こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑬というテーマで

 

エル・スール(1982)

(原題:EL SUR)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

お互いを憎み、殺し合った過去がある国で…

 

Netflixオリジナル作品に「エリート部隊(CUERPO DE ELITE)」というスペイン映画があるのですが、この作品は、スペインの危機に対して、普段はいがみ合っているスペインの各地方の強者たちが一丸となって立ち向かうというコメディ作品😊

 

↑「エリート部隊」(2016)はNetflixオリジナル作品

 

日本人の感覚で考えると、東北、関東、関西、九州、四国などの地区代表が集まった部隊のようなものだと想像されるかもしれませんが、スペインの州に住んでいる人たちは民族や言語や宗教が違うだけでなく、スペイン内戦時にお互いを憎み、殺し合った過去がある因縁深い関係!!

 

↑考え方や行動原理が全く異なり喧嘩ばかりしている

 スペインの各地方のエリートは一つにまとまるのかあせるあせる

 

 

本日の作品は、そんなスペイン内戦直後を舞台にした、絶対に口には出来ないスペイン人同士の暗い過去が描かけた、哀しい物語なのです…

 

↑映画の冒頭、大好きだった父が失踪し涙する少女!

 父はなぜ、娘の元を去ったのでしょうか…

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

父を〇〇〇〇〇た少女が父との想い出を回想し、やがて旅立つまでを描く。

製作はエリアス・ケレヘタ、アデライダ・ガルシア・モラレスの原作を基に「ミツバチのささやき」のビクトル・エリセが監督・脚本。撮影はホセ・ルイス・アルカイネ、美術はアントニオ・ベリソンが担当。

出演はオメロ・アントヌッティ、イシアル・ボリャンなど。

〇〇〇の部分はルタバレとなりますので、伏字とさせて頂きました。

 

 

 

 

はい。

 

解説にもある通り本作は、父と娘の想い出の物語!

 

 

主人公のエストレリャは、父のアグスティンととても仲が良かった女の子。

 

元々スペインの南部出身だったアグスティンてすが、自分の父親と大喧嘩をしてアグスティンは、以降一度も実家に帰る事なく、北部で古い家を借り、妻とエストレリャと共に暮らしていたのです。

 

↑父母と仲良く暮らしているエストレリャ。

 

↑彼女にとって家族は、かけがえのないものでした😊

 

 

ですがそんな幸せな日々の中で、アグスティンにはエストレリャに秘密にしている2つの事がありました。

 

一つはアグスティンが、時より鍵のかかった屋根裏部屋で一人で引きこもってしまう事。

 

↑お父さんは屋根裏で何をしているの??

 

 

もう一つは、母親とエストレリャが熱心に通っている教会に、一度も足を運ぼうとしない事でした…

 

↑まもなくエストレリャの初めての聖体拝受式!

 お父さんは観に来て下さらないのかしら…

 

 

ですがエストレリャの初聖体拝受式の日、遠く南の地からやって来たアグスティンの母親と乳母に誘われ、アグスティンも教会の中へと入ってエストレリャを祝福してくれた上に、式が終わった後の宴席でエストレリャの知らない南スペインのダンスも踊ってくれたのでした😊

 

↑聖体拝受式はアグスティンも見守り無事終了!

 

↑その後アグスティンは、故郷のダンスを

 エストレリャと踊ってくれました!

 

 

…エストレリャの家族は幸せそうですね😊

 

 

 

ですが、この出来事から数年後、父は突然失踪し、二度とエストレリャの元へと帰ってくる事はなかったのです…

 

 

 

 

さて、一体どうしてアグスティンは、愛するエストレリャの元から消えてしまったのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑母親が保管していた南スペインの絵はがきには

 北とは全く異なる衣装の人々が!

 南スペインでお父さんは一体何をしていたの?

 

 

 

口には出来ない過去を背負い…

 

本作の後半では、少し成長したエストレリャが、普段父親が全く語らない南での出来事の片鱗を知ってしまうのですが、それがどんな出来事だったのかはハッキリとは語られませんので、スペインに住んでいた訳でもない私にとっては、それが何を意味しているのかを明確に解説する事はできませんあせる

 

ですがこれは、本作を撮られたヴィクトル・エリセ監督の前作「ミツバチのささやき」でも同様でしたので、監督としては、スペイン内戦前後に国内で起こった悲惨な出来事を、具体的に映像化するつもりはなかったのではないかと推察されます。

 

 

ちなみにスペイン内戦とは、ヨーロッパ内における共産主義とファシズムの代理戦争のようなものであり、共産主義を掲げる政権に対して、軍部がクーデターを起こしたファシズム勢力に対し、国民一人一人の主張やポリシーが混ざり合ったために、家族や親族までが分裂して争う事も珍しくなかった内戦!

 

恐らくですが、情熱的で激しやすいヒスパニック系のスペインの人々は、自分の信じた道を愚直に突き進んだ結果、とりかえしのつかない行為をしてしまったのかもしれません…

 

↑「マーシェランド」という映画は、スペイン内戦終了後の

 フランコ将軍統治時代に行われていたレイプや

 暴行についての作品です。

 

 

 

 

そう。

 

国民の心を分かつ内戦は、実際に参加した世代に、一生口外する事ができない深い闇を抱えさせていくものなのだと思います…

 

↑アグスティンが失踪した事を悟る母とエストレリャ。

 心に闇があるのを知ってても誰も助けられない。

 内戦とは、生き延びた人の心も殺すものかもしれません…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

魔術の本質

というテーマで

 

魔術師

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆