こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊
 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑫というテーマで

 

ソルジャー・ボーイ

(原題:WELCOME HOME, SOLDIER BOYS)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

青春映画ではなく…

 

TSUTAYA発掘良品の第46弾と第48~54弾をご紹介させて頂いた本誌シリーズも本日で最後。

 

最後の作品は、allcinemaさんのサイトでは「青春映画」にジャンル分けされている作品!

 

 

 

…という事は、若い兵士の喧嘩あり、恋あり、友情ありの青春の1ページを描いたような作品?

 

↑こんな感じの青春映画?(「愛と青春の旅だち」より)

 

 

…いいえ。

 

 

本作はベトナム戦争帰りの若者を待ち受けていた絶望的な現実と転落を描いたダークなテイストの作品なのです…

 

↑青春映画だとすれば、あまりにも絶望的な青春です…

 

 

 

曇天模様の人生を生きる人々

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

ベトナム戦争から故国に帰還した4人の青年を待っていたものは何か、人生の哀しいアイロニーとして、戦争に傷つけられた青年の姿を描く。

製作はマーヴィン・シュワルツ、監督はリチャード・コンプトン、脚本はガードン・トュルーブラッド、撮影はドン・バーンクラント、音楽はケン・ワンバーグ、編集はパトリック・ケネディーが各々担当。

出演はジョー・ドン・ベイカー、ポール・コスロ、アラン・ビント、エリオット・ストリート、ジェニファー・ビリングスリーなど。
 

はい。

 

解説にある通り、本作の主人公はベトナム戦争から故国に帰還した4人の青年。

 

5年間ベトナムで海兵隊として戦ってきた4人は強い絆で結ばれた仲間たち!

 

 

除隊した彼らは、現金で退職金9000ドルをもらってニッコニコ😄

 

↑支給された退職金は、全員併せて9000ドル!!!

 

 

4人は除隊後に、退職金を出し合って、仲間の父親が所有しているカリフォルニアの土地で牧場を始めるというプランを立てていましたので、まずはカリフォルニアまでたどり着けばファースト・ミッションは大成功😊😊😊

 

↑ここが俺たちのカリフォルニア・ドリーミング!!

 

 

 

彼らは早速中古車販売店に行き、後部座席がとってもゴージャスなキャデラックを値切って5500ドルで購入します!

 

↑「おい店主!この訳アリキャデラックはいくらだ?」

 「へい。コチラは6100ドルです😄」

 

↑「おいおい。ベトナム帰りの俺たちを舐めるなよ!

  部品が全部ボロボロじゃないか!」

 「さすが兵隊さんあせるでは5500ドルに値引きしますよ」

 

 

 

中古屋のおやじをギャフンと言わせた4人は大満足!!

 

5500ドルを現金でポンッと支払った彼らは、颯爽とキャデラックに乗り込んでカリフォルニアへと…

 

↑見たか!俺たちの伝説は、ここからスタートだぜ!

 

 

 

…って、ちょっと待ってください😨😨😨

 

 

全財産が9000ドルしかなのに、なんで移動する車に5500ドルのキャデラックを買っちゃったの!?

 

牧場の資金は、後3500ドルしかなくなっちゃいました!

 

 

 

 

…はい。

恐らく彼ら4人は、ベトナムに行く前はただの高校生だった若者たち!

 

 

 

5年間ベトナムに従軍していた彼等は、経営感覚は勿論の事、一般常識も社会的なスキルも一切持ち合わせないまま、大人になってしまったソルジャー・ボーイだったのです!!

 

↑幼稚な彼らは道中のモーテルで高校生レベルの大騒ぎ!

 

 

 

さて、牧場経営どころか社会常識も持ち合わせていなかった4人のソルジャー・ボーイは、果たしてカリフォルニアに辿り着き、夢の牧場経営を始められたのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑ご自慢のキャデラックも途中でエンジントラブル!

 ひょっとして更に修理費が…汗汗汗

 

 

 

戦場で身に着けた常識とスキルとは?

 

本作の原題は「ようこそ故郷へ、ソルジャー・ボーイたち(WELCOME HOME, SOLDIER BOYS)」

 

 

一見すると優しいタイトルですが、戦場で5年間を過ごした彼らと、そうでない人たちの間には大きな溝ができており、カリフォルニアに向かった彼らはほとんどの場所で歓迎されず、4人の元兵士たちは「ようこそ故郷へ」どころか、「何しに来たんだお前ら?」という孤独と疎外感を味わう事になります…

 

↑彼らのあちの一人は、道中実家に立ち寄りますが

 彼には家族と共有する5年間の記憶がありません!

 家族よりも仲間との関係が深くなった彼にとって

 久しぶりに帰った家で感じたのは、孤独と疎外感でした…

 

 

 

では、そんな彼ら4人が共有している5年間のベトナムの思い出とは、一体何だったのでしょうか?

 

 

酒を飲んだり娼婦を買ってバカ騒ぎする事?

 

↑「ベトナムでは30ドルだった」と言っている彼らは

 現地で女性を金で買っていた男たち!

 キャデラックの後部座席はラブホテルみたいに!

 

 

 

いいえ。

 

彼等がベトナムに従軍した理由は敵を殺すため!!

 

 

 

ですので彼等が5年間に渡って仲間と共に身に着けたスキルは、いかに多くの敵を殺せるか?だったのです!

 

↑故郷で孤独と疎外感を味わった彼らが身に着けていたのは

 殺傷力の高い武器を自在に扱えるスキルでした…

 

 

 

本作で描かれているのは思春期という大切な時期を、戦場で人を殺す事に費やしてしまった若者たちの末路!!

 

映画の冒頭、上官たちが除隊する彼らに向かって「再入隊せぬ場合は、すみやかに民間生活に入り適応するよう希望する。軍の教育が役立つと確信している」と伝えていますが、再入隊せずに民間生活にも適応できなかったソルジャー・ボーイたちは、軍で教えられた全てのスキルを駆使して、自分たちを受け入れてくれなかったアメリカをベトナムの戦場のようにしていきます!

 

↑見敵必殺!サーチ&デストロイ!!

 

 

 

そう。

 

故郷に受け入れられず生活に適応できなかった彼らは、アメリカ国内を戦場化させた事で適合する事がでたのです!

 

↑やったぜ!こういう世界が俺たちり居場所なんだ!

 

 

 

1982年の「ランボー」や2008年の「ハート・ロッカー」、2014年の「アメリカン・スナイパー」などは本作と同様「戦地にしか適合できなくなってしまった人」の映画

 

全ての激戦地で他者を殺害する日常を送って来た人にとって、我々の日々感じている日常とは、適合する事できない苦痛に満ちた場所となってしまうかもしれないのです…

 

↑蔑まれ、足元を見られ、騙され、恫喝され続ける4人…

 そんな絶望の故郷なんて戦場にしてやる!!

 

 

 

 

 

という訳で次回は本シリーズはおしまい!

 

一か月の間お付き合い下さり、本当にありがとうございました😄

 

 

次回からは、また新シリーズを始められればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛