こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑮というテーマで

 

ワーテルロー(1969)

(原題:WATERLOO)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

★発掘良品の発掘とは?

 

発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 
 

 

 

 

ワーテルローか?ウォータールーか?

 

本作のタイトルのワーテルローは、ベルギーの地名「WATERLOO」から採ったもの!

 

ですが同名の地名はイギリスのロンドンにも存在し、英語読みで「ウォータールー(WATER:ウォーター + LOO;ルー)」と呼ばれています😊

 

↑ロンドンのウォータールー駅。

 

ちなみにロンドンにウォータールーという地名が誕生した来歴は、ベルギーのワーテルローで行われた戦いでウェリントン公率いるイギリス軍が、フランス皇帝ナポレオン1世を破った事を記念して命名されたもの!!

 

 

本作はそんな、ヨーロッパの関ヶ原とも言うべきワーテルローの戦いを映画化した作品なのです😆

 

↑天下分け目のウォータールーの戦いとは!?


 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

英雄ナポレオンと智将ウェリントンがヨーロッパの運命をかけて、ワーテルローの地で激突した戦いを描く。

製作は「さよならを言わないで」のディノ・デ・ラウレンティス、監督は「戦争と平和」のセルゲイ・ボンダルチュク、脚本はボンダルチュクとH・A・L・クレイグとヴィットリオ・ボニチェリ、撮影は「天使の詩」のアルマンド・ナンヌッツィ、音楽はニーノ・ロータ、編集はE・V・ミチャロバと国際色豊かなスタッフ。

出演は「軍曹」のロッド・スタイガー、「空軍大戦略」のクリストファー・プラマー、「わが命つきるとも」以来のオーソン・ウェルズその他ヴァージニア・マッケナ、ジャック・ホーキンス、ダン・オハーリーなど。

 

 

 

え?

 

セルゲイ・ボンダルチュクと言えば、ロシア人の映画監督!

 

当時ロシアはソビエト連邦でしたので、本作はイギリスとフランスが激突したワーテルローの戦いを、ロシア人の監督が映画化したソビエト映画??

 

 

はい。

 

ですがこれは不思議な事ではありません。

 

 

無敵を誇った皇帝ナポレオンは、ロシアへ侵攻して結果大敗し、フランスが降伏した後に地中海のエルバ島へと追放された男!

 

↑部下たちから降伏を説得され

 苦渋の決断を強いられた皇帝ナポレオン。

 

ですのでロシア側から見れば、自分たちが倒したナポレオンが、その後どのような運命を辿ったのかを描く事は、自分たちがヨーロッパ史に影響を与えた足跡を描くような作品😊

 

↑エルバ島から脱出したナポレオンは

 彼を鎮圧しに来たフランス軍を

 演説だけで降伏させ、再び軍を掌握し

 ヨーロッパ各国を震え上がらせた怪物です!

 

 

 

…でも、共産主義国の映画だとしたら、本作はソ連の国威高揚を目指したようなプロパガンダ映画のような作品?

 

 

いいえ。

 

むしろ本作は、エルバ島から脱出してフランス軍を再び掌握したナポレオンと、ナポレオンのキャラを把握して、一か八かの大勝負に出る策士ウェリントン公との虚々実々の戦いを描いた、手に汗握るエンターテイメント大作!!

 

↑当時の戦闘を忠実に再現した

 迫力の戦闘シーンは一見の価値があります!

 

 

さて、ヨーロッパ征服を目前にして皇帝の座を引きずり降ろされ、捲土重来の思いで蘇ってきた怪物ナポレオンと、後にイギリス連合王国貴族の中では筆頭となる爵位である公爵の座に就いた知将ウェリントンとの戦いは、どのようなものであったのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
↑屈辱の中から立ち上がり、一声だけで
 戦う事なくフランス軍の指揮官に返り咲いた
 英雄ナポレオン!
 
↑緻密な軍略家であるだけでなく
 アイルランド貴族の血を引くウェリントン!
 正反対の2人の対決の行方は!?
 

 

 

【私の感想】 信を得て夢を実現せよ!

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、ウォータールーでナポレオンが敗北する事は歴史的な事実ですので、本稿では、なぜセルゲイ・ボンダルチュク監督は、作品に厳しい制限がかかっていたソビエトの映画業界の中で、どうして政府から膨大な援助もらいつつ、自由なエンターテイメント作品が作れたのかを考察してみたいと思います😊

 

 

本作を撮られたセルゲイ・ボンダルチュク監督は、1965~67年に、あのトルストイの名著「戦争と平和」を映画化した監督!!

 

この作品はソビエト連邦が国家の威信を賭けて、10年がかりで作り上げた424分にも及ぶ超大作!!

 

製作費130億円をかけ、53万人の出演者を動員させて作り上げた「戦争と平和」は、ソ連国内だではなく西側諸国でも幅広く公開され、米国アカデミー賞外国語映画賞も授与されるというソ連映画界の面目躍如となめ結果を残しました😁

 

↑こんなシーンが惜しげもなく続く「戦争と平和」。

 

 

もし、そんなソ連映画界の第一人者として認められたセルゲイ・ボンダルチュク監督が、「戦争と平和」の後日談のような「ワーテルロー」を作りたいと願い出たとしたのら、果たしてソ連の上層部は拒否する事ができたでしょうか?

 

 

そう。

 

自分の夢を叶えたいのであれば、まず信用される事が先!!

 

 

 

「戦争と平和」を大成功に収めたセルゲイ・ボンダルチュク監督は、ソ連とイタリアの合作というカタチで本作を作る事を許されただけでなく、キネマ旬報社さんの解説にある通り、イタリアの名撮影監督のアルマンド・ナンヌッツィ氏や映画音楽の巨匠ニーノ・ロータ氏と共同で、ソ連映画らしからぬ一大エンターテイメント作品を作り上げる事に成功したのです😆

 

↑ソ連から予算と出演者をゲットしつつ

 イタリアの芸術肌の映画人との競作も果たすという

 夢を実現させたセルゲイ・ボンダルチュク監督!

 

 

尚、セルゲイ監督同様、ソ連映画界の至宝と言われていた「惑星ソラリス」を撮られたアンドレイ・タルコフスキー監督は、彼にしか撮れない映像表現が素晴らしい作家性の強い監督でしたが、後に自由を求めてソ連から亡命し、その後故郷に戻る事なくお亡くなりなられました…。

 

 

私見ですが、本作で対決するナポレオンとウェリトンの生き方の違いは、アンドレイ・タルコフスキー監督とセルゲイ・ボンダルチュク監督と対比するように見えます。

 

強い意志の元、自分の夢を叶えるために反逆児となった突撃型のナポレオンと、国内で信頼を重ね、十分な情報収集をした上で、ナポレオンを殲滅させる事に成功した計略型のウェリントン!

 

 

本作は、全く異なる生き方をしてる2人のどちらにも光を当て、リスペクトしている作品に思えるのですが、皆様はどう思われますか😉

 

↑英仏戦争であるワーテルローの戦いは

 プロシアの援軍が来なければ

 ウェリントンの負けでした…

 関ヶ原の合戦同様、ワーテルローも

 わずかな運命が勝敗を分けたのです…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

人生最後の旅立ち

というテーマで

 

ロンサム・ダブ 第1章 旅立ち

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品!
「ノスタルジア」

 

本作は「惑星ソラリス」を撮られたソ連出身のアンドレイ・タルコフスキー監督の作品。

本作公開後の1984年、タルコフスキー監督はソ連当局からの帰国要請を撥ね付け事実上の亡命を宣言し、以降、ソビエトに戻る事なく生涯を終えます。
 
本作の主人公アンドレイ・ゴルチャコフは、18世紀にイタリアを放浪し、祖国であるロシアに帰国すれば奴隷になることを知りながら、それでも故郷へ帰り自殺を遂げた音楽家パーヴェル・サスノフスキーという人物の足跡を追って旅を続けるロシア人の詩人。
 
アンドレイ・ゴルチャコフはタルコフスキー監督自身の分身であり、パーヴェル・サスノフスキーの非業の死とは対照的に、自身はソ連に帰らない事を決意した秘めたる胸の内を表したような本作には、二度と帰れないであろう故郷の風景が何度も描かれているのです…