こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑲というテーマで

 

にがい米(1948)

(原題:RISO AMARO)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、惜しまれながらも2022年3月に終了を迎えた、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 

 

戦争直後のイタリア映画

 

本作は1949年に公開されたイタリア映画。

 

第二次世界大戦が終結したのが1945年ですので、本作は戦争直後のイタリアの姿を描いた作品。

 

同時期に作られた有名なイタリア映画といえば「自転車泥棒 (1948年)」。

 

困窮する敗戦後のローマで塗炭の苦しみを味わう父子の姿が描かれた「自転車泥棒」ですが、「にがい米」は同じイタリアでも舞台はフランスやスイスに近いイタリア北部のポー河流域の水田地帯!

 

ヨーロッパでは珍しい水稲を行っているポー河流域で米を植えているのは、家計を助けるために数週間だけ出稼ぎにやって来ているイタリア人の女性たちだったのです。

 

戦争直後のローマの姿が描かれた

「自転車泥棒」は父子の映画!

 

それに対して、稲刈りのために

集まって来たていたのは

イタリア人の女性たちだったのです…

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

ルイジ・デ・ラウレンティス(「シーラ山の狼」の製作者ディーノ・デ・ラウレンティスの弟)が製作を担当した一九四九年度作品で、ディーノは蔭で製作を統括した。

「荒野の抱擁」のジュゼッペ・デ・サンティスの監督作品で、「荒野の抱擁」と同様彼とカルロ・リッツァーニ、ジャンニ・プッチーニの協力ストーリーから、以上三人とコルラード・アルヴァロ、カルロ・ミュッソ、イーヴォ・ペリッリが脚本を執筆している。

撮影は「戦火のかなた」「荒野の抱擁」のオテロ・マルテリ、音楽はゴッフレード・ペトラッシの担当。主演は「シーラ山の狼」のヴィットリオ・ガスマン、「白い国境線」のラフ・ヴァローネ、アメリカ女優ドリス・ダウリング(失われた週末)と「シーラ山の狼」で日本に紹介されたシルヴァーナ・マンガーノが初めて大役に抜擢されて主演する。

他にマリア・グラツィア・フランチャ、チッコ・リッソーネらが出演。

北伊ポー河流域の水田地帯に、毎年多数の女が田植え・田草取り労働に出稼ぎする。

これらモンディーナと呼ばれる女達の生態をドキュメンタリー的にとらえながらイタリア戦後派人物群のメロドラマを展開する作品で、現地ロケの効果を生かしたデ・サンティスのダイナミックな演出と、シルヴァーナ・マンガーノの魅力とで評判になった。
 

 

 

 

むむ。

 

イタリアで田植え・田草取りをする出稼ぎ女性の事をモンディーナと言うんですね!!

 

 

 

ちなみに本作の冒頭のストーリーは以下の通り!

 

① 宝石強盗を行い警察に追われていたワルテルという男は、駅で待ち合わせていた情婦のフランチェスカと共に列車に乗って逃亡する予定でしたが、警察が駅に張り込んでいるのを察し、盗んだ首飾りをフランチェスカに預けてモンディーナたちに混じって田植えに行くよう命じ、自らは逃亡してしまいます。

 

状況が分からず困惑する

フランチェスカに向かって

逃げろと命じワルテルは、

この後逃亡してしまい

フランチェスカは突如

モンディーナをする事態に!

 

 

② ですがモンディーナを行うためには予め予約が必要。困っていたフランチェスカは、シルヴァーナという若くてダンスが好きな女性に助けられモンディーナの手配師を紹介してもらえました。

 

突然の事に途方に暮れていた

フェルディナントを助けてくれたのは

シルヴァーナという若い女性。

 

 

③ 他のモンディーナたちが粛々と仕事をしているのは異なり、シルヴァーナは田舎暮らしをエンジョイしたくてモンディーナに参加しているような女性で、モンディーナの監視役のマルコという兵士の男と結婚する約束をしていました。

 

旧知のシルヴァーナとマルコは

この仕事を終えたら結婚する予定。

シルヴァーナはデート感覚で

モンディーナに参加していたのです!

 

 

④ ですが自由奔放なシルヴァーナは、駅でフランチェスカと一緒にいたワルテルににも魅力を感じており、数日後にフランチェスカに会いにやって来たワルテルにも色目を使い始めたのです…

 

の眼前で

ワルテルを誘惑しているような

セクシーダンスを披露するシルヴァーナ!

ワルテルもノリノリです。

 

 

さて、フランチェスカとワルテル、そしてシルヴァーナとマルコの恋愛関係は、一体どのようになってしまうのでしょう?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

フランチェスカとシルヴァーナ!

二人の恋の行方は!?

 

 

【私の感想】愛が至上のラテン系倫理観

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は前回ご紹介させて頂いた「イタリア式離婚狂想曲」と同様、愛を至上のものと考えるラテン系の方々の恋愛観を知る上で参考になる作品。

 

映画の冒頭では恋愛関係だったのはワルネルとフランチェスカ、そしてマルコとシルヴァーナでしたが、劇中で視線が合っただけで惹かれ合ってしまうのはワルネルとシルヴァーナであり、飛び入りモンディーナとして孤軍奮闘していたフランチェスカに同情したマルコは、気が付けば相思相愛となってゆくのです…

 

 

そう。

 

ラテン系の人々にとって恋愛感情は誠実さより上位に位置するもの。

 

 

相手に奔放さを求めるワルネルが、相手に誠実さを求めるフランチェスカよりも、奔放さをさらけ出すシルヴァーナに魅力を感じるのは必然であり、その感情に従うのであればワルネルとフランチェスカが惹き合うのは、ラテン的な社会では当然の帰結なのかもしれないのです…

 

映画の冒頭、警察に追われたワルネルは

平然とフランチェスカを人質して

わが身を守ろうとします。

 

誠実なフランチェスカにとって

この行為は裏切りですが

奔放なシルヴァーナは

恋人を犠牲にするような

ワルネルの生き方はカッコいいと

感じてしまったのです!

 

 

私見ですがそんな本作は誠実なフランチェスカと奔放なシルヴァーナの生き方の対比が描かれた恋愛映画であり、どちらに感情移入するかによって悲劇の映画なのかハッピーエンドなのかが変わってくる作品であると同時に恋のためなら倫理を逸脱してしまうのは仕方がないと考えるラテン系の方々の中でも、破滅的な生き方をしている男性に恋してしまった女性は、場合によって、世界を滅ぼすような悪行を行ってしまうかもしれない事を描いた作品としても観る事ができる気がするのですが、皆様はどう思われますでしょうか?

 

恐らくですがイタリア人の感覚では

シルヴァーナは奔放ではなく

自分の気持ちに正直な純真な女性!

 

彼女がマルコとの結婚を

望んだのは正直な気持ちでしたが

その後より魅力的なワルネルが

彼女の前に現れた事で

マルコが退屈な男だと思えたのも

嘘偽りない気持ちなのです…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

ミュージカル in ナポリ!

 

というテーマで

 

ナポリの饗宴

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品!
「女はみんな生きている」

 

街で暴行されている女を無視して

車で逃走した夫に対し
同乗していた妻は違和感を感じ
暴行された見ず知らずの女性を

見舞に行きました。
 

そして妻は気づいてしまうのです!
 
自分は今までずっと

夫の言うなりだったという事を…

本作に登場する女性たちは

自分の気持ちに正直になって

生きるようになると
男性たちよりずっと大胆な
そして勇気ある決断が

できるようになってゆくのです😉