こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と発掘良品の発掘⑮というテーマで
殺しが静かにやって来る(1969)
(原題:IL GRANDE SILENZIO)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★発掘良品の発掘とは?
本作は海外版のポスターに「真紅のバージョン」と「紺碧のバージョン」が存在するマカロニ・ウェスタン!!
↑コチラ紺碧バージョン!!
…一体どうして正反対の色のポスターが存在するのでしょう?
恐らくですがその理由は、本作は「真紅の血が流れる映画」であると同時に、深々と降る雪によって凍り付いた「紺碧の西部の世界が描かれた映画」だからだと思われるのです…
↑紺碧の西部の雪景色に真紅の血の雨が降る!
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
はい。
本作は、容赦ない残酷描写で名高い「続・荒野の用心棒」を撮られたセルジオ・コルブッチ監督による、ショッキングな内容のマカロニ・ウェスタン!
↑主人公がガトリング砲で敵を虐殺する
「続・荒野の用心棒」!
そんなコルブッチ監督が作られた本作は「観終わった後トラウマになるようなラストが用意されているショッキングな作品」ですので、ご覧になる際にはどうぞご留意頂ければと思います🤠🤠
本作の主人公は、サイレンスという名の殺し屋!
サイレンスという名前からは、ゴルゴ13みたいな凄腕スナイパーを想像されるかもしれませんが、彼がサイレンスという名前である理由は、幼い頃に悪党に喉を切られて、声帯を失った男だから!
↑サイレンスは「静かな殺し屋」ではなく、
「声帯を失って喋れない殺し屋」です!
そんなサイレンスの仕事は、指名手配されて山岳地帯に逃げて込んでいるお尋ね者たちを狙う賞金稼ぎたちを始末する事。
ん?
指名手配されたお尋ね者たちを狙う賞金稼ぎなら、良い賞金稼ぎなのでは??
いいえ。
指名手配のお尋ね者たちは、山の奥深くで息をひそめて暮らしている元南軍兵士たち!!
確かに彼等はかつて悪事を働いていたかもしれませんが、本作の舞台である南北戦争終結後のアメリカでは、政府の出した「フロンティアラインの消滅宣言」によって、かつて指名手配されていた軍兵士にも恩赦が与えれていたのです。
ですが中央政府から遠く離れた辺境の地では、賞金稼ぎたちが政府の命令を無視して南軍の残党狩りを続けていたのです!!
↑とっくの昔に南北戦争が終わっているのに
辺境地帯では賞金稼ぎたちが人間狩りをしている!
早く辞めさせないと!!
人間狩りを問題視していた知事は、人間狩りが多発しているユタ州のスノーヒルという小さな町にゲデオンという保安官を赴任させ、事態の鎮静化を進めようとしますが、スノーヒルで人間狩りが止まらない理由は、町の権力者である悪徳判事のポリカットが、自分の気に喰わない人間を賞金稼ぎたちに殺させた返礼として、人間狩りを許容していたからだったのです!!
↑「フロンティア消滅宣言なんて知らないね!」
保安官不在のスノーヒルを支配している
判事のポリカットは、自分に逆らった人間を
賞金稼ぎに抹殺させていたのです!
さて、そんな政府の意向が届かないスノーヒルに赴任したゲデオンは、一体どうなってしまうのでしょうか?そして、賞金稼ぎたちの人間狩りを阻止していたサイレンスには、どんな運命待っていたのでしょう?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
↑寒冷地仕様の特性ホルスターを持つ
雪山完全対応の殺し屋サイレンスと…
↑慣れない雪山で立ち往生するゲデオン保安官!
スノーヒルに到着する前に遭難確定か!?
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は法の及ばない場所では、何が行われてるかを冷徹な視線で描いた作品!!
スノーヒルの支配者である判事ポリカットは、権力に酔いしれた男。
自分が邪悪な支配者である事を隠さないポリカットは、好みの女性を自分のものにするために賞金稼ぎのロコに、彼女の夫を殺させるような人でなし!
そんな残虐な任務を引き受けている殺し屋ロコは、金が稼げるなら人を殺す事を全く躊躇しないシリアルキラー!
アメリカ政府の法の支配が及ばないスノーヒルは、法律を自由に解釈できる判事のポリカットや、命令通り人を殺すだけで報酬が手に入るロコたちにとっては、理想郷のような村だったのです。
↑スノーヒルで夫と暮らしている
ネイティブアメリカンのポーリーンは
ポリカットに狙われてまい…
↑ポリカットの子飼いの殺し屋ロコによって
白昼堂々夫を殺されてしまいます
↑山奥で隠れ住んでいた元南軍兵士の若者を
母親の目の前で射殺するロコと仲間たち!
↑ポリカットやロコにとってスノーヒルは
現状のままでいて欲しい理想郷だったのです!
ではそんな村に、新しい保安官として赴任して来た"公的な善人”のゲデオンや、困っている人のために悪党と戦う“私的な善人”のサイレンスは、果たしてどのような扱いを受けるのでしょうか?
私見ですが、そんな本作は単なる娯楽作ではなく、法が機能しない暴力が支配する場所に、公的な善人や私的な善人がやって来たとしたら、どのように扱われるかを描いたマカロニ・ウェスタンなのだと思います。
↑殺された夫の復讐のために
私的な善人のサイレンスを雇って
ロコを殺して欲しいと頼むポーリーン。
↑サイレンスを殺そうとしたロコを逮捕し
ポリカットからの抗議も受け付けない
公的な善人のゲデオン。
そう。
法が届かない場所で人々が道徳的に行動するかどうかは予断を許さないもの!
本作の原題は「IL GRANDE SILENZIO=THE GREAT SILENCE(グレート・サイレンス)」!
このタイトルは、高潔で偉大なる英雄のサイレンスを意味していると思われますが、サイレンスという言葉の意味は沈黙!!
ですのでサイレンスを名前ではなく「沈黙」という単語だと読み替えた場合、法の及ばないスノーヒルの村で行われていた、誰も黙して語らない(グレート・サイレント)ショッキングな出来事を描いた映画だと考える事もできます。
法の支配が及ばない強権的な国や、学校のように治外法権のある場所で起こった目を覆うような悲惨な事件も、多くの場合、誰も黙して語らない(グレート・サイレント)として扱われます…
本作は、監督によるショッキングなテロップで幕を閉じますが、観終わった皆様は、果たして本作の原題を、どちらの意味だと思われるでしょうか😥
↑「偉大なサイレンスの映画」なのか
それとも「みんなが黙して語らない映画」なのか…
私としては後者だと思いますが
皆様はどうお考えにな根のでしょうか?
という訳で次回は
ガンマン心得10か条!
というテーマで
怒りの荒野
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
併せて観たい発掘良品!
「処刑教室」
法の秩序が及ばない世界は、あっという間に暴力に支配されます!
80年代アメリカの校内暴力を描いた本作には、未成年である事を逆手にとって、暴虐の限りを尽くすフツウの高校生たちが登場するのです!!!