こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と発掘良品の発掘⑮というテーマで
スーパーマリオ/魔界帝国の女神(1993)
(原題:SUPER MARIO BROS.)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★発掘良品の発掘とは?
発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。
本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄
↑今月のラインナップの詳細はコチラ!
ご存知の方も多いのではないかと思いますが、本作はスートーリーがゲームのスーパーマリオと全く関係がない作品!
スーパーマリオの映画化作品と言えば、ファンタジックな世界を舞台に、大魔王クッパにさらわれたピーチ姫を救うために、マリオが亀やキノコを倒しながら疾走する作品を思い浮かべられると思いますが、本作にはピーチ姫も亀も登場せず、代わりに12頭身くらいの恐竜人間が登場して、スーパーマリオ・ファンを困惑させる内容となっているのです
↑普通の人が考えるスーパーマリオの世界は
こんな感じではないかと思いますが…
↑本作のスーパーマリオの世界は
こんな感じなのです
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
…原作が「スーパーマリオ」ですので、オリジナル・デザインが任天堂の宮本茂氏と手塚卓志氏というのは当たり前なのではないでしょうか
なお、監督されたロッキー・モートン氏とアナベル・ヤンケル氏は本作を最後に監督人生を終わらせてしまっているようですので、本作は世界的にも評価されなかった作品だと考えられます。
そんな本作のストーリーを簡単に説明すると、マリオとルイジという配管工の兄弟が、かつて地球に存在していた恐竜たちの子孫が住んでいる世界に迷い込んでしまうという「不思議の国のアリス、おっさん版」のようなお話!
2人が迷い込んだのは、白亜紀に地球に落ちて来た隕石の衝撃によって誕生した次元の狭間のような世界!
その世界で生き残った恐竜たちは人類のような進化を遂げ地下王国を作り上げていましたが、現統治者のクッパは、本来自分たちが住んでいた地上へ戻る事を画策し、地上と地下王国の間に通路を作る事ができるクリスタルを探していました。
そんなクッパの野望を阻止しようとした前国王は、生まれたばかりの自分の娘にクリスタルを持たせて、妻と共に地上へと送り出します!
と言っても、恐竜から進化した国王の娘は、卵の状態で生まれて来ますので、彼女は卵としてNYの教会の前に置き去りにされる事になったのです!
↑教会の前に置かれていた卵!
巨大な卵から赤ん坊が生まれたのを見た教会のシスターたち驚きますが、彼女を人間として育てる事に決めデイジーと名付け、孤児として育てる事にします。
↑へその緒はないけど、この子は人間よ。
私たちで大切に育てましょう😊
そんなデイジーは成長して考古学を学ぶ大学生となるのですが、NYの地下で発見された恐竜の遺跡を調査していた時、謎の二人組に拉致され、地下王国へと連れ去られてしまいます!!
↑デイジーは怪しい2人組に拉致されて
地下王国へと連れ去られてしまったのです!
デイジーと知り合いだったNYで配管工をしているマリオとルイジは、拉致されたデイジーを救うべく2人組の後を追って発掘現場の地下へと向かいますが、デイジーは岩の中へと吸い込まれてしまったのです!
↑岩の中に吸い込まれるデイジー。
デイジーが好きなルイジの手に残されたのは
彼女の首にかけていたクリスタル!
さて、果たしてマリオとルイジは、地下王国へと連れ去られたデイジーを救出する事はできるのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
↑皆様のご想像通り、クリスタルの力で
地下王国に侵入する事ができたマリオとルイジ!
果たしてただの配管工の二人は
デイジーを救う事ができるのでしょうか?
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、ここまでの解説で、本作のストーリーがゲームの内容とは全く関係のないだという事はご理解いただけたのではないかと思います😅
↑ここがクッパの支配する地下王国!
ゲームのマリオとは全く違う世界観ですね😅
このことについて批判するのは簡単な事だと思いますので、私としては「なぜ本作は、原作を完全に無視した作品となってしまったのか?」というポイントを考察してみたいと思います😊
本作が公開されたのは1993年。
ですので恐らく、本作が企画されたのは1980年代の中盤であり、80年代中盤のアメリカ映画業界は、TVのミュージックビデオの影響などにより、視覚的な斬新さを求めた作品が数多く発表されていました!
「ブレード・ランナー(1982年)」、「ナイト・オブ・ザ・コメット(1984年)」、「ムーン・ウォーカー(1988年)」、そしてティム・バートンの「バットマン(1988年)」などの作品は、映画の中にミュージックビデオ的な映像を取り込んだ斬新な映像の作品!
そして、そんな80年代の斬新な作品のひとつに「マックス・ヘッドルーム」というTV番組が存在しました😄
↑こちらが「マックス・ヘッドルーム」の映像!
CGで作られた奇妙なバーチャル司会者のマックス・ヘッドルームが登場する番組は大ヒットしますが、このマックス・ヘッドルームを作ったのが、本作の監督されたロッキー・モートン氏とアナベル・ヤンケル氏であり、2人が「スーパーマリオ」の監督に起用された理由は恐らく「CGキャラが登場する作品をヒットさせた監督だから、同じCGのスーパーマリオもヒットさせられるのでは?」という安易な考え方だったのではないかと思われます…
ですがマックス・ヘッドルームは子供向け作品ではなく、皮肉の効いたシニカルなギャグ作品であり、2人は明らかに「子供たちに愛されるスーパーマリオを作るタイプの監督」ではなかったのです
↑自分に逆らう人間を退化させてしまうクッパ!
この表現はマックス・ヘッドルーム的です😆
そう。
方向性の異なる監督を起用した映画は、観客の望む作品となるとは限らないのです…
単純にCGキャラの使い方が上手だからという事で監督に起用されたロッキー・モートン氏とアナベル・ヤンケル氏によって、本作は誰も望んでいないスーパーマリオとなってしまいましたが、同様に、監督の主張によって原作とは全然違う作品となってしまった映画は80年代には沢山存在しましたが、現在ではそれらの作品の多くが原作とは別作品として高く評価されています😊
↑「シャイニング(1980年)」や
「デューン/砂の惑星(1984年)」なども
監督の考えている世界観によって
原作とは大きく異なる内容となった映画!
ですので酷評されがちな本作も、ひょっとすると「ビーバス・アンド・バットヘッド」や「ウゴウゴルーガ」や「ポプテピピック」などを愛する人たちによって再評価されるかもしれませんね😊
皆さんは、思いっきり監督の方向性が暴走したスーパーマリオをどう思われるでしょうか😆
↑1992年に配信されたTV番組「ウゴウゴルーガ」は
従来の子供向けTV番組の構造を破壊し
斬新な作品として人気を博した作品です!
↑ですので脱スーパーマリオ的世界を破壊した本作も
やがては「このマリオの世界、面白いじゃん!」と
愛されるようになるかもしれませんね😆
↑参考資料:ブランドという価値の構造自体を破壊する
2021年のルイ・ヴィトンの春夏イメージ映像!
今までの価値観をぶっ壊せ!イエ~!!!
という訳で次回は
忍者復権のススメ
というテーマで
燃えよNINJA
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
併せて観たい発掘良品!
「オーバー・ザ・トップ」
シルベスター・スタローン主演の父子の交流を描いたジュブナイル作品は、心無いファンたちによってゴールデンラズベリー賞作品として嘲笑され、少年を演じた子供の俳優としての未来を奪ってしまいました…
俳優や監督の熱心ファンは、時として彼らが挑戦しようとする新しい方向性を否定する存在にもなり得るのです…