こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑮というテーマで

 

サムライ(1967)

(原題:LE SAMOURAÎ)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

★発掘良品の発掘とは?

 

発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 

 

 

 

"短い時間"でできる事とは?

 

本作の原題は「LE SAMOURAÎ(サムライ)」。

 

 

…という事は、本作は海外で作られた侍が登場する作品?

 

↑侍が登場する海外作品ってこんな感じ?

 (「SFソードキル」より)

 

 

いいえ。

 

本作は、映画の冒頭に"武士道"の一節が記されている、武士の孤独をモチーフにしたフランス映画なのです。

 

↑映画の冒頭に流れるのは

 新渡戸稲造氏の「武士道」の一節!!

 

↑本作は、武士的な生死観をモチーフにした

 フランスの映画なのです。

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

ゴアン・マクレオの原作を、「ギャング」のジャン・ピエール・メルヴィルが脚色・監督したギャングもの。

撮影は、「パリの大泥棒」のアンリ・ドカエと、直弟子のジャン・シャルヴァンの二人。

音楽はフランソワ・ド・ルーベが担当している。

出演は、「冒険者たち」のアラン・ドロン、ドロン夫人のナタリー・ドロン、「シェラマドレの決斗」のカティ・ロジエ、「奇襲戦隊」のフラソワ・ペリエ、「アイドルを探せ」の監督であるミシェル・ボワロンなど。

製作はジョルジュ・カサテイ。

 

 

 

 

ん?

 

ギャングもの?

 
 
えっと、確かに本作にはギャングたちは登場しますが、主人公はギャングではなく一匹狼の殺し屋!!
 
 
主人公のジェフは、外出する時は常にソフト帽とトレンチコート姿の殺し屋。
 
↑私生活が分からない服装のジェフ。
 
 
映画の冒頭、パリの市街で路上駐車している車を盗んだジェフは、その車のナンバープレートを付け替えて、夜のクラブへと向かいます。
 
↑そんなジェフは警察がいる前で
 盗む車を物色するような肝の据わった男!
 
↑ジェフは盗んだ車で移動しナイトクラブへ…
 
 
ナイトクラブの入り口まで行ったジェフは、受付を素通りしてトイレに入り、店内と通じているドアを通ってクラブ内に侵入した後、クラブのオーナーの部屋へと向かい、オーナーを殺害してしまいます!!
 
↑受付に向かわずトイレへ直行して
 別の出入り口を使ってクラブに侵入するジェフは
 経営者を射殺!
 
 
この間ジェフはほぼ無言ですが、状況から察すると、ナイトクラブのオーナーの殺害を依頼されたジェフは、依頼者から侵入経路を教えられており、その情報に従って標的の部屋へたどり着いたと考えられます!
 
↑クラブの従業員や客に気づかれる事なく
 目的地へと向かうジェフ!
 
 
 
という事は、今回のジェフの仕事は無事完了という事?
 
 
いいえ。
 
オーナーを殺害したジェフが部屋から出た時、舞台で演奏を終えて楽屋に戻って来た歌手のバレリーと鉢合わせしてしまったのです!!!
 
↑物音が気になったバレリーは
 仕事を終えたジェフの顔をハッキリと
 見てしまったのです!!
 
 
目撃者を始末するのは殺し屋の鉄則ですね汗
 
ですが何故かジェフは、バレリーを殺す事なくその場を立ち去ってしまったのです!!
 
 
 
さて、ジェフは一体どうして、自分を目撃したバレリーの命を奪わなかったのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
↑事情聴取に来た警察ですが
 クラブの店員は誰もジェフの顔を見てませんあせる
 唯一の目撃者であるバレリーは
 警察の質問に何と答えたのでしょう…
 
 

 

【私の感想】 サムライ・ソウル

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は自分の美学を貫いて生きているジェフという殺し屋の寂しい人生を描いた作品

 

殺し屋としての仕事を完璧にこなそうとするジェフは、万が一、自分が容疑者となって場合も考え、予め自分の愛人に殺害時刻のアリバイを証言するよう依頼しますが、当日彼女が別の愛人と一緒にいるから証言できないと言うと、その男を自分がクラブのオーナーを殺害する時間までに帰らせて、アリバイ作りに協力して欲しいと改めて頼みます。

 

↑「今夜のアリバイを頼みたい」

 「無理よ。これから別の人が来るの」

 「じゃあ、その男を帰した後で、

 俺がこの部屋に来た事にして欲しい」

 

 

…でも、これって自分の愛人が別の男と寝ている事を容認しているって事ですよね汗

 

 

そんなジェフは、殺しの為に恋人との幸せな生活を犠牲する事を覚悟したような超ストイックな生き方をしている男だったのです。

 

↑私物が置かれていないジェフの部屋は、

 自分の痕跡を一切残さないという

 ジェフの殺し屋としての哲学を見るようです。

 

 

そう。

 

仕事のために生きるというのは、孤独な人生である事を受け入れる事!

 

 

 

映画の冒頭で、ジェフの飼っている鳥の寂しい鳴き声と共に流れる「武士道」のテロップは、

 

サムライの孤独ほどふかいものはない。

 

さらに深い孤独があるとすれば、

ジャングルに生きるトラのそれだけだ。

 

というもの。

 

 

 

私見ですがこれは、殺し屋という職業を選んだジェフが、私生活での歓びを捨てて生きている道を選んで生きているというだけでなく、たとえ自分の身が危うくなったとしても、無関係な人間を殺害しないという矜持を持っている事を示しているのような気がいたします。

 

殺し屋にとって、自分の顔を見られてしまうのは致命的な失敗!

 

ですが、無関係な人間に手をかけないというジェフは、その事によって死を受け入れる事も良しとする、孤独な決断を受け入れたサムライ・ソウルを持つ人間だと考えるのですが、皆様はどう思われますでしょうか?

 

↑例えバレリーに証言されたとしても、

 黙って受け入れよう。

 

 そんなジェフは、いざとなれば自害も辞さない

 サムライと同じソウルを持つ

 深い孤独を抱いて生きる男だと思います…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

パーキンスの恐怖

というテーマで

 

さよならをもう一度

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品!
「メカニック(1972年版)」

 

殺し屋として長年研鑽を積んで来たビショップは、自分の最後の仕事として後継者を育てようと決意します。

 

これど殺し屋というのは孤独な職業。

 

孤独に生きて来た男が、孤独な若者を育成するというのは、果てして成功るものなのでしょうか…