こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑯というテーマで

 

アルジェの戦い(1976)

(原題:LA BATTAGLIA DI ALGERI

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

 
発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

今月のラインナップはコチラ↑

 

 

 

人権宣言の国の欺瞞

 

本作はかつてフランスの植民地だったアルジェリアの独立運動をリアルに描いた作品。

 

 

フランスと言えば、フランス革命時にラファイエットによって「人間の自由と平等、人民主権、言論の自由、三権分立」などを提唱したフランス人権宣言を採択した国です。

 

執権階級による支配を認めず

法の下の平等を求める17の原則を記した

フランス人権宣言!

 

 

ですがフランスは、自国の植民地だったアルジェリアの統治においては「人間の自由と平等、人民主権、言論の自由、三権分立」の全てを抑圧するような圧制を行っていたのです…

 

アルジェリア人の自由と平等、

人民主権、言論の自由、三権分立を否定し

軍を使って制圧したフランス!

あれ?フランス人権宣言は??

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

フランコ・ソリナスの脚本をジロ・ポンテコルヴォが監督したアルジェリア独立戦争を描いた作品で、一九六六年度ベネチア映画祭においてグラン・プリを獲得した。

撮影はマルチェロ・ガッティ、音楽はエンニオ・モリコーネと監督のジロ・ポンテコルヴォが担当した。

出演はすべてアルジェリア現地人が起用され、ジャン・マルタン、ヤセフ・サーディ、ブラヒム・ハジャク、トマソ・ネリ、ファウチア・エル・カデルなど。

製作はアントニオ・ムーズ。
 

 

 

 

 

はい。
 
解説にある通り本作は、アルジェリア独立戦争の顛末をドキュメンタリー・タッチで描いた作品で、観客は自治を勝ち取ろうとするアルジェリア人と同じ視点で、映画を鑑賞する事になります。
 
 
映画の冒頭描かれるのは、捕虜にしたアルジェリア人を拷問し、仲間の居場所を吐かせようとするフランス兵たち!
 
仲間の居場所を吐かせるために
捕らえたアルジェリア人を半裸にして
尋問するフランス兵士!
 
 
捕虜から仲間の居場所を聞き出し隠れている市街に突入するフランス兵士!
 
市街に突入するシーンで原題が表示されます。
 
 
捕らえた捕虜の仲間が潜伏しているは多くの住人が暮らすアパート!
 
ですが住人達は問答無用で退去させられます。
 
早朝、フランス軍にたたき起こされ
着の身着のままで退去させられる住人たち。
 
 
捕虜の仲間が潜伏していたのは、ある部屋のバスルームの壁を繰り抜いた隠し部屋!
 
間違いなくこの壁の奥にいるぞ!!
 
 
 
という事は、フランス軍の兵士たちは隠れているアルジェリア人を壁越しに射殺するの!?
 
 
いいえ。
 
 
 
隠れている人たちが何を隠しているか分からないフランス軍は、もし隠れている人間が自ら投降しなければ、ビルごと爆破すると通告したのです!!!
 
 
 
…えっあせるあせる
 
他の住人たちの家もろとも爆破!?
 
 
 
ちなみに、ここまでのストーリーは映画開始5分の出来事なのです!!
 
 
 
 
さて、一体何故アルジェリア人たちは、フランス軍と対立するようになったのでしょうか?そして隠れていたアルジェリア人は、爆殺されてしまうのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
尚、壁に隠れていたのは少年もた含め4人!
彼らはどうなってしまうのでしょう?
 
 
 
【私の感想】倫理のダブルスタンダード

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は独立を望むアルジェリア人たちに対し、私たちは世界で初めて市民革命を成し遂げ、人間の自由と平等、人民主権、言論の自由、三権分立を確立したと誇らしげに語っているフランスが、植民地制度を維持するためにアルジェリアに軍を派遣し、独立派を弾圧していたという恥ずべき歴史が描かれている作品。

 

フランス人の入植者たちは

アルジェリア人を見下しており

住む場所も分けられていました…

 

 

そう。

 

人間は利己的な視点で、倫理を語る事がある生き物。

 

 

 

自国フランスにおける市民の革命運動を誇らしげに語るフランス人は、いざ自分たちが為政者側に立つと、人間の自由と平等も、人民主権も、言論の自由も、三権分立も植民地には認めないというダブルスタンダードを当然の如く行っていたのです…

 

左がアルジェリア人の住む貧民街

右がフランス入植者の住む高級住宅地。

あれ?フランス人権宣言は??

 

 

 

私見ですがそんな本作は、ヨーロッパ人たちの倫理観のダブルスタンダードが良く分かる作品であると同時に、現代においては、覇権主義的な野望を持った国家が他国を植民地化する事に成功しても、維持する事はまず間違いなく不可能であり、占領下の国民の怨嗟の声は国内に満ち溢れた時、最終的には占領した側が撤退するしかなくなってしまうであめう事を、アルジェリアのケースとして描いた作品であり、今の時代こそ、みておくべき作品ではないかと思います。

 

 

アルジェリアの独立派を徹底的に弾圧し殲滅したフランス軍でしたが、その2年後起こった、アルジェリア国民全員の怨嗟の声の前に、フランスはなすすべもなく徹底する事となってゆくのです…

 

ストで圧政に反抗するアルジェリア人を

強制的に働かせるフランス軍!

 

そんなフランス軍が行進しても

喜ぶアルジェリア人なんて一人もいません。

 

市民革命を自慢していたフランスは

市民の怒りは国を崩壊させる力がある事を

失念していたのです…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

AIだって恋をする!

というテーマで

 

エレクトリック・ドリーム

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品作品!
「パリは燃えているか」

 

第二次世界大戦時にナチスドイツの占領下にあったパリが、いかにして灰燼になるのを免れたかを描いた怒涛の2週間を描いた本作は“知らざるパリ攻防戦”!

 

フランス自身も、他国に占領された時は草の根的に抵抗し、ナチスドイツを撤退させていたのです…