こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と荒野の三七五六四というテーマで
チャトズ・ランド(1972)
(原題:CHATO'S LAND)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★荒野の三七五六四とは?
本日の作品は、白人の保安官を殺したネイティブ・アメリカンを殺すために、10人の有志が追跡隊を編成し荒野へ向かうという、とてもシンプルなストーリー!!
ですが本作は、一度観たら忘れられないような強烈なインパクトがあるカルト映画!
↑ポスターも只ならぬ雰囲気です!
ネイティブ・アメリカンを追って行った10人の追跡隊は、この世の地獄を彷徨い歩くような悪夢の旅となってゆくのです…
↑二度と帰れぬ地獄への旅…
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
えっ
正当防衛!?
はい。
本作の冒頭、酒場で一人酒を飲んでいたネイティブ・アメリカンのチャトーは、後から酒場に入って来た白人の保安官から「ここは白人の酒場だから出ていけ」と恫喝されます。
チャトーが無視して飲んでいると、保安官はチャトーを撃とうと銃を向け、逆に撃ち殺されてしまったのです
↑「おいインディアン。出て行かないと撃ち殺すぞ」
と銃で脅した保安官は、逆に殺されてしました!
その後チャトーは町を出て行きますが、保安官を殺されて町は大混乱!!
元南軍将校のクインシー大尉は、このままで放っておいてはいけないと、南軍時代の軍服を着用し、仲間5人と共にチャトーを処刑するため仲間集めに出発したのです!!
ええっ!
つまりチャトーは正当防衛であり、チャトーを処刑しようとする追跡隊のメンバーも、正規の手続きを踏んだ人たちじゃないの?
はい。
本作は、正義とは縁のない人たちが、正当防衛で身を守ったチャトーを追い詰めて殺そうとする映画!
ちなみに追跡隊のメンバーは…
①昼間から酔っぱらって寝ていた元南軍の大尉クインシー・パランス!
↑「よし。久しぶりに南軍兵士に戻って仕事だ!」
昼間から寝ていたクインシー大尉は
自分の出番だと大張り切り!!
②クインシーに追随し何となく同行する事となった、ビュール、ホール、ランシング、ダン、ウィルの6人!
↑意気揚々としたクインシーとは異なり
何となく同行したモブキャラのような5人!
③血の気が多く、チャトーを殺すのを楽しみにしているフッカー三兄弟!
↑怒ると見境がなくなるジュバル(左)
女を観ると襲い掛かるアール(中央)
2人にくらべて頭が悪いエリアス(右)
④町の古株たちが参加しているので、乗り気ではないが断れなかった老人ジェシー
↑ああ行くよ。もちろん行くさ!
(本当は人手不足の牧場が気がかりだ…)
⑤この町に来て日が浅いため断るとヤバイと考えたキャビンと、彼の部下でメキシコ人のラウル
↑(ねぇあなた、断れないの?)
(俺たちは新参者だぞ、断ったら後でどうなるか…)
あれれ?
まともな理由でチャトー討伐に参加している人って、ひょっとして一人もいないのでは
さて、そんな追跡隊が向かったネイティブ・アメリカンたちの住む荒廃した土地では、一体なにが待ち受けていたのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
↑唯一、追跡隊として有能なのは
土地勘があるキャビンの部下のラウルですが
彼はメキシコ人だという理由で
チャトーと同じように差別され攻撃されるのです
皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は物見遊山でチャトーを殺しに向かった男たちが、引き返すチャンスを見落とし、上手くいかない事にイライラし、挙句の果てに言葉にするのもおぞましい残虐な行為に及ぶという、集団ヒステリーの恐怖を描いたような作品!
ろくに荒野を旅した経験もないダンは、旅を始めた直後に落馬して瀕死の重傷を負ってしまい、ウィルに付き添ってもらって町へ戻る事になるのですが、謝罪するダンに対してウィルは「いいさ。どうせ乗り気じゃない旅だったから」と呟きます。
↑え?「乗り気じゃなかった」のに
人を殺害する旅に参加していたの
そう。
覚悟のない人間に大任を与えても結果は出せないもの。
本作は、みんなで協議をして無人島で生き残ると言っていた学生たちが殺し合うようになる「蠅の王」や、霧に閉ざされた街のスーパーマーケットに籠城した人々が、恐怖と不審でなじり合うようになってゆく「ミスト」などと同様の、強い意志のない人間が緊迫した状況の時にどうなっていくのかを淡々と描いた異色のマカロニ・ウェスタンなのです!!
↑あっ!人として絶対やってはいけない事を!!
討伐隊は一体どうしてしまったのでしょう?
そんな本作は、ストーリーを追う映画というより、マザーグースの「10人のインディアン」の歌のように、彼等一人一人がどうなっていったのかを、指折り数えて心に刻んでいく映画!!
彼らは最後の一人になってもまだ、自分が何に踏み入れてしまったのかを理解できなかったのです…
↑「10人のインディアン」は
インディアンの子供が一人ずつ死んでゆく童謡!
本作は、そんな「10人のインディアン」の逆で
「10人の白人たち」が死んでゆく映画なのです!
↑「10人のインディアン」の邦訳はコチラをご参照下さい😊
という訳で次回は
俺のミシンは火を噴くぜ!
というテーマで
荒野の無頼漢
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
併せて観たい三七五六四(みな殺し)映画
「情無用のジャンゴ」
もう一作「カルト・オブ・マカロニ・ウェスタン」を挙げるとすれば本作!!!
本作は「エル・トポ」や「ジェイコブス・ラダー」などのような、然るべき人が然るべき時期にめぐり逢う「死について考えるためのヒントとなるような映画」なのです…