こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑯というテーマで

 

白い家の少女(1976)

(原題:THE LITTLE GIRL WHO LIVES DOWN THE LANE)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

 
発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

今月のラインナップはコチラ↑

 

 

 

70年代らしいオフビートな青春映画 

 

本作は1976年に公開されたカナダ、フランス、アメリカの合作映画。

 

70年代の映画には、理想の社会を求めて自分の住んでいた場所を捨て、あてどなく彷徨うアメリカン・ニューシネマと言われている作品が数多くありますが、本作はそんなアメリカン・ニューシネマの亜種のような作品!

 

 

ただし本作の場合、主人公リンはまだ13歳の女の子!!

 

 

青年と言うより、女の子と言った方が良いリンは、世の中全ての大人たちと距離を置き、たった一人で白い家で暮らしていたのです…

 

映画の冒頭、13本のロウソクに人をつけ

一人、自分の誕生日を祝うリン。

彼女は一体なにものなのでしょうか?

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

他人を踏み込ませず、白い家に住む謎めいた少女の行動と正体をサスペンス・タッチで描く。

製作総指揮はハロルド・グリーンバーグとアルフレッド・パリサー、製作はゼヴ・ブラウン、監督は「扉の影に誰かいる」のニコラス・ジェスネル、脚本・原作はレアード・コーニグ(新潮社刊)、撮影はルネ・ヴェルジェ、音楽はクリスチャン・ゴベールが各々担当。

なおフレデリック・ショパンの「ピアノ・コンチェルト第1番ホ短調」が挿入されている。

出演はジョディ・フォスター、マーティン・シーン、アレクシス・スミス、モルト・シューマン、スコット・ジャコビーなど。

 

 

 

はい。

 

解説にある通り本作は、サスペンスタッチの青春映画!

 

海外版のポスターはホラータッチですが…

 

 

原題には白い家という単語はありませんが、「THE LITTLE GIRL WHO LIVES DOWN THE LANE(その小道を下ったところに住んでる小さな女の子)」という意味だと思いますので、どちらもミステリーっぽい雰囲気のタイトルではないかと思います😊

 

町から離れた小道の向こうの白い家に
住んでいる少女リン。
 
 
リンの住んでいるのは、アメリカの最北部のニューイングランド州の小さな町。
 
町の教育委員会の役員も務めているハレット夫人が所有している白い家に、有名な詩人の父親と一緒に引っ越してきたリンですが、彼女は学校に行っておらず、父親と一緒にいる姿を目撃される事もありません。
 
銀行で父親に代わって小切手を切るリン。
「父は仕事で来られないんです」
 
 
そんなリンの行動に不信を抱いたハレット夫人は、父親に逢うために度々リンの家を訪れますが、夫人の要望に対してリン
「仕事中は父は部屋から出ない」「今は仕事でNYに行っている」と言って慇懃無礼に拒否し続けるため、二人の間には険悪な空気が漂い始めます。
 
いつも突然やって来るハチェット夫人と
夫人の要望を頑な拒否し続けるリン!
夫人は「子供のクセに生意気よ」と言って
リンに対して敵意を燃やします。
 
 
そんなリンを訪ねて来る人は誰もいませんので、彼女はいつも大きな家に独りぼっち。
 
ですがそんなリンの家に、ハロウィンの晩に彼女を訪ねてフランクという名の男がやって来ます。
 
 
 
ハチェット夫人の息子のフランクは妻帯者であるにも関わらず、かつて少女に手を出して妻から離縁された性犯罪歴のある男。
 
そんなフランクは母親から、リンが自分が貸している家出一人で暮らしているのではないかという情報を得て、探りを入れるためにやって来たのです!!
 
「やぁ。君は一人で暮らしているの?」
 
 
 
さて、果たしてリンは本当に父親と一緒に暮らしているのでしょうか?そして軋轢を生むハチェット夫人やフランクとは、どんな関係となっていくのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
通り道でリンを待ち伏せして声をかける
フランクの行動は、正に性犯罪者!
 
 
 
【私の感想】アメリカン・ニューシネマの夢の跡

 

皆様が作品をご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、幼い頃から開明的な父親の教育を受けて育ったリンは、母親の家庭内暴力から逃げるために、イギリスからアメリカのニューイングランド州へと移住して来た少女。

 

聡明なリンが学校教育を受けて凡人となってしまう事を怖れた父親は、学校に通わせない事を決意しますが、移住してしばらく経ってから、父は病気を患い亡くなってしまいました…

 

FFの白魔導士のようなリンの私服は

父親と一緒に旅したモロッコで購入したもの。

リンは開明的な父に育てられた女の子です。

 

 

死に際して父親はリンに対して、学校に行く必要はない、遺産は十分あるが成人になるまではリンが自由に使えない、悪い大人に遺産を奪われないように自分の死は秘密にしておけ、という遺言を遺していたのです。

 

 

 

ん?

 

でも、開明的で自由意志を尊重しているはずの父親は、リンの自由の意志を尊重してあげないの?

 

 

 

そう。

 

子供に理想的な教育を施したいと考える大人は、しばしば子供に洗脳を施し、自分の夢を当人の夢と錯覚させてしまう事があるのです。

 

後に友達となったマリオという青年に

父の素晴らしいプランを自慢げに語るリン。

…でもそれってリンの意志?

 

 

私見ですがそんな本作は、アメリカン・ニューシネマ的な夢を抱いていた父親の夢に殉じたリンが寂しく辛い人生を送る事になるアメリカン・ニューシネマの残滓のような作品!

 

理想の世界を夢見て見知らぬアメリカへと逃避した父親でしたが、父と行動を共にしたリンに待っていたのは、全ての大人を騙し続ける隠遁生活であり、学友や信頼できる友人ができない環境であり、独りぼっちで暗い夜を過ごす、孤独で寂しい人生だったのです…

 

リンを心配してくれる警官にも

笑顔でウソをつかなければならないリン。

 

父親には合わせられないので

変態的なフランクの事も相談できませんあせる

 

 

 

そんな本作は、教育とは何かを考えさせられる重苦しいラストが待ち構えている作品。

 

リンに幸せになってもらいたいと願った父親の言葉に従ったリンに待っていたのは、人として許されない決断を強いられる過酷な人生だったのです…

 

父親の理想に従ったリンに待っていたのは

感情を喪失したような表情だったのです…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

居場所のない男

というテーマで

 

ウィラード

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品作品!
「ソルジャーボーイ」

 

本作もベトナム戦争帰りの若者を待ち受けていた絶望的な現実と転落を描いたアメリカン・ニューシネマの亜種のような作品。

 

5年間ベトナムで海兵隊として戦ってきた4人は強い絆で結ばれた海兵隊の仲間たちは、除隊して退職金9000ドルをもらいます!

 

4人は9000ドルを元手にして、牧場経営に乗り出そうと話し合いますが、哀しいかな彼等は、戦場で戦う事しか学ばなかった若者たち。

 

お金の使い方も分からなかった4人は、あっという間に9000ドルを散在し、無一文となってしまいます…

 

さて、そんな彼等に最後に残っていた唯一のスキルとは…