九死に一生を得たアレックは
自分の半生をベッドの上で想います。
銃を早く撃って相手を殺す。
この人生の先には
どんな結末が待っているだろう…
本作の主題歌の歌詞の冒頭は
銃を持った男には
語るべき物語があるかもしれない。
銃をどのように間違って使っていたか。
どのように上手く使用したか。
道中の待ち伏せ、街中での対決
彼らはカウボーイの人生の葛藤を語ります
夜明けから日没まで
というガンマン人生とは
何だったかを語るしんみりしたもの。
そしてこの後の歌詞は
愛したキャロラインという女性に
ウェディングドレスを着て
待っていて欲しいという
戦士の引退表明のような内容と
なっているのです…
という訳で次回は
南米×ジャングル×遭難
というテーマで
太陽に向って走れ
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
併せて観たい発掘良品作品
「殺しが静かにやって来る」
本作は容赦ない残酷描写で名高い
セルジオ・コルブッチ監督の
ショッキングなマカロニ・ウェスタン!
サイレンスという名の殺し屋は、
幼い頃悪党に喉を切られて、
声帯を失ってしまった男!
そんなサイレンスの仕事は、
指名手配されて山岳地帯に逃げ込んだ
お尋ね者たちを狙う
賞金稼ぎたちを始末する事。
指名手配されたお尋ね者を
狙う賞金稼ぎなら、
悪人ではないのでは??
いいえ。
指名手配のお尋ね者たちは、
山の奥深くで息をひそめて
暮らしている元南軍の兵士たち!!
彼等は以前南軍に所属してた
というだけで賞金首となり
人間狩りの標的となっていたのです・
本作は、そんな残忍な人間狩りが
平然と横行していた
"法の支配が及ばない辺境"
で起こった悲劇が描かれた、
実話に基づく作品なのです…