こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑮というテーマで

 

離愁(1973)

(原題:LE TRAIN)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

★発掘良品の発掘とは?

 

発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 

 

 

 

イタリアとフランスが作った愛の映画!

 

本作の1972年に作られた、第二次世界大戦直前を舞台にしたフランスとイタリア合作の恋愛映画。

 

↑戦時疎開中に生まれた愛の映画です。

 

 

フランスとイタリアと言えば"愛"の国と言われていますよねラブラブ

 

 

ですが、彼らの考える"愛"とは、私たち日本人の考える"愛"の定義とは、かなり違ったものなのです…

 

↑本作で激しい恋愛をするのは 

 幼い娘と妊娠中の妻がいる男性なのです!

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

第二次世界大戦中のフランスを舞台に、妻子ある中年男とドイツ生まれのユダヤ女の愛と別れを描く。

製作総指揮はラルフ・ボーム、製作・監督は「個人生活」のピエール・グラニエ・ドフェール、脚本はドフェールとパスカル・ジャルダン、原作はジョルジュ・シムノン、台詞はパスカル・ジャルダン、撮影はワルター・ウォティッツ、音楽はフィリップ・サルド、編集はジャン・ラウェルが各々担当。

出演はロミー・シュナイダー、ジャン・ルイ・トランティニャン、ニク・アリギ、レジーヌ、フランコ・マツィエリ、モーリス・ビローなど。

 

 

 

はい。

 

前述しました通り本作は、妻子ある中年男とドイツ生まれのユダヤ女(原文ママ)の愛と別れを描いた恋愛映画!!

 

…という事は本作は、第二次世界以前からユダヤ人女性と関係があった中年男が、妻子と女性の両方を救うために奔走する映画?

 

 

 

いいえ。

 

主人公のジュリアンは、フランス北部の村に住んでいた平凡なラジオ修理工。

 

 

1940年のある日、ラジオからナチス・ドイツがフランスに侵攻して来るとう情報を耳にしたジュリアンは、妻子と共に南部へと機関車で疎開させる決断をします。

 

ジュリアンは来月出産を控えている妻を、無理な旅をさせられないと心配してしましたが、幸いな事にジュリアンの住んでいる村はフランスの北端のだっため、列車の席には余裕があり、妻と娘は1等車に乗る事ができました😄

 

↑「パパ、私たち一等車に乗れたわ😊」

 

 

ただし、一等車は老人や女性専用であり、ジュリアンは列車の後部につなげられている貨物車両に乗る事になるのですが、ジュリアンが乗り込んだ貨物車の中には、アンナと名乗る絶世の美女が座っていたのです!!

 

↑妻と別れて貨車に乗ったジュリアンは

 絶世の美女アンナに目を奪われてしまいます!

 

 

…え?

 

アンナを一目見て、いきなり恋愛感情発生!?

 

 

 

 

さて、一体どうしてジュリアンは、貨車に同乗する事となったアンナに恋してしまったのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑目の前のアンナを凝視するジュリアン!

 恋は突然炎の如く!!

 

 

 

【私の感想】 アガペーとエロスのちがいとは?

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は愛という感情の厄介な一面が描かれている作品!

 

旅の途中、兵士たちの機関車と連結する事となった貨物車は、知らぬ間に一等車と切り離されてしまいますが、そんな中ジュリアンは、妻の心配するよりも単身で貨物車に乗り込んでいたアンナを心配し、別れ別れになってしまった妻子を探さずにアンナと行動を共にするようになってしまいます。

 

↑妻から渡された瓶に水を詰めていた

 ジュリアンですが、アンナに一口欲しいと言われ

 一瓶渡してしまいます!!

 

 

…ジュリアンは妻子がいるのに随分不誠実ですね😟

 

ですが、このような理屈では納得できないような感情こそが愛というのものの本質!

 

 

 

戦争が近づいている?

 

妻子がいる?

 

人としてのモラルは?

 

 

 

そう。

 

愛とは、時に論理性や理性を超越して芽生えてしまう"制御不能な厄介な感情"でもあるのです!

 

↑他の男性から言い寄られたアンナを見て

 嫉妬の炎を燃やすジュリアン!

 

 アンナは自分の彼女ではありませんが、

 自分が愛してしまった人でもあるのです!!

 

 

本作に限らず、フランス映画やイタリア映画には、感情を超えた制御不能な愛に陥ってしまい、破滅したり、家庭を崩壊させたりしてしまう男女が数多く描かれていますが、恐らくこれはラテン系の民族が、愛というもののやっかいな本質を理解しているから!

 

 

新約聖書のコリン人への手紙には、

 

愛は寛容であり、愛は親切です。また人をねたみません。

 

愛は自慢せず、高慢になりません。

 

礼儀に反することをせず、自分の利益を求めず、怒らず、人のした悪を思わず、不正を喜ばずに真理を喜びます。

 

すべてをがまんし、すべてを信じ、すべてを期待し、すべてを耐え忍びます。

 

愛は決して絶えることがありません。

 

という美しい語句がありますが、これはアガペー(神様の愛)の視点での愛!

 

 

 

ラテン系の映画でよく描かれている愛は、神の視座の愛であるアガペーではなく、人間という不完全な存在が抱く愛であるエロスの事!!

 

本作は、そんなエロスの持つ衝動的な愛の厄介さと同時に、そんな愛に巡り合ってしまたジュリアンとアンナの切ない人生を描いた作品となっているのですあせる

 

↑偶然出会って恋に堕ちてしまった2人。

 愛とは、予定調和ではない突然の感情だからこそ

 制御不能なのではないでしょうか…

 

 

 

私見ですが本作は、世界情勢が緊迫している2020年代だからこそ、観て損のない作品!

 

もし自国が有事に襲われたら?

 

そんな時、もし誰かを一目惚れしてしまったとしたら、全ての人がそんな感情を捨てて、凛として生きられるのものなのでしょうか?

 

きっと人間のエロスの愛は…

 

愛は不寛容なものであり、愛は独占的なものです。また人をねたむことだってあります。
 

愛は自慢したり高慢になったりする感情です。

礼儀に反するもしますし、、自分の利益も求めますし、怒ったり、人を恨んだり、不義や不正をしたり、真理に目をつぶったります。

すべてを我慢せず、すべてを疑い、すべてを期待し、己の欲求に正直になります。

 

けれどアガペーと同様、愛は決して絶えることがありません。

 

というドロドロとしたものではないかと思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか?

 

↑皆様は衝動的に生まれてしまう愛という感情を

 どう思われるでしょうか?

 

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

夜歩く

というテーマで

 

ナイト・ビジター

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品!
「スキャンダル」

 

本作よくありそうなタイトルの作品ですが、内容は地獄の熱愛サイコサスペンスともいうべき、あまり類を見ない作品!!

 

薬屋を営んでいる裕福な女性エリアーヌが、下働きの男性アルマンと不倫関係になるという、よくありそうな話ですが、冒頭のお色気コメディか昼メロのような雰囲気は、一度2人が肉体関係を持った以降一変します!

 

エリアーヌが夫に何も言っていない事に気づいたアルマンは、それまで尊敬していたエリアーヌの事を、発情した雌犬のような目で見て、平然と彼女に言い寄って来るようになり、二人はスキャンダラスで制御不明な関係となってゆくのです…