こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑱というテーマで

 

偽の売国奴(1962)

(原題:THE COUNTERFEIT TRAITOR)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、惜しまれながらも2022年3月に終了を迎えた、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 
 
今日の世界でも起こり得る諜報戦の闇!

 

本作は1962年に公開されたアメリカ映画ですが、映画の舞台は1942年のヨーロッパ。

 

1941年に始まった第二次世界大戦によってヨーロッパは戦禍の中に叩き込まれる事になりますが、そんな中でもビジネスマンたちは、自社の権益拡大のために行動し続けていました!

 

 

本作は、第二次世界大戦で中立国だったスウェーデンのビジネスマンが、自分の意志とは関係なくスパイにされてしまうという、今日の世界でも起こり得る諜報戦の闇を描いたサスペンス作品なのです

 

戦場ではない平和なスウェーデンで

主人公はどうしてスパイに

仕立てられてしまったのでしょうか?

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

第二次大戦で大物スパイとして知られたアメリカ生まれのスエーデン人エリック・エリクスンの実話に取材した戦争秘話。

アレクサンダー・クラインのストーリーを「結婚泥棒」のジョージ・シートンが脚色・監督した。

撮影はジャン・ブールゴアン、音楽はアルフレッド・ニューマン。出演は「誘惑の夜」のウィリアム・ホールデン、「結婚泥棒」のリリー・パルマー、「ベン・ハー(1959)」のヒュー・グリフィスなど。

製作はウィリアム・パールバーグ。
 

 

 

はい。

 

解説にある通り、本作は実話に基づく作品であり、主人公の名前も実際にスパイとなっていたエリック・エリクスン自身のものですので、本作で描かれている事は現実に即している事と推測されます。

 

そんなエリックの仕事は石油取引を行っているビジネスマン。

 

彼は第二次世界大戦が始まった後もドイツに石油を売っていたとして、新聞にナチスに加担している人間だとして連合国軍の非人道的な人間としてブラックリストに載せられると報道されてしまいます!

 

顔写真付きで新聞に糾弾されるエリック。

 

別にドイツに加担するつもりはなかったエリックは、突然自分の身に降りかかって来た糾弾の嵐にうろたえますが、実はこの報道は、まだドイツと関係を持っていたエリックをスパイとして利用しようと考えた連合国側の計略だったのです!!

 

 

困窮しているエリックに接触して来たイギリスの諜報部員は、エリックがスパイとしてドイツ軍に協力するフリをしながら、ドイツ国内にある精油工場の所在地を自分たちに報告してくれればブラックリストから除外するという提案をしますが、断ればエリックの会社は倒産してしまいますので断れる訳はありませんあせるあせる

 

もし連合軍に協力してくれないなら

ブラック企業として弾劾して倒産させるよ!

 

 

仕方なくスパイになる事を承諾したエリックでしたが、彼の任務を実行するためには、友人や知人や自分の妻さえも騙して、ナチスドイツに近づいて利権を貪る偽の売国奴のフリをしなければならなかったのです!

 

戦争の長期化に備えたナチスドイツは

他国から石油が輸入できなくなる事に備え

ドイツ内に新しい製油施設を作るという

エリックの(嘘の)提案に興味を示し

国内の石油施設を視察する許可を出します。

 

 

けれどこの作戦は、以前から付き合いがあったドイツ国内の友人たちを破滅させる可能性があるものであり、親友たちを騙さなければならない状況に、エリックは苦しみ続ける事になるのです…

 

 

さて、果たしてエリックが実行した石油施設情報漏洩作戦は、果たして連合軍の戦果に影響を与えられたのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

エリックの古くからの取引先である

ドイツ石油協会会長オルデンブルグ男爵は

孤立しつつあるドイツに

協力してくれるエリックの申し出に

感謝しますが、彼の計画が発覚すれば

オルテンブルグ男爵もナチスに

処罰されてしまうのでは?

 

 

【私の感想】ビジネスマンの陥穽(落し穴)

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作におけるエリックは、連合軍側のスパイに仕立て上げられた事で最終的には西側の勝利の一翼を担う事になるのですが、当然の事ながら彼とは逆に、第二次戦時中にドイツ側のスパイに仕立て上げられていたビジネスマンも少なからず存在したのではないかと考えられます…

 

 

そう。

 

ビジネスとは、自分のビジネスの生殺与奪を握られた時点で、相手の言いなりなるしかないものなのです。

 

 

本作でエリックの会社の生殺与奪を握ったのは連合軍でしたが、もし連合軍より先にナチスドイツによってエリックの会社が存続の危機に陥ったとしたら、彼はっとドイツのスパイとなる事を承諾したのではないかと思います…

 

ナチスドイツの信頼を得るために

ユダヤ人の友人だった男を

人々の面前で侮辱するエリック!

 

自分の仕事を守るためなら

友人の人格だって否定するのが

ビジネスマンなのです。

 

 

私見ですがそんな本作は、キネマ旬報社の解説にある通り第二次大戦で大物スパイとして知られたアメリカ生まれのスエーデン人エリック・エリクスンの実話に取材した戦争秘話であると同時に世界で紛争が多発している現在、自分のビジネスの生殺与奪を奪われると感じたビジネスマンが、自国や友人を裏切ってスパイ行為を行っている可能性があるかもしれない事を気づかせてくれる作品ではないかと思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?

 

ナチスドイツに信用されたエリックは

ドイツ国内の石油施設の情報を

連合軍に提供した事で、それらの施設は

空爆によって破壊されます。

 

けれど彼の情報による空爆で

無関係の人々も殺害されてしまいます!

エリックのパートナーだった

女性スパイはこの結果を嘆きますが

エリックは仕方のない犠牲だったとしか

語る事はありませんでした。

 

そしてきっと、次の戦争で

自国に大量の犠牲者が出たとしても

敵国に生殺与奪を奪われていた

ビジネスマンはきっとこう言うのです。

「仕方のない犠牲だった」と…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

混水摸魚の計

 

というテーマで

 

寒い国から帰ったスパイ

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たいホラー・オムニバス映画!
「暗殺の詩/知りすぎた男どもは、抹殺せよ」

 

本作は政治不信が世界中に

蔓延していた1970年代のフランス映画。

一見平和そうに見える庶民の日常が、

実は政府に管理されているのでは?

というパラノイア的な視点の映画は

発掘良品に多数ラインナップされています。
 

けれど政府に管理される社会を

常に否定しているフランスでも、

アメリカと同じように、国民が国家によって

管理さていると考える人たちがいる事を示す

本作は歴史的にも重要な作品!

 

政府に追われていると言って

逃亡している人間に出会った時、

個人の言動を疑いますか?

それとも為政者を疑いますか?