こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑬というテーマで

 

ノスタルジア(1983)

(原題:NOSTALGHIA)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

帰りたくても帰れない故郷への想い…

 

本日の作品は、前回ご紹介させて頂いた「ストーカー」と同じアンドレイ・タルコフスキー監督作品。

 

 

 

「ストーカー」は、「自分の望んでいた事が叶うと人は幸せになれるのか?」という哲学的なテーマをSF仕立てにした作品であり、本来は一人一人の人間が自問自答すべき事柄だと思います😊

 

↑「少女は自分の望みを叶えた後、絶望する」

 と喝破した「まどか☆マギカ 」の内容の是非も、

 少女たちが自問自答すべき事柄です!

 

 

ですがアンドレイ・タルコフスキー監督は、そんな自分自身の心の奥底にある想いを映像化し続けた監督!

 

「惑星ソラリス」“過去の楽しい思い出”が精神に及ぼす効果を描いたものであり、「ストーカー」“望んでいた夢が叶う”事によって人間はどうなってしまうのかを探求したものであるなら、本日の作品は“帰りたくても帰れない故郷への想い”は、人の心にどのような傷を負わせていくのかを描いた作品となっているのです…

 

↑もし変えるべき故郷を失ってしまったとしたら

 どんな感情に苛まれるのでしょうか…

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

自殺したあるロシア人の音楽家の足跡を追って旅を続ける詩人の愛と苦悩を描く。

エグゼキュティヴ・プロデューサーは、レンツォ・ロッセリーニとマノロ・ボロニーニ。監督・脚本は「アンドレイ・ルブリョフ」「鏡」「ストーカー」のアンドレイ・タルコフスキー、共同脚本は「エボリ」「サン★ロレンツォの夜」のトニーノ・グエッラ、撮影はジュゼッぺ・ランチ、べートーヴェンの〈交響曲第9番〉、ジュゼッペ・ヴェルディの〈レクイエム〉他の音楽を使用し、マッシモ&ルチアーノ・アンゼロッティが音響効果を担当。

…以下は、スタッフ&キャストの情報なので略させて頂きました。

 

自殺したあるロシア人の音楽家の足跡を追って旅を続ける詩人!?

 

 

はい。

 

自殺した音楽家というのは、18世紀にイタリアを放浪し、祖国であるロシアに帰国すれば奴隷になることを知りながら、それでも故郷へ帰り、自殺を遂げたパーヴェル・サスノフスキーという人物!

 

主人公のアンドレイ・ゴルチャコフは、そんなパーヴェルの足跡を追うためにイタリアやって来ていた詩人。

 

 

彼は詩人らしく、パーヴェルと同じように、イタリアに滞在しながら故郷ロシアに帰りたいと思う人間の心を想像しながら旅をしていたのです。

 

↑美しいイタリアを巡りながら心はロシアを想う…

 

 

そんなアンドレイのイタリア旅行は楽しいものになるハズもなく、アンドレイの心の中は、殺される事が分かっていても帰る決断をしたパーヴェルの心境に近づくために、自身もロシアへ帰れなくなってしまったのですあせるあせる

 

↑望郷の想いは自分の命より重いものなのか?

 

 

 

さて、そんな想いでイタリアに滞在し続けたアンドレイは、果たしてどんな心境に辿り着いたのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑体はイタリアに在り、心は故郷ロシアを想う…

 

 

 

驚異の先読み!!

 

本作で描かれているのテーマは「望郷の念」。

 

恐らくですが、今故郷を捨てて別の土地に住んでいらっしゃる方の心の中には、少なからず“なつかしき故郷に帰りたい”という想いがあるのではないでしょうか?

 

↑アンドレイの心は故郷を彷徨う。

 

 

パーヴェルは音楽の都に住みながらも、故郷への想いを断ち切る事ができず命を失ってしまいました。

 

ではもしパーヴェルが、命を大切にして、故郷へ戻る事をあきらめて一生を過ごしていたとしたら、別れがたい望郷の念によって死を覚悟して戻った時よりも幸福な人生を送れたのでしょうか?

 

 

 

そう。

 

故郷を捨てて生きながらえるという選択も、故郷へ戻り殺されるという選択も、最後は自分の心の中の決断にゆだねられる事となるのです…

 

↑どちらが得か?という選択ではないのです!

 

 

 

う~ん。

 

だけどアンドレイは、故郷に帰れない訳ではなのだから、どうしてそんな究極の選択で苦しまなければならないの?

 

 

 

 

その理由は、本作が公開された後の、アンドレイ・タルコフスキー監督自身の人生を知ると、ご理解できると思います。

 

本作公開後の1984年、タルコフスキー監督は後、ソ連当局からの帰国要請を撥ね付け事実上の亡命を宣言し、以降、ソビエトに戻る事なく生涯を終えたのです…。

 

 

 

そう。

 

本作は、タルコフスキー監督自身が決断するであろう、ロシアからの亡命後の自分の心情をあらかじめ想定して描いた“故郷へ帰りたくても帰れない悲しみ”を描いた、告発的な意味を持つ作品!!

 

↑「ねぇ。もう故郷には帰れなくて寂しくない?」

 

 

亡命という決断を自らしながらも、それによって自分の人生が必ずしも幸福になる訳ではないと理解し、その想いを亡命前に映像化していたのだとしたら、計り知れない想像力があると言わざるを得ないのではないでしょうか?

 

↑「もちろん寂しいさ。その想いを抱いて生きていくよ…」

 

 

本作のラストには、本作を母親に捧げるという文字があります。

 

祖国とも家族とも永遠の訣別を決意したタルコフスキー監督は、亡命した2年後の1986年にパリにて死去されました。

 

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

 

↑本作のラストで描かれる炎の意味は次回で詳しく!

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

もしも願いが叶うなら

というテーマで

 

サクリファイス

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆