こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑱というテーマで

 

タッカー(1988)

(原題:TUCKER: THE MAN AND HIS DREAM)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、惜しまれながらも2022年3月に終了を迎えた、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 
 
覗いてはいけない世界

 

本作は1988年に公開されたアメリカ映画。

 

アメリカと言えば、アイディアや情熱さえあれば誰もが夢を叶えられるというイメージがある国ですよね!!

 

 

けれど実はこのイメージには、既得権益者の利益を侵害しないという前提条件があるようなのです。

 

 

 

本作は、革新的な自動車を開発したプレストン・タッカーという男が、いかにしてアメリカの既得権益者たちによって潰されていったのかを描いた、ちょっとゾッとするような伝記映画なのです…

 

不世出の天才タッカーが開発した

夢の車は、何故発売されなかったのか?

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

40年代のアメリカ自動車産業界に、たった1人で挑んだ男プレストン・タッカーの苦闘を描く。

エグゼクティヴ・プロデューサーは「ウィロー」のジョージ・ルーカス、製作はフレッド・ルースとフレッド・フックス、監督は「友よ、風に抱かれて」のフランシス・フォード・コッポラ、脚本はアーノルド・シュルマン、デイヴィッド・セイドラー、撮影は「ラストエンペラー」のヴィットリオ・ストラーロ、音楽はジョー・ジャクソンが担当。

出演は「消えたセクシー・ショット」のジェフ・ブリッジス、ジョアン・アレン、「薔薇の名前」のマーティン・ランドーほか。
 

 

 

 

…「消えたセクシー・ショット」がメッチャ気になりますね!

 

80年代に作られた作品の多くは、

今では忘れられつつあるものが

少なくない気がいたしますあせる
(レンタルor配信希望)

 

 
尚、キネマ旬報社さんの解説がかなりあっさりとしたものですので、もう少しだけ内容を説明させて頂くと、主人公のプレストン・タッカーは、独創的なアイディアを具現化するタイプの天才的なアイディア・マン!!
 
幼い頃から自動車に魅了されたタッカーは、デトロイトの自動車会社で車の構造を学んだ後、第二次世界大戦下に独力で戦闘車を開発して陸軍に売り込みに行ってしまう天才的な頭脳を持っていた男。
 
自動車会社の後にレース車の整備で
スキルをアップしたタッカーは…
 
第二次世界大戦で軍を助けるために
銃座付きの高速装甲車の開発!!
 
 
という事は、第二次世界大戦中のアメリカ軍ではタッカーの開発した高速走行車が大活躍したの!?
 
いいえ。
 
 
空調設備も装備され攻撃も可能だった画期的なタッカーの高速走行車は、時速55km以下でないと認可しないという軍の採用規定に違反していたために使用が認めらにかったのです!!
 
スピードが出過ぎる!採用不可!!
 
 
ん?
 
高速走行車が規定速度よりも速く走れるというのは優秀な証拠のような気がしますし、だとしたらスピードに制限を付けて採用すれば良いのでは!?
 
 
はい。
 
これが前述させて頂いた既得権益を持つ受益者による妨害!!
 
 
より優秀なタッカーの高速走行車が採用されてしまえば、既存の軍需産業の会社が損害を受けてしまうため、陸軍は変な理由をつけてタッカーの高速走行車を採用しない事にしてしまったのです。
 
ですがタッカーの開発した銃座のカバーは、既存の発明品が存在しなかったために戦闘機の銃座として即決採用され、第二次世界大戦での航空戦で勝敗を担う一因となっていったのです。
 
タッカーの開発した銃座は大活躍!!
 
 
そんな天才タッカーが第二次世界大戦後に取り組んだのは、幼い頃からの夢だったオリジナルの乗用車の開発!!
 
それまでの車の常識であった前部にエンジンを搭載するのではなく、後部にエンジンを搭載する事で、前部に広い荷物スペースを用意したり、それまでの車には装着されていなかった安全の為のシートベルトを標準装備したタッカーが考案した車の名前は、自分と同じ「タッカー」!!
 
 
ですが独自の自動車工場を持っておらず試作車も作れていない状態では、どこの銀行もタッカーに出資をしてくれませんあせる
 
けれどアイディアマンのタッカーは、雑誌にタッカーのイメージ・イラストを掲載する事で、購入希望者からの応援や、取次店になりたいと考える人たちの存在を顕在化させる事で、タッカー製造への足掛かりを着実に掴んで行ったのです😄
 
せや!CMを作って世論に訴えて
銀行に融資を決めさせたろ!
 
 
はい。
 
タッカーの行動は、社会を一変させようとするイノベーターの思考ですね!!
 
 
ですが、タッカーの考えた車が先進的で魅力的であればある程、何としても彼の自動車開発をとん挫させようとする人々も、必死になって暗躍するようになっていったのです…
 
熱狂的なファンレターをもらうタッカー!
銀行も融資を決定です!!
 
 
 
さて、果たして幼い頃からのタッカーの夢だった自動車製造は、いかにして潰されていったのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
自社の自動車整備工場どころか
板金工場すらないタッカーは
スクラップ置き場で買って来た
廃車を加工して試作車を製造します!
 
これぞアメリカン・ドリーム!
という感じの話のハズなのですが…
 

 

【私の感想】箱舟はいっぱい

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は、アメリカという国が現代でも内包している「既得権益を害する者に対する容赦ない排撃」が描かれた作品!

 

 

艱難辛苦を越えて自社工場を所有し、優秀な技術者を揃え、多くのアメリカ人を幸せにしようとしたタッカーの想いは、既得権益者たちの没落を暗示するような行動だとみなされ、映画の後半タッカーは、司法、行政、マスコミなどから総叩き状態となり、詐欺師のレッテルまで貼られてしまうのです!

 

 

そう。

 

もしモーゼの箱舟に定員があるのなら、新しく乗船しようとした人間は、今乗っている人間の生命を脅かす存在として排除される可能性があるのです!!

 

タッカーの社内に潜んでいた役員たちは

タッカーが詐欺師だと嘘の告発をし

工場も接収されてしまいます!

 

工場が動かせなければ自動車が作れず

タッカーが本当の詐欺師になってしまう

可能性も出て来てしまいます。

 

 

私見ですが本作はキネマ旬報社さんの解説の通り40年代のアメリカ自動車産業界に、たった1人で挑んだ男プレストン・タッカーの苦闘を描いた作品であると同時に既にアメリカという箱舟を占有している既得権益を持つ人々が、自分たちに不利になるような存在に対して容赦なく鉄槌を下して屈服させてゆく過程を描いた作品であり今後アメリカで既得権益者以上に成功を収めようと考えている人間が必ず見ておくべき「語られぬアメリカの暗部」を描いた作品としても観る事ができるのではないかと思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?

 

本作に、ほんの少しだけ登場する

アイアンマンの父親のモデルである

ハワード・ヒューズもまた

既得権益者の逆鱗に触れた人間。

 

ハワードもタッカーも

現代では実業家としてではなく

かつていた奇妙な人という

レッテルを貼られた存在と

なってしまってます。

 

そしてト〇ンブや〇ーロンなど

現代の既得権益者への挑戦者もまた

奇人変人のレッテルを…

 

おっと。

この話はこの位にしておきます。

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

覗いてはけない世界②

 

というテーマで

 

SF核戦争後の未来・スレッズ

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品!
「パララックス・ビュー」

 

70年代のアメリカは

ケネディ大統領が暗殺された事で

パラノイア的な不安が蔓延し

社会全体に陰謀論が渦巻きます!

 

もし謎の組織が存在して

秘密裏に都合の悪い人間を

抹殺していたら…

 

そんな不安がにじみ出る本作は

観ている私達の心にも

社会への不安の種を植え付けるのです!