こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と発掘良品の発掘⑮というテーマで
ナイト・ビジター(1970)
(原題:THE NIGHT VISITOR)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★発掘良品の発掘とは?
発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。
本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄
↑今月のラインナップの詳細はコチラ!
本作は1970年にイギリスで作られた地方を舞台にしたサスペンス映画!
地方を舞台にしたイギリスのサスペンス映画は、口数の少ない住人たちが残忍な殺人に手を染める陰惨なホラー映画との境界線があいまいなのものが多く、地味な印象を受ける方も少なくないと思いますが、逆に言えば、それがイギリス・サスペンスの魅力だと言えるのかもしれません😅
↑ホラーなのか、サイコサスペンスなのか
判然としない展開の1973年の「赤い影」も
発掘良品にセレクトさりたイギリス映画です😄
本日の作品もポスターからもご理解できるように、ホラー映画なのかサスペンス映画なのか判然としたない雰囲気のイギリス映画!!
映画の冒頭登場するのは、雪の中、寂れたイギリスの荒野を下着姿で走る一人の男!!
↑超寒そうなシーンで始まるオープニング!
そんな下着男が、辿り着いた先の民家を物陰からこっそり物色している異様なシーンを観た時、観客はきっと、横溝正史のホラーともサスペンスともつかぬ作品群を観ているような感覚に陥るのではないかと思います…
↑民家に近づく異様な顔の下着男!
これはホラーか?それともサスペンスか?
本作は「キネマ旬報社」さんのデータベースに存在しませんので、allcinemaさんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
えっと
allcinemaさんの解説には、ストーリーのほぼ全容が書かれてしまっておりますので、中盤と最後の部分を伏せさせて頂きました。
尚、解説にある「刑務所」というのは、精神病院の誤り。
厳寒の中で精神病院の独房から脱走していた下着男は、覗いていた家に忍び込んだ後、部屋の中にあった医療カバンから何かの薬を盗んだ後、戸棚からネクタイを取り出して、1本を残してカバンの中に詰めて、家から出て行ってしまいます!
↑2階の窓から家に侵入した下着男は…
↑医療カバンから薬を盗み出した後、
↑部屋に会ったネクタイをカバンに詰めて
一本は自分の腰に巻いた後、家を脱出します!
…なんだか意味が分からない展開ですね
ですが、この手の込んだ行動全てには意味があり、本作は、下着男が一体ならをやっていたのかを、観客が推理してゆく謎解きゲームのようなミステリーとなっているのです😊
ちなみに、下着男セイラムが収監されていた精神病院は、脱出できないような構造になっている海沿いの断崖絶壁にそびえ立っている城塞のような建物!
↑夜になると通路は鉄格子で塞がれ…
↑窓から脱出しても下へ降りられません!
ですので、セイラムが夜中に出歩いていた事は、誰も知らないだけでなく、映画を観ている観客以外は、病院から脱出した事さえ誰も知らなかったのです!
↑昼は、普通に病院内にいるセイラム。
え?彼は病院から出てなんていませんよ
さて、果たして精神病院に収監されているセイラムは、一体何故、厳寒の原野を下着姿で徘徊していたのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
↑この姿は、どうみても正常とは思えませんが、
セイラムは正常な男なのでしょうか?
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は"ヒントが言葉で説明されない"謎解き映画!!
映画を観終わった後に「ああ、あのシーンは、そういう意味だったのか!」という伏線が回収されてゆく快感を味わう事ができるのですが、初見の時は意味が分からない場面も多いので、難解な映画だと勘違いされてしまうかもしれません
ですので、ほんの少しだけ本作のヒントとなるような所を説明させて頂くと、精神異常だと診断されて病院に収監されてるセイラムですが、彼はチェスが得意で、看守の手伝いをしている入院患者と毎晩チェスを打って楽しんでいます。
↑独房に閉じ込められているセイラムは
食事の受け取りをする小さな窓から盤を出して
監視役の男とチェスを指します!
ちなみにチェスの極意は、相手の出方を観て、隙を突いて攻撃し、相手を自分の術中に嵌めてゆく虚々実々のゲーム!!
詳しくは解説されませんが、本作でセイラムがチェスの名手であるという事は、彼は狂人ではなく、周囲の人々の動きを細かく観察した上で、相手の隙を突いて目的を達成するタイプの策士である事を示しているだと思われます😉
そう。
深謀遠慮というのは、遠い将来のことまで考えて周到には計画を立てること!!
ですが、立てた計画を成功させるには、気が遠くなるほどの周到な準備も必要となって来るのです!
↑上の映像にも映っているように
セイラムの病院内での仕事は人形作り!
彼は「今日は手作り人形で勝負しよう」と言って
少し頭の弱い見張り役の男に
自分の作ったチェスの駒で勝負させますが
不気味な人形かせ怖くなった男は
やっぱり普通のチェスで勝負しようと言って
自分の部屋に駒を取りに戻り
セイラムは一瞬だけ、
誰にも見られずに外に手を出すチャンスを
ゲットしたのです!
私見ですがそんな本作は、観終わった後に、どこまでがセイラムの考えた計画で、その計画を実行するまで、一体どれくらいの日数がかかったのかを想像してみると、深謀遠慮というものは、虚仮の一念岩をも通すという諺にも通じるような気がいたします。
ちなみに虚仮とは「愚か者」という意味ですが、本様の場合は、「愚か者と診断されて病院に収監された男の一念」だと読み替えて頂ければと思いますが、皆様はどう思われますでしょうか?
↑奇妙な人形を自室に並べているセイラム。
院長、これがセイラムの趣味だと思っていますが
実はセイラムが重視していたのは
何気なく天井からぶら下がっている人形!
↑セイラムはロープでの脱出を考え、
それを実行する際の風力を知りたくて
わざと変な人形をたくさん作って
実験用の人形を目立たなくさせていたのなら…
虚仮のフリをしたセイラムは
想像を絶する一念で
目的を成し遂げようとしていたのです!
という訳で次回は
桃源郷に迷い込み…
というテーマで
さすらいの青春
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
併せて観たい発掘良品!
「月下の恋(ホーンテッド)」
「月下の恋」って、なんかオシャレなタイトルですね😊
けれど本作の原題は、ディズニーランドのアトラクション名にも付けられている“幽霊に取り憑かれた”という意味の「ホーテンテッド(HAUNTED)」!
幽霊の存在を否定する研究に半生を費やしたデイヴィットは、“インチキ霊能者ハンター"の超心理学者としての有名を馳せるようになるのですが、そんな彼はある日、イギリスの郊外にある屋敷から届けられた幽霊話の手紙に興味を持ち、現地に赴いて調査をする事にるのですが、そこには幽霊はおらず、陽気で背徳的な3人の兄妹と、陰気な老家政婦がいるだけだったのです…