こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と発掘良品の発掘⑪というテーマで
チャイニーズ・ブッキーを殺した男
原題は「THE KILLING OF A CHINESE BOOKIE」(1976)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
本日の作品は、前回ご紹介させて頂いた「こわれゆく女」と同じジョン・カサヴェテス監督の作品!!
…という事は、本作もる"見たくない現実"が描かれている映画?
はい。
本作は、ささやかな幸福を求めていた男が一夜のうちに転落し、闇社会の人間に服従を強要されるようになる残酷な物語。
けれど"見たくない現実"が描かれているにも関わらず、本作のラストは絶望的なものではなく、心がほっこりするような展開が待っている不思議な後味なのです😊
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
えっ
マフィアに借金の返済を迫られたクラブ・オーナーの話??
それって、かなりヤバイ展開じゃないの
はい。
本作の主人公のコズモは、LAにあるクラブのオーナー!
と言っても、コズモのクラブは借金で購入したもの。
借入金を返済し終えるまでは、コズモは正式なオーナーとは言えませんでした…
けれど本作の冒頭で、コズモは最後の借金を返済し終え、名実ともにクラブのオーナーになる事ができたのです!!
↑遂に長年の借金を返済し終えたコズモ。
良かったねコズモ😊
クラブの仲間に優しく接する紳士なコズモは、借金終了を祝って、クラブで働く女の子たちと一緒に楽しめる、ちょっとしたイベントを企画する事にします!
コズモの考えた企画とは、街のカジノに乗り込んで一儲けする事!
↑さぁさぁ、ビッグ・ディールの時間だよ!
↑リムジン乗ってドンペリ飲んで、いざカジノへ!!
けれど借金返済が終わった事で、気が大きくなっていたコズモは、大金をつぎ込んで勝負をして大負けし、カジノを経営しているマフィアに2万3千ドルもの借金をする事になってしまったのです!
…コズモの借金完済は一日で終了!?
もちろんですが2万3千ドルの借金なんて、コズモのクラブを売り払ったとしても支払える金額ではありません。
だからマフィアは借金を帳消しにする代わりに、自分たちの商売敵である中国人ブックメイカー(ノミ屋)の老人の家に侵入して、彼を射殺して来るようコズモを脅迫して来たのです!
↑コズモのクラブに押し掛けて来るマフィアの面々。
コズモさん。借金を返してもらいに来たぜ!
さて、果たしてコズモは、マフィアからの借金を返済するためにチャイニーズ・ブッキーを殺す事ができたのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
↑進めば死、進まなくても死が待つ地獄の選択。
借金で命を売る事になったコズモの明日はどっちだ!?
ところでコズモが借金をしてまで手に入れたクラブは、どんな場所なの?
それは、こんな感じの場所です。
↑はいお客さん。魅惑の街パリへようこそ
えっ
なんかチャチくない??
↑さぁ。素敵なショーの始まりだよ!!
そうなんです。
コズモの所有しているのは、場末のストリップ劇場のようなショーパブ!
↑寄ってらっしゃい見てらっしゃい!!
けれど、そんな場末のクラブだからこそ、コズモのような普通の人間でも、一国一城の主となる事ができたのです😊
↑あ。オーナー。おはようございます。
おはよう、みんな!今日も頑張っていこうな!!
本作で描かれてる"見たくない現実"とは、ごく普通の人間が手に入れる事ができる幸せというものが、他者から見れば取るに足りないチャチなものでしかないという哀しい現実なのです!!
…ですが。
そんな些細なクラブを愛し、仲間たちとの幸福な日々に満足をしていたコズモを観ているうちに、観客はもう一つの大切な事に気づく事にかります。
それは、他者にとっては無価値のように見えるものでも、それを大切にしている当事者にとっては、居心地の良い幸せな場所なのだという事実!
これはきっと、小さくても自分の城を持ってらっしゃるレストランや美容室や中小企業などを経営されていらっしゃる方には、お分かり頂ける感覚なのではないでしょうか?
そう。
ごく普通の人間が手に入れられる幸せとは、たかが知れているもの。
けれど、たかが知れている場所に幸福を感じられる事もまた、ごく普通の人間ならではの特権なのではないでしょうか?
↑この小さな幸せに乾杯!!
本作は、社会の厳しさに対して鋭い眼差しを持っていたジョン・カサヴェテス監督だから見出すことができた、社会の隅っこにしかない幸せの映画でもあるのです😊
という訳で次回は
人類終了のお知らせ
というテーマで
フェイズ IV
戦慄!昆虫パニック
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
おまけ
「グロリア」
「キャバレー」
「ニック・オブ・タイム」