こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑮というテーマで

 

怒りの荒野(1967)

(原題:I GIORNI DELL'IRA)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

★発掘良品の発掘とは?

 

発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 
 

 

 

 

完成度の高いエンターテイメント系西部劇!

 

前回ご紹介させて頂いた「殺しが静かにやって来る」と、本日の「怒りの荒野」は、アメリカで作られた西部劇ではなく、イタリアやスペインで作られたマカロニ・ウェスタンと呼ばれている作品。

 

これまでの発掘良品でも「荒野の用心棒」「続・荒野の用心棒」「荒野の1ドル銀貨」の3作品しかセレクトされていないマカロニ・ウェスタンは、現代ではあまり観られる方が少ないジャンルなのかもしれません😥

 

ですが、一見するとパチモン西部劇のように思われがちなマカロニ・ウェスタンは、虐げられた人間の残酷な運命や、弱者が残虐な支配者に立ち向かう革命劇など骨太なが多い魅力的な分野てなのです😆🤠😉

 

 

本日ご紹介させて頂く作品は、クエンティン・タランティーノ監督の「ジャンゴ 繋がれざる者」でも使用されているメチャクチャカッコいいオープニング曲で始まる作品😊

 

↑死ぬほどカッコいいオープニングタイトルは…

 

↑そのまま「ジャンゴ つながれざる者」でも使用されています😄

 

 

そんな本作は、正統派のアメリカン・ウェスタンのストーリーに、マカロニ・ウェスタンの生死観を加え、若者の成長譚をプラスした屈指の完成度の高さを誇るエンターテイメント系西部劇の傑作でもあるのです!

 

↑JAZZのジャケットのようなオープニング映像もCOOL!

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

ロン・バーカーの小説を「二匹の流れ星」のエルネスト・ガスタルディとトニーノ・ヴァレリーが脚色、

「さすらいの一匹狼」のトニーノ・ヴァレリーが監督したイタリア西部劇。

撮影は「ローマの女」のエンツォ・セラフィン、音楽は「さらばアフリカ」のリズ・オルトラーニが担当している。出演は「南から来た用心棒」のジュリアーノ・ジェンマ、「夕陽のガンマン」のリー・バン・クリーフ、「野性の眼」のジョルジョ・ガルジュッロ、「続・夕陽のガンマン 地獄の決斗」アル・ムロック、ワルター・リラ、ルカス・アマンなど。

 

 

…作品の解説がありませんねあせるあせる

本作は、貧しい青年スコットが、流れ者の凄腕ガンマンのタルビーに弟子入りし、2人で街を牛耳る大物になってゆくというピカレスク・ロマン(悪漢譚)



ただしピカレスク・ロマンと言っても、スコットもタルビーも根っからの極悪人ではありません。

娼婦の息子のスコットは、父親が誰か分からないという理由で町中の人間から差別され、最下層の仕事しかやらせてもらえない若者。

 
母親が死んだ後、誰も引き取り手がいなかったスコットは馬小屋暮らし。

街の判事は自分の娘がスコットと話す事さえ許さず、酒場のオーナーは店の椅子にも座らせないとう徹底的な差別にあっているスコットですが、人間性はとても良く、お金を貯めていつかは銃を手に入れ、凄腕ガンマンになりたいと思って生きていました。
 

↑判事の娘がスコットと話しかけると
 母親が厳しく咎めます!
 「あんな男と話すんじゃないむかっむかっ



そんな惨めな日々を送っていたスコットの前に現れた流れ者のガンマンのタルビーは、早撃ちの名手。

スコットと仲良くなったタルビーは彼を酒場へと招き入れ、スコットを酒場から追い出そうとした街の住人を挑発し、相手が銃を抜いた瞬間に返り討ちにしてしまいます!!
 

↑馬小屋を探していたタルビーに
 場所を教えたスコットは、お礼として
 酒場で一杯おごってもらう事になりましたが…

 

↑スコットが気にくわない客が絡んできて

 タルビーと口論となり…

 

↑客が銃を手にした瞬間、タルビーの銃が火を噴き

 男を射殺してしまいます!

 

 

目の前の殺人劇に絶句するスコットですが、タルビーは落ち着き払って酒場のオーナーに「先に銃を抜いたのはアイツだ」と言い放ち、裁判でもスコットの証言が決め手となり、タルビーは無罪となります。

 

けれど判決に納得いかない街の住人たちは証言したスコットに怒りの矛先を向け、激しいリンチを行ってきたので、命の危険を感じたスコットは町を脱出し、一足早く街を去ったタルビーを追いかけ弟子入りを願い出ます!

 

↑お、俺、もう街にはいられなくなったあせる
 タルビーさん。俺に銃を教えてくれ!!!

 

 

けれど、スコットの話を聞いたタルビーは、彼の有り金8ドルを受け取った後、いきなりスコットを殴りつけて、ガンマンの心得その1、他人にものを頼むな!心得その2、決して他人を信用するな!と笑いながら言って馬に乗って去ってしまったのです!!

 

↑有り金を渡した瞬間殴られるスコット!

 

↑呆然とするスコットに笑いながら

 西部で生き残る極意を教えるタルビー!

 

 

さて、果たしてスコットは、タルビーからガンマンの心得をいくつ教えてもらえたのでしょう?そして、この後2人の師弟には、どのような未来が待っていたのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑タルビーによって才能を開花させたスコット。

 街に戻って来たタルビーは、もう

 人々に見下される男ではなかったのです…

 

 

 

【私の感想】 他者を教育する目的とは?

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は心情を言葉にしない寡黙なガンマンが登場する事が多いマカロニ・ウェスタンには珍しく、ガンマンのポリシーを言葉で説明してくれている作品😄

 

タルビーはスコットにガンマンの心得を実践形式で伝授してくれたのです!

 

↑時にスコットを危険な目に合わせ

 実戦で危機への対応を教えるタルビー!

 

 

という事は、タルビーは善人なの?

 

 

 

いいえ。

 

スコットを相棒へと育てたタルビーは、悪党を倒して巨万の富を得る事に成功し、その金を元手にスコットの住んでいた街に君臨するようになりますが、それは偶然ではなく、計画されていたもの!!

 

既に老境に入りかけていた伝説のガンマン・タルビーは、引退して優雅な生活を送ろうと考え、その為の手駒としてスコットを凄腕ガンマンに教育していたのです!

 

 

教育とは常に受け手のために行われるものとは限りません。
 
厳しい教育者のようなタルビーが伝えた"ガンマンの心得"には、彼の本当の野望は語られていなかったのです!!


↑スコットはタルビーを実父のように慕いますが

 それもまた、タルビーの計画だったのです…

 

私見ですが、そんな本作のスコットとタルビーの裏のある信頼関係は、現代の社会におけるパートナー関係にも通じるもの!!

 

 

何も知らない若者を雇用する企業は、プロフェッショナルの心得を教えて新人を一人前にして行きますが、それは企業の夢を叶えるための手駒とするための手段であり、残念ですが父親のような無私の愛ではないと思われます…

 

 

そんな本作のラストは、タルビーの教えを復唱しながらも、彼の教えにはなかった独自の心得を持ってタルビーと対峙するスコットの姿が描かれます。

 

 

 

そう。

 

人間は、師匠に師事しながらも、やがては師匠とは異なる夢を抱き、決別してゆくもの!

 

 

 

本作は、スコットがガンマンとして成長してゆく物語だけではなく、師弟関係にあった人間の別れの日の切なさも描かれている泣けるマカロニ・ウェスタンとなっていると思われますが、皆様はどうご覧になるでしょうか?

 

↑タルビーの夢が叶った時は

 スコットとの決別の時でもあったのです!

 こういう別れって、現代の社会でも

 よくある事ではないでしょうか…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

JOJOの奇妙な影響?

というテーマで

 

クロノス

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品!
「ハイ・フィデリティ」

 

 

何故俺はフラれ続けてしまうのか?

自称、誠実でいい男の自分がフラれる原因を知るために、過去付き合った女性たちのところに行ってインタビューを敢行した男は、ふられた原因を他者に求め続けます!

 

そんな彼の癖は、自分の過去の思い出をヒットチャートのようなBEST5にして挙げてゆく事!

 

本作のガンマンの心得とは真逆で、本作の主人公が語るBEST5は、残念ですが傾聴に値するような価値あるものではないのです😅