こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑱というテーマで

 

ヘンリー

ある連続殺人鬼の記録(1986)

(原題:THE GLORY GUYS)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、惜しまれながらも2022年3月に終了を迎えた、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 
 
覗いてはいけない世界

 

本作は1986年に公開されたアメリカ映画。

 

1980年代はハンディカム片手に撮られたようなインディーズ作品が誕生した年代であり、デビッド・リンチ監督の「イレイザーヘッド (198)」スパイク・リー監督の「ドゥ・ザ・ライト・シング (1989)」などのキラキラした80年代の裏側を描いたような作品が生み出されていきました。

 

 

そんな80年代のインディーズ作品の中には「マニアック (1980)」「クロールスペース (1986)」「13日の金曜日・序章 (1980)」などのシリアルキラーを描いた映画も少なく、本作もそんな無差別殺人鬼映画の一つ!

 

ただし本作は他の映画とは一線を画した、ご覧になった方の精神に影響を与える可能性がある「極めて危険な作品」ではないかと考えられるのです…

 

13日の金曜日シリーズなどは

観客を衝撃的な殺人シーンで驚かせる

エンターテイメント系作品ですが…

 

本作は殺害シーンを描く事よりを

あまり重視していないからこそ

観客の精神を不安に陥れる

覗いてはいけない世界が描かれた

こても怖い作品なのです。

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

300人以上の女性を殺した実在の連続殺人鬼をモデルに作られたリアリスティックなホラー。

監督・製作・脚本・音楽は『ボディ・チェンジャー』のジョン・マクノートンで、これがデビュー作にあたるが、86年の製作以来、アメリカでも90年までオクラに入っていた。

共同製作はリサ・デドモンドと共同音楽も担当のスティーヴン・A・ジョーンズ、共同脚本はリチャード・ファイヤー、音楽は他にケン・ヘイルが担当。エグゼクティヴ・プロデューサーはワリード・B・アリとマリク・B・アリ。

撮影はチャーリー・リーバーマン。90年シッシェス国際ファンタスティック映画祭グランプリ他3部門受賞作。
 

 

 

 

300人以上の女性を殺した実在の連続殺人鬼!?

 

 

はい。

 

本作はヘンリー・リー・ルーカスという名の実在した殺人鬼を主人公にした作品!

 

 

ヘンリーが実際に殺害した人数はハッキリとしてはいないのですが、捕まったヘンリーは100件を超える殺人を自供していますので、少なくとも2桁以上の殺人を犯した男であると思われます。

 

ヘンリー・リー・ルーカス(本人)は

2001年に獄中で心不全で死亡。

 

 

本作で描かれているヘンリーは、人を殺す事が日常化しているシリアルキラー!

 

映画の冒頭5分で5人の死体が映されますが、ヘンリーが殺害しているシーンが一切ないためオープニングを観た観客は、死体写真の写真展を観に行ってしまったような感覚に陥ってしまいます。

 

映画が始まると画面に映されるのは

死体!死体!死体!

 

 

という事は、ヘンリーは出会った人を次から次に殺してゆくジェイソンのような怪物のような殺人鬼!?

 

いいえ。

 

 

本作で描かれているヘンリーは、タバコやギャンブルが辞められないような殺人依存体質とでも言うべき人格を持った男。

 

彼は何となく気に入ったターゲットを見つけると、可能なら殺してみようなかな?という感覚で、相手の隙を伺うような殺人を趣味にしているような人間だったのです!

 

車中から無言で女性を物色するヘンリー。

今日は誰を殺そうかな?

 

 

そんなヘンリーは刑務所に服役していたのですが、出所後に囚人仲間のオーティスと暮らしていましたが、仕事をせずに一日中部屋でテレビを見ているオーティスと違い、ヘンリーに日々仕事に行くついでに殺人を繰り返していたのです。

 

物色した女性を尾行したヘンリーですが

夫がいるのに気づいたので

彼女を殺害する事を諦める事にします。

 

ですが後日、害虫駆除アルバイトで

業務用の殺虫剤を手に入れたヘンリーは…

 

前回諦めた女性の家に向かって

害虫駆除業者として侵入!

 

そして、やっぱりまた…

 

 

…こ、こんな男に狙われたら無事に生き残れるとは思えませんね汗

 
ですがそんなシリアルキラーヘンリーの住んでいる家に、夫と離婚したオーティスの妹のベッキーがやって来て、3人で共同生活をする事になってしまったのです!!
 
人を殺して家に帰って来たヘンリーは
家に魅力的な女性がいるのを見てニッコリ!
尚、オーティスはヘンリーが
シリアルキラーである事は知りません。
 
 
さて、オーティスとベッキーとの共同生活を始めたヘンリーは、一体どのどうなってゆくのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
麻薬&アル中の無職オーティス。
冷酷な連続殺人鬼のヘンリー。
そんな危険な2人と暮らす事になった
ベッキーの運命は如何に!
 

 

【私の感想】殺人者へと誘う映画

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、くどいようですが本作は、観客の精神に影響を与えてしまう可能性がある極めて危険な作品!

 

観客の精神に影響を与える可能性がある危険な映画の代表作と言えば「時計じかけのオレンジ」や「タクシー・ドライバー」そして「ジョーカー」などが有名ではないかと思いますが、これらの作品に登場する人物はある意味「突き抜けた人」であり、素人が真似ようとしても、思っている程上手く模倣できないのではないかと思います…

 

実際真似出来ない行為①

「時計じかけのオレンジ」のアレックス

 

実際真似できない行為②

「タクシードライバー」のトラビス

 

実際真似できない行為③

「ジョーカー」のアーサー・フレック

 

 

ですが、彼らとは違いヘンリーは、ごく普通の一般人にしか見えませんし、彼が直接手を下すシーンもほとんどありませんので、観客の中ではヘンリーの姿を見て自分に似た存在だと認識した上で、彼が殺害するシーンを脳内で補完するようになっていく可能性があるのです!!

 

 

そう。

 

想像力が欠如している人間は、自主的に行動しないもの!!

 

 

ですので、もし人生に行き詰まっているけれど何をして良いのか分からなかった人間が本作を観てしまった場合、ひょっとするとヘンリーを等身大の存在として模倣してしまうかもしれないのです…

 

劇中、妹との確執で

イライラしていたオーティスは

ヘンリーに殺し方を教えてもらい

楽しそうに笑います!

 

彼は、麻薬やアルコールに勝る

殺人の魅力を知ってしまったのです…

 

 

私見ですが本作はキネマ旬報社さんの解説の通り300人以上の女性を殺した実在の連続殺人鬼をモデルに作られたリアリスティックなホラーであると同時に社会的に上手くいっていない人間に、自分とヘンリーを同一視させてしまう可能性が高い「人を殺人者へと誘う映画」としても観る事ができるのではないかと思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?

 

特に感情もなく人を殺す

ヘンリーの信条は

警察は殺人者は同じ殺し方をする

という法則あると信じている

とオーティスに語ります。

 

けれどこの考え方は

殺人は衝動的なものであり

咄嗟の行動には類似性があるという

プロファイリングら来るもの。

 

では、もし殺人者が

今日はどうやって人を殺そうかと

考えるようなタイプなら

この法則は適用されません!!

 

そんなヘンリーの言説に

自分の想いを照らし合わせる人が

この映画を観たとしたら

その人はどう行動するのでしょうか?

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

イーロン・マスクに捧ぐ

 

というテーマで

 

タッカー

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品!
「冷血」

 

加害者と関係のない善良な一家が
何の理由もなく殺害された
ショッキングな事件を映画化したもの。

一家が殺された理由が
全く分からなかったこの事件は
 突然、善良な人々が
何の理由もなく殺害される恐怖と

利己的な感情で

理由もなく人を殺害する人間が

今日、私達の家にやって来るかもしれない

という恐怖を描いています。