こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と発掘良品の発掘⑮というテーマで
ダーク・ハーフ(1993)
(原題:THE DARK HALF)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★発掘良品の発掘とは?
発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。
本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄
↑今月のラインナップの詳細はコチラ!
本作の原作は、アメリカのモダンホラーのレジェンドと言われスティーブン・キング氏の小説!!
↑「ダーク・ハーフ」の原作小説。
スティーブン・キング氏原作のホラー映画として有名なのは「シャイニング」と「ミザリー」だと思われますが、どちらの作品も災難に見舞われるのは小説家!
↑スランプ中の作家が精神的に
追い詰められてゆく「シャイニング」
↑大怪我をした作家が肉体的に
追い詰められてゆく「ミザリー」。
本日の作品はそんな2大名作と同様、小説家の受難を描いたホラー作品なのです!
↑本作は死んだ小説家にまつわる
ホラー映画なのです…
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
ん?
つまり、本作で猟奇殺人を犯していたのは、ポーモントという小説家の別名義である"ジョージ・スターク"の名を語る人物だという事?
いいえ。
この解説だと、ちょっとシンプルばてストーリーが分かりにくいので、もう少しだけ解説させて頂くと、サディアス・ポーモントは大学で文学の授業を受け持っている文芸作家。
大学で授業を行っている以上、あまり煽情的な作品を書く事は慎まねばなりませんよね
ですのでポーモントは秘密裏に、ジョージ・スタークという別名義で、残酷なスラッシャー小説を出版していたのです。
↑大学教授としてスラッシャー小説はNG!
↑ですのでポーモントはスターク名義で
煽情的な小説を書いていたのです…。
ちなみにジョージ・スターク名義の小説の方がポーモント名義の作品よりも人気があり、妻と双子の子供を養育してゆくためにも、ポーモントにとってジョージ・スタークは、なくてはならない相棒のような存在だったのです。
ですがある日、ポーモントがジョージ・スタークと同一人物である事を突き止めたフレッドという男がやって来て、秘密をばらされたくなければ口止め料を払えと迫って来たのです!
↑「知ってますよボーモントさん。
あなたがジョージ・スタークですよね!!」
「 … … … … 」
という事は、秘密を知られたくないボーモントが、フレッドを惨殺したという事?
いいえ。
ボーモントはフレッドに腹を立てましたが、自分とジョージ・スタークの二重生活にも疲れていたボーモントは、今が潮時だと考え、スタークの秘密を共有しているマネージャーと話を付け、ジョージ・スタークが自分だという事を自ら発表する事を選んだのです。
↑NYのマネージャに連絡して
自らジョージ・スタークだと告白する事を
告げるボーモント。
ボーモントの良き理解者であるマネージャーは、彼の決定に快く賛同さてくれただけでなく、もうジョージ・スターク名義の小説を書かないと宣言したボーモントに対して、だったら発表と同時にジョージ・スタークの死亡記事も掲載しようと提案し、名実ともにジョージ・スタークの存在はこの世から消滅する事となったのです!
↑カメラマンのアイディアで、
ジョージ・スタークの墓の写真を撮る事に…
↑こういうのはジョークだから、
楽しい雰囲気で撮っちゃいましょう😊
ですが、そんなジョージ・スタークの死亡記事が発表された数日後、スタークの墓の写真を提案したカメラマンが、夜中に何者かに襲われて惨殺され、現場からはボーモントの指紋が検出されてしまたのです!!
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作の興味深いポイントは、原作者のスティーブン・キング氏も、別名義の小説を書いていた事を暴露された過去があるという事!
スティーブン・キング氏の別名義はリチャード・バックマンといい、幽霊などのスーパーナチュラルな怪異が登場するスティーブン・キング名義の作品とは異なり、人間の残虐さや冷酷さを描いたようなサスペンス・テイストの作品が多いのが特徴。
ですので私としては本作は、リチャード・バックマンを封印されてしまったスティーブン・キング氏が、もし自分の中にもう一つの作家としての人格があり、その人格が抹殺されたとしたなら、その隠れた人格はどうなってしまうのだろうという着想から生まれた作品ではないかと考えています😉
↑ジョージ・スタークとして執筆する時は
別荘に籠って専用の机で書いていたボーモント。
…という事は、この人格は抹殺??
そう。
人間には、公的には見せない別人格があるのは不思議ではない事!
普段は生真面目な人がギャンブルではメッチャ熱くなったり、上品な喋り方の人が限界を超えると、猛烈に口汚くなったりするのも、別人格の所作なのかもしれません…
ちなみにボーモントがジョージ・スタークとして執筆している時の人格はボーモントとは正反対!
彼の妻は、酒もタバコもしないボーモントが、スタークとして執筆している時は両方を嗜み、暴力的な言葉も乱発していると気味悪がっていたので、ボーモントにはもう一つの人格があったのではと推測されます。
ん?
という事は本作は、リチャード・バックマン名義の小説同様、スーパーナチュラルものではなく、二重人格のシリアルキラーが登場するスティーブン・キングらしくないストーリーという事?
↑つまりボーモントは二重人格の殺人鬼?
いいえ。
本作はスティーブン・キング名義の作品!!
キング氏は、スランプの小説家ジャック・トランスが精神分裂症になってゆくような展開のスタンリー・キューブリック監督版の「シャイニング」を、自分の意図していた内容の作品ではないと酷評しますので、本作が精神分裂症による二重人格の映画にする訳がありません。
私見ですが本作は、作家の中のもう一つの人格を、精神分析ではなくスーパーナチュラルの存在によるものとして描いた画期的な作品であり、もしも自分の肉体がボーモントみたいだったらと考えると、背筋がゾッとするようなホラー映画となっていると思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか?
↑サイコサスペンスのような本作ですが
実態はスーパーナチュラル系のホラー!!
↑「またスズメが飛んでいる」という言葉には
どんな秘密が隠されているのでしょうか…
という訳で次回は
殉職上等!
というテーマで
天国に行けないパパ
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
併せて観たい発掘良品!
「スキャナーズ」
本作は、80年代に流行したスーパーナチュラル映画の中でも話題となった作品の一つ!
本作で伝説的頭部破壊映像を生み出したのは、人体破壊描写に強い興味を持っている芸術家気質のデヴット・クローネンバーグ監督。
クローネンバーグ監督が描く残酷描写は、サディスティックな感情からではなく、昆虫などのような"人間と異なる感情を持った存在"が人間に対して行う行為を映像化したもの!
そんな本作は、よくある超能力者映画とは一線を画した、超能力を持ってしまった事によって人間の感覚を失ってゆくベイブという男の観察日記のような作品だとご理解頂けると幸いです😊