こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑱というテーマで

 

友だちのうちはどこ?(1987)

(原題:Kخانه دوست کجاست)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、惜しまれながらも2022年3月に終了を迎えた、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 

 

 

アッバス・キアロスタミ監督作品第二弾!

 

本作は1987年に公開されたイラン人のアッバス・キアロスタミ監督によるイラン映画。

 

イランでは1979年に革命が起こってイスラム原理主義政府が樹立されますが、アッバス・キアロスタミ監督は亡命する事なくイランに留って映画を撮り続けられ2016年にご逝去された監督 (享年76歳)。

 

 

イランで暮らしている普通の人々をモチーフにしたキアロスタミ監督が本作で描いているのは、我々日本人が知る術もないイランの辺境で暮らしている少年の姿なのです!

 

イランの辺境で暮らしている少年は

どんな日々を過ごしていたのでしょう?

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

友だちのノートを間違って家に持ち帰ってしまった少年が、ノートを返すため友だちの家を探し歩く姿を描いた、子供についての映画。

脚本、編集、監督はアッバス・キアロスタミ。一九八七年のテヘラン映画祭で最優秀監督賞などを授賞し、彼の名はイラン国内で不動のものとなり、八九年のロカルノ国際映画祭で五つの賞を総なめにし、イラン映画の水準の高さを世界に示した。

撮影はファルハッド・サバ。素人しか起用しないことで知られるキアロスタミは、この作品でもカスピ海に近い小さな村の子供たちを使っている。

主人公の少年にはババク・アハマッドプール、隣の席の少年には、その弟のアハマッド・アハマッドプールが扮している。

キネマ旬報ベストテン第八位。
 

 

 

ん?
 
友だちのノートを間違って家に持ち帰ってしまった少年??
 
 
はい。
 
主人公のアハマッドは、イランの辺境にあるコケル村に住む8歳の小学生。
 
アハマッドの通う小学校では多くの生徒が学んでいましたが、貧乏なコケル村には文房具屋が存在しないため、彼らが所持しているノートは宿題を書くための一冊だけ!
 
先生は生徒たちの提出したノートを毎日チェックしていましたが、ある日アハマッドの隣に座っているネマツァデという少年が、ノートを親戚の家に置き忘れてしまい先生から怒られてしまいます。
 
毎朝、生徒の宿題をチェックする先生。
 
先生がネマツァデに「今度、宿題をノートに書いてこなかったら退学にする」と言っているのを聞いたアハマッドは可哀そうに思いましたが、家に帰って宿題をやろうとした時、間違えて自分がネマツァデのノートを持って帰って来てしまった事に気づきいてしまいました!
 
先生怒られて泣いちゃったネマツァデ。
隣に座っていたアハマッドは
可哀そうに思いましたが…
 
間違ってネマツァデのノートを
家に持ち帰ってしまったアハマッドは
真っ青になってしまいますあせる
 
 
このままでは、ネマツァデは退学になってしまうと考えたアハマッドは、彼の家にノートを届けに行く事を決意しますが、ネマツァデの住んでいるのはコケル村ではなく隣のポシュテ村。
 
アハマッドはポシュテ村に行った事がないので、どこがネマツァデの家かも分かりませんが、それでもアハマッドは、母親に黙って家を飛び出してポシュテ村へと走り出していったのです!
 
母親に友達の家にノートを届けたいと
願い出たアハマッドでしたが
母親は聞く耳を持ってくれません…
 
だからアハマッドは母に黙って
ネマツァデの住む村に
ノートを返しに行ったのです!
 
 
 
さて、小学生のアハマッドは、たった一人で隣町のネマツァデの家に辿り着く事ができたのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

ノート片手にポシュテ村に走るアハマッド!

果たしてネマツァデの家は見つかるのか!?

 

 

【私の感想】子供の恐怖

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は、大人が鑑賞した際の感想と、子供が鑑賞した際の感想が異なるであろうと思われる作品!

 

特に昭和生まれで「三丁目の夕日」的な日本を知っている方にとって本作は、かつて自分が体験した"はじめてのおつかい"を思い出すようなノスタルジックな作品だと感じるのではないかと思います😊

 

ああ。知らない場所で迷うって

こんな感覚だよね~。

なんか懐かしい感覚じゃないか!

 

 

ですがノスタルジックというものは、様々な体験を経て来た大人だから味わえる「既視感」であり、社会を経験した事がない子供にとって、本作の展開は恐怖でしかありません!

 

友達を退学にすると怒る先生、友達の家に行く事を許さない母親、誰も知らないよその村、用を得ない家探し、そして怪訝な顔でアハマッドを観る他の村の人々の顔!

 

 

そう。

 

人間は、未経験のものに対してはノスタルジックを感じないものなのです!

 

見知らぬ村に謎の生物!!

 

イラン人のアハマッドも

昔の日本を知る年配の方も

これは焚き木拾いだと知ってますが

日本の子供には未知の存在!

 

子供にとって未知なるものは

恐怖の対象かもしれません…

 

 

私見ですが本作はキネマ旬報社さんの解説の通りノートを返すため友だちの家を探し歩く姿を描いた、子供についての映画であると同時に自分の体験していない状況下に陥った時の子供の恐怖を映像化した作品であり、生未知の事象に恐怖する子供たちや青年に対し、既に体験済の大人たちはどのようなサポートをするべきなのかを考えるキッカケとなる作品としても観る事ができるのではないかと思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?

 

本作は心優しいアハマッドが

ネマツァデのために勇気をふり絞る

ハートフルな作品ですが

アハマッドが困っていても

周囲の大人たちには

彼を助けようとする気持ちが

全くありません。

 

では、そんな環境下で育った

アハマッドが大人になった時には

子供に優しくできるのでしょうか?

 

世界中のどこでも

社会という未知の世界に

足を踏み入れようとする子供は

アハマッドのような不安と恐怖を

心中に抱えているのだと思います…

 

 

 

 

という訳で次回は

 

細目の共演!

 

というテーマで

 

サンダーボルト

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品!
「桜桃の味」

 

本作も「友だちのうちはどこ?」と同様

ご覧になられた観客の人生経験によって、

観終わった後の感想が異なる

"心の中を映す鏡"のような

アッバス・キアロスタミ監督の作品。

 

主人公のバディは

人生に疲れ自殺を考えていた男。

 

彼は自殺した後、人知れず

自分の死体を埋葬したいと考え、

手伝ってくれる人を探す事にします。

 

バディの考えたプランとは…

 

①荒野に穴を掘っておく

 

②夜中に睡眠薬を飲んだバディが

穴で横たわって自殺を試みる

 

③翌朝、予め頼んでおいた人に

バディが入った穴を覗きに来てもらい、

名前を呼び掛けても返事が無ければ、

スコップを使って埋めてもらう

 

④穴を埋めてくれた人には、

お礼として高額の報酬を用意しておく

 

というもの。

 

さて、皆さんはバディの依頼を

受けますでしょうか?