こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑱というテーマで

 

サスペリア(1977)

(原題:SUSPIRIA)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、惜しまれながらも2022年3月に終了を迎えた、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 
 
発掘良品の超メジャー作品!

 

本作は1977年に公開されたイタリア映画。

 

恐らくですが映画ファンの方で「サスペリア」を知らない方はいらっしゃらいと思いますので、発掘良品にセレクトされるのはおかしいのではないかと思われる方もいらっしゃると思います。

 

ですが発掘良品第52弾にも「ゾンビ」という超有名作品がセレクトされており、こちらは「ディレクターズ・カット完全版」が発売された時期にセレクトされており、本日の「サスペリア」がセレクトされた理由は「4K レストア(修復)版」が公開されたからだと推測されます😊

 

尚「4K レストア版」とは、過去の作品を最新のデジタル技術を駆使し高画質化すること!

 

詳しい解説は、こちらのサイトを参照されて下さい。

 

 

色褪せてしまった作品を修復して、作品が作られた当時の色や光を再現してゆく「レストア」という作業は、絵画や彫刻などの世界で確立された技術であり、芸術的な価値を再確認するためにも重要な技術となっております!

 

ですので本作は、そんなレストア作業によって蘇った「色の魔術師」と言われているダリオ・アルジェント監督が撮影した当時の色や光を忠実に再現した芸術的価値のある「サスペリア」なのです!!

 

オープニング直後から、

画面には色鮮やかな赤!赤!赤!

 

そんな本作はホラー映画であると同時に

幻想的なライティングを堪能する事ができる

芸術作品でもあるのです!

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

アメリカよりやって来たバレリーナの身に起こる数々の恐怖の出来事をサーカム・サウンド(立体音響方式)で描くホラー映画。

製作はクラウディオ・アルジェント、監督・脚本は「4匹の蝿」のダリオ・アルジェント、撮影はルチアーノ・トヴォリ、音楽はゴブリンが各々担当。

出演はジェシカ・ハーパー、ステファニア・カッシーニ、アリダ・ヴァリ、ジョーン・ベネット、ウド・キア、フラビオ・ブッチなど。

2019年初夏、4Kレストア版が公開
 

 

 

 

…サーカムサウンド汗

 

確かに本作はキネマ旬報社さんの解説にある通りアメリカからやって来たバレリーナの身に起こる数々の恐怖の出来事を描いたホラー映画ですが、サーカムサウンドというのはダリオ・アルジェント監督の意図したものではなく、日本の配給元である東宝東和が開発した音響システムの事!

 

ですのでサーカムサウンドについての解説は割愛させて頂き、本稿では「サスペリア」が単なるホラーではなく、芸術的視点で鑑賞する事ができるポイントをいくつかご紹介できればと思います。

 

サーカムサウンドにご興味のある方は

こちらのサイトをご参照ください。

 

 

映画の冒頭バレリーナを目指している主人公のスージーは、ドイツにあるバレリーナ養成校として名高いフライブルクバレー学園に入学するために深夜の空港に降り立ちました。

 

激しい嵐の中、なんとかタクシーに乗り込んだスージーは、フライブルク学園のあるエッシャー街へ向かうよう運転手に伝えますが、ご存知の通りエッシャーは観客が画面の中の変化に幻惑されるような不思議な絵を描いていた芸術家の名前!

 

幾何学的な絵のハズなのに

描かれているモチーフが変化してゆく

エッシャーの不思議な絵。

 

 

そんなエッシャーの絵をモチーフは、映画の冒頭で殺害される女学生の部屋の壁紙にも使用されており、本作が「エッシャー的な画面の中の変化に幻惑されるような不思議な映画」である事を暗示しています。

 

明らかにエッシャーの絵の壁紙!

 

 

嵐の中、スージーがフライブルク学園に到着した時、学園のドアが開き一人の女学生が飛び出して来ます。

 

彼女は錯乱している様子で「秘密よ。扉の陰にアイリスが3つ。青を回して!」という謎の言葉を叫んで森の中を走り抜けて、友人の住むアパートへと逃げ込みます!

 

タクシーで学園に到着したスージー。

 

彼女が到着した時、一人の女学生が

ドアから飛び出して奇妙な言葉を叫び…

 

深夜の森を走って友人の住むアパートへ!

 

このシーンはエッシャーではなく

ルネ・マグリットの「白紙委任状」などの

森の錯覚をモチーフにしたのでは?

 

女学生の友人が住むアパートは

エッシャーのようなだまし絵的デザイン!!

 

 

けれど、アパートに逃げ込んだ女学生はその後、友人の女学生と共に謎の死を遂げてしまったのです!!

 

何者かに襲われた女学生は

縊死(首つり)させられてしまいます…

 

 

さて、果たして女学生は何故、深夜の学園から逃げ出した後、殺されてしまったのでしょう?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

一方、無事入学したスージーは

学園内の不気味な雰囲気に困惑します。

…ここ、何か変よ!!

 

尚このシーンの女性と子供は

ベラスケスの「ラス・メニーナス」の

右端の2人を模したものだと言われています…

 

 

【私の感想】現実感を失わせる芸術

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、ここまでご紹介させて頂いた謎めいたシーンだけでも本作を観たくなってしまった方はいらっしゃるのではないでしょうか?

 

 

そう。

 

芸術とは人間の想像力によって生み出された現実とは異なる世界!

 

 

そしてそんな芸術の中には、鑑賞している人間の現実感を失わせ、アートの世界に引き込んでしまうような作品も少なくないのです!

 

観客の現実感を失わせるゴッホの絵画。

 

観客の現実感を失わせるアンリ・ルソーの絵画。

 

観客の現実感を失わせるエッシャーの絵画。

 

 

本作もまた、鑑賞している人間の現実感を失わせ、アートの世界に引き込んでしまうような感覚を呼び覚ますような芸術的視点によって作られた作品であり、一度観たら忘れる事ができない絵画のような魅力を持った作品ではないかと思います。

 

何度見ても印象深い、色彩、デザイン

そして謎めいた物語!!

 

 

私見ですが本作はキネマ旬報社さんの解説の通りアメリカからやって来たバレリーナの身に起こる数々の恐怖の出来事を描いたホラー映画であると同時に観客を幻想の世界へと誘う芸術作品と同じ手法で作られた作品であり本作をご覧になった方への新たなインスピレーションの源となるような作品ではないかと思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?

 

本作の鮮やかな色彩やデザインは

様々なクリエイターに引用されていきます。

 

2015年に公開された幻想的な

「ユリ熊嵐」という学園少女アニメにも

本作の引用が多数発見できます。

 

エッシャーが想像した幻想的な世界は

ダリオ・アルジェント監督に受け継がれ…

 

それは更に「ユリ熊嵐」という

全く別の幻想作品のモチーフとなってゆく。

 

そう。

芸術とは受け継がれてやくものなのです…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

ビリー・ザ・キッド異聞

 

というテーマで

 

ヤングガン

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品!
「ゾンビ デレクターズ・カット完全版」

 

本作もまた、数えきれないほど

多くの映画に受け継がれて来た作品!


そんな有名作品「ゾンビ」は、

どうしてTSUTAYA発掘良品に

セレクトされたのでしょう?

本稿では、この有名作品について

改めて解説するのではなく、

なぜ「ゾンビ」が発掘良品に

セレクトされたのか?

について考察しています。