こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日想像力と80年代ビデオ・ホラーというテーマで

 

 

マニアック(1980)

(原題:MANIAC)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

★想像力と80年代ビデオ・ホラーとは?

 

私のブログでは毎年10月を、年に一度のホラー特集として、様々なテーマでホラーやサスペンスなどをご紹介しております。

 

本年のテーマは、80年代のビデオ・ブームに量産された、ビデオ発売を意識したようなホラー作品!

 

映画館の巨大スクリーンで鑑賞に耐えられないかもしれない作品でも、家のソファに座って友達と一緒にワイワイ観れば、スクリーンとは趣の違った映画の楽しみ方ができる事に気づいた映画の作り手と観客は、まるで共犯関係のように、ビデオで観るために作られたようなホラー作品をご紹介させて頂ければと思っております🎃👻💀😆

 

 

 

 

 

80年代の鬱ホラーとは?

 

本作は1980年に公開されたアメリカ映画。

 

80年代と言えば「摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に (1986)」や「グーニーズ (1985)」のように、明るく楽しい青春映画が有名かもしれませんが、その一方で「パーマネント・バケーション (1980)」や「ヴィデオドローム (1982)」のような、鬱々とした人々を描いた作品も多産されていました。

 

「摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に 」のような
明るく楽しい80年代の裏側で…

 

「パーマネント・バケーション」のような

鬱々とした映画も沢山作られていました。

 

 

本日の作品は、そんな80年代の鬱映画の代表格のような作品!

 

映画の冒頭から救いが全くない展開は、観ていて暗澹たる気分になるにも関わらず、いつまでも記憶の中に留まり続ける、忘れ難い作品ではないかと思います…

 

80年代鬱映画の画面に漂う絶望感!

本作は、そんな鬱映画の代表作なのです!!

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば、本作の解説は以下の通り。
 

ニューヨークの夜の街をうろつく殺人鬼を描く恐怖映画。

製作はアンドリュー・ガローニとウィリアム・ラスティグ、製作指揮はジョー・スピネルとキャロライン・マンローの夫であるジャド・ハミルトン、監督はウィリアム・ラスティグ。ジョー・スピネルの原案に基づき、スビネルとC・A・ローゼンバーグが脚色。

撮影はロバート・リンジイ、音楽はジェイ・チャタウェイ、特殊メイク・アップはトム・サヴィーニが担当している。

出演はジョー・スピネル、キャロライン・マンロー、ゲイル・ローレンス、ケリー・パイパーなど。

 

 

 

 

はい。

 

解説にある通り本作は、ニューヨークの夜の街をうろつく殺人鬼を描く恐怖映画!

 

 

 

主人公のフランクは、マネキンや人形でいっぱいの部屋に一人で暮らしている中年男。

 

壁には美しい女性が写った一敗の写真が貼られ、多くのロウソクが供えられていますが、それは既に亡くなってしまったフランクの母の写真。

 

フランクは人形だらけの紫の部屋で

一人で暮らしている中年男。

 

部屋は女性向けのものらしく

クローゼットには人形がいっぱい

化粧棚には亡き母の写真とロウソクの山!

 

 

母が大好きだったにもかかわらず、頻繁に家に男を連れ込んでいたらしい母の影響で、フランクはみだりに性関係を持つ男女や風俗嬢に激しい嫌悪感を抱いており、彼らを目撃すると衝動的に虐殺してしまうシリアルキラーとなっていたのです!!

 

浜辺で寝ているカップル発見!

なんて淫らなむかっむかっ

 

性行為をしている女性は死ね!!

 

もちろん男も死ね!!!!

 

 

 

ああ…これはもう救いがない状態ですね汗汗

 

 

 

さて、殺人を犯す罪悪感に苛まれながらも、衝動を止める事ができず殺人を作り返してゆくフランクには、一体どんな末路が待っていたのでしょう?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

街で娼婦を見かけるとホテルへ連れ込んで

絞殺してしまうフランク!

 

既に何人殺したか分からないフランクは

明日もまた殺し続けるのです…

 

 
 
【私の感想】80年代へのルサンチマン

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は現代社会にも存在する「社会に適合できない人間が精神を病んでゆく姿」を描いた作品!

 

もちろん80年代以前にも「サイコ」や「タクシー・ドライバー」や「ランボー」などのように、社会不適合者が暴発する作品は少なくありませんでしたが、80年代になると「13日の金曜日 (1980)」や「バスケットケース (1982)」のような、一般社会に受け入れらない人が、夜中に徘徊して無関係な人を殺害する都市伝説のようなスラッシャー映画が多産されて行きます!

 

バスケットの中で鬱々としている

腫瘍のようなベリアルは

恋愛を謳歌している弟に嫉妬して

無差別殺人を敢行!!

(「バスケットケース」より)

 

 

 

 

 

恐らくですが、このような社会不適合者たちのスラッシャー映画が多産された理由は、80年代がキラキラと輝いていたから!!

 

反抗と彷徨の70年代が終わり、ディスコとデートとエンターテイメントの消費文化が花開いた80年代は、ほとんどの人にとっては楽しい時代でしたが、そんな80年代のキラキラした波に乗り切れなかった人たちにとっては、70年代には存在しなかったような"消費社会に迎合できなかい辛さ"を噛みしめる事となったルサンチマンの時代でもあったのではないかと考えられます…

 

13日の金曜日シリーズで殺されるのは

勉強家、スポーツマン、セクシーな女の子、

麻薬や遊びを楽しむ男!

 

彼らは80年代の若者を象徴する存在であり

ジェイソンと生き残る女性は

80年代の風潮と距離を置く存在です。

 

 

 

そう。

 

ルサンチマンとは、弱者の強者に対する憎悪が心の中に鬱積した心理状態の事!!

 

 

 

人生を謳歌してキラキラとして輝いた若者たちが80年代の代表であるなら、そんな人々の輪に入れず、暗闇で蠢く事となった鬱屈した若者たちもまた、もう一つの80年代の代表だったのだと思います…

 

フランクが知り合った写真家アンナは

ファッションフォトグラファー!

80年代を謳歌しているアンナに対し…

 

そこに居場所を見つけられないフランクは…

 

今宵も幸せそうな女性を殺害するために

深夜のニューヨークを徘徊するのです!

 

 

 

私見ですがそんな本作は自分の精神をコントロールできずに殺人を続けるフランクの心の闇を描いた作品であると同時にもし2020年代にフランクと同様、社会と繋がれず人知れずルサンチマンを募らせ狂気に陥っている人間がいた場合どうなってしまうのかを考えるキッカケとなる作品ではないかと思うのですが、皆様はどう思われるでしょうか?

 

自分のやった殺人を報道するTVを

無表情に見つめるフランクは

暴力的な殺人者でも快楽殺人者でもなく

80年代に適合できなかった

ルサンチマンを募らせ

犯行及んだ錯乱状態の殺人鬼!

 

自分が殺害したにも関わらず

死体から切り取った頭皮を

マネキンにつけて話かけるフランクは

心中ではキラキラした80年代を

謳歌したかったのかもしれません。

 

そんな社会と繋がれない男の孤独感は

映画館で多くの人と観るよりも

レンタル・ビデオを借りて

深夜に一人で観る方が

趣があるのではないでしょうか…

 

 

 

 

 

という訳で次回は引き続き

 

続編ではないけれど…

 

というテーマで

 

新マニアック

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい"80年代の孤独"の作品

「13日の金曜日・序章 」

 

原題は「JUST BEFORE DAWN(夜明け前)」。
 

ジェフ・リーバーマン監督による

オフビートなスラッシャー映画は、

「展開が13日の金曜日に似ている」

というだけで何の関係もない

「13金の序章」と名付けられていますが

本作もまた、社会と繋がれない人間が

青春を謳歌している若者を襲う

1980年に公開されたルサンチマン型の

スラッシャー映画なのです!