こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑱というテーマで

 

SF核戦争後の未来・スレッズ(1984)

(原題:THREADS)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、惜しまれながらも2022年3月に終了を迎えた、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 
 
覗いてはいけない世界

 

本作は1984年に公開されたイギリスのBBCが作製したイギリス映画。

 

前々回ご紹介させて頂いた「ヘンリー/ある連続殺人鬼の記録」と前回ご紹介させて頂いた「タッカー」と同様、本稿のサブタイトルも「覗いてはいけない世界」とさせて頂いただきました。

 

ですが「ヘンリー/ある連続殺人鬼の記録」が「殺人鬼の心を覗き見る危険性のある作品」であり「タッカー」が「既得権益を持つ人々の脅威になる存在を排除して来たアメリカの闇を描いた作品」という、自分の方から近づく事がなければ影響を受ける事のない能動的な世界を描いた映画なのに対し、本作は世界中の人間が望むと望まざるとに関わらず近い将来体験するかもしれない能動的な世界を描いた作品!

 

 

本作で描かれているような事が実際に起こった場合、世界中で生き残れる人間はごくわずかではないかと思われるのです…

 

もし核爆弾が上空で爆発した場合、

最初に破壊されるのは電気系統!

もう電話もパソコンも使用できませんあせる

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

『ボディガード』のミック・ジャクソン監督によるSFムービー。

米国を主体としたNATO軍とソ連軍が核戦争を開始。

その後の影響について軍事専門家らに助言を受け、そのシミュレーションを描きながら、核戦争後の崩壊した世界での地獄の日々を綴る。

監督・製作:ミック・ジャクソン 製作総指揮:グレアム・マッセイ/ジョン・パーディー 脚本:バリー・ハインズ 出演:リース・ディンズデール/カレン・ミーガー/ハリー・ビーティ/リタ・メイ
 

 

 

ん?
 
米国を主体としたNATO軍とソ連軍が核戦争を開始??
 
 
こう解説してしまうと、よくあるアメリカとロシアという核保有国家の戦争を描いた作品のように思われるかもしれまんが、本作は、世界中で起こる様々な事象がどのようにして核戦争へと繋がってゆくかを綿密なデータによって描いたシリアスなシミュレーション作品であり、事の発端はイランにロシアが侵攻したという極地戦争!
 
何でロシアとイランが戦うの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、キリスト教徒の多い欧米では、聖書のエゼキエル書の第38、39章に書かれている「ハルマゲドンの前哨戦は中東付近で起こる」という預言を信じている人が多く、本作だけでなくウクライナ×ロシア戦争やイスラエル×イラン戦争が、ハルマゲドンの前哨戦だと考えている人たちも決して少なくないのです。
 
中東の戦争が世界の終わりの始まり?
 
本作は、そんなロシア×イラン戦争を端緒とした第三次世界大戦の勃発から、終結してから30年後までを描いた架空の年代記のような作品ですが、作品の舞台となっているのはイギリスのシェフィールドという人口50万人くらいの中規模な街!
 
ニュースでロシアとイランの間で戦争が起こっていると報じられていても、多くの人々にとってそれは遠い国で起きている戦争であり、自身の生活には何の関係もない事だと思って今まで通りの生活を続けていました。
 
 
当然ですがそんな状況下でも、若者たちは青春を謳歌しています。
 
相思相愛のルースとジミーは、デート中に上空をイギリス軍の戦闘機が訓練飛行をしていても特に何かを思う事はありません。
 
彼らはルースの妊娠をどう両親に説明するかとか、二人の新居はどこにするべきかなどを話し合っています。
 
空には訓練飛行を繰り返すジェット機!
ですがルースとジミーは無関心。
「ねぇ。今度お互いの家族で会いましょう」
 
 
ですが、事態は刻一刻と緊迫の度を上げて行きます。
 
 
イランの北部を占拠したソ連が油田を確保した!
 
アメリカがソ連の拡大を阻止するために兵士の派兵を検討した!
 
ペルシャ湾を航行していた米国海軍の原子力潜水艦が行方不明になった!
 
米国はソ連にイランから撤退するよう最後通告を出した!
 
イギリスは有事に備えてNATOの軍備を増強した!
 
世界中のサプライチェーンが壊れ始め物資が不足し始めた!
 
 
そんな状況となってもルースとジミーを含むシェフィールドの普通の人々の生活にはあまり変化はありません。
 
ただし、シェフィールドの市長にはシェルターを用意するよう密命が下りたり、ブラックリストに載っている不審者への逮捕が相次いだり、勘の良い人たちがシェフィールドを脱出して郊外へと逃避したりする、ニュースにはならない出来事が頻発するようなっていったのです…
 
この部屋を新居にしよう!
と未来を語っていた2人でしたが…
 
同時刻、シェフィールド市長は
イギリス政府から核戦争に対処するための
極秘指令を受け取っていたのです!
 
 
さて、イラクとソ連の戦いとは直接何の関係もなかったシェフィールドの街は、第三次世界大戦勃発した後どうなってしまったのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
事態が緊迫して行くにつれ
美術を安全な場所に退避させるなど
目に見える形で戦争への準備が
始まっていきますが
それでも庶民は平和デモなどの
現実的でない行動をしていたのです…
 

 

【私の感想】極めて現実的な分析の恐怖!

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作はエンターテイメント作品として作られた作品ではなく、軍事専門家やアナリストなど50名以上からの助言を受けて制作されたシミュレーション映画!!

 

ですので、ルースとジミーの恋愛に関してもドラマティックに描かれているのではなく、もし結婚前の恋人たちがいた場合、核戦争が起こったらこのような状況になるのではという分析しか描かれておらず、その描き方は並みのホラー映画より遥かに恐ろしい描写となっているのです!!

 

 

そう。

 

戦争と言うのはロマンティックなものではなく、兵器によって敵を殲滅して勝利を収めようとする行為。

 

特に核を使用した戦争が起こってしまった場合には、白兵戦(人間と人間が直接戦う)となる可能性はほとんどなく、核によっての破壊、放射能による汚染、農地や河川の壊滅、爆発により粉塵によって発生する地球温暖化、医療施設の崩壊による死者の激増や、死体を放置する事によって発生するペスト、コレラ、チフスなどの蔓延によって、世界中人類は等しく死に瀕する事になってゆくのです…

 

本作の核戦争描写は凄まじものですので

ご覧になる際に十分ご注意下さい!

 

 

私見ですが本作はキネマ旬報社さんの解説の通り米国とソ連が核戦争を開始した後の崩壊した世界での地獄の日々を綴った映画であると同時に本作で描かれている状況が2020年代以降の世界情勢に近いものであるだけでなく、差し迫った危機に対して、我々一般人がいかに無関心であるかを俯瞰的に考えるための一助となる作品としても観る事ができるのではないかと思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?

 

 

恐らくですが核戦争に勝者は存在せず、

地球環境は壊滅的な破壊を

受けるのではないでしょうか?

 

奇跡的に残っていたビデオを使用して

勉強する戦争後の子供たちですが

猫は既に世界から死滅していたのです…

 

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

レストア作品の魅力

 

というテーマで

 

サスペリア

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品!
「未知への飛行/フェイル・セイフ」

 

核による抑止力とは、

「核戦争の防止力を防止する力」を

所持している訳ではありません。

 

もし何らかの理由で

抑止力が効かった場合、

抑止力失敗の先に待ってるのは

報復措置の発動なのです!