こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑪というテーマで

 

戦場のメリークリスマス

↑英題も「MERRY CHRISTMAS, MR. LAWRENCE」(1983)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

巧妙に隠されたメイン・テーマ

 

本作は、坂本龍一氏の作曲したテーマ曲と、北野武氏演じるハラ軍曹の「メリークリスマス!ミスター・ローレンス」というセリフが有名な作品!

 

↑「メリークリスマス。メリークリスマス!ミスター・ローレンス!」

 

↑あまりにも有名な坂本龍一氏の「戦場のメリークリスマス」

 

 

けれど本作においてこのシーンは、ストーリーの核心とは関係のない「思い出深いシーン」に過ぎず、なんと邦題の「戦場の」という言葉さえ正確な表現とは言えませんあせる

 

↑本作は捕虜収容所が舞台なので戦場ではありません。

 

 

では本作で描かれているメインテーマは、一体何なのでしょう?

 

それは、1983年の公開当時、まだあまり表立って描く事ができなかった男性同士の秘めたる恋愛感情についての映画だったのです…

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

第二次世界大戦下、ジャワ山中の日本軍俘虜収容所を舞台に、男たちの交流を描く。サー・ローレンス・ヴァン・デル・ポストの「影の獄にて」の映画化で、脚本は「愛の亡霊」の大島渚とポール・マイヤースバーグの共同執筆、監督も同作の大島渚、撮影は成島東一郎がそれぞれ担当。

 

えっと…

 

 

確かに本作は「影の獄にて」という小説の映画化なのですが、原作は東洋と西洋の価値観の相克をテーマに描いているようなのですが、本作で中心となって描かれているのは、男性が好き(ホモセクシャル)な方が、それを口にできない状況下で苦しみ続ける作品となっているのです。

 

ホモセクシャルな当時要人物は、全部で6人!

 

 

一人目は映画の冒頭で、捕虜の収容施設に入り込んで男性捕虜と関係を持ったことで切腹を命じられるカネモト。

 

カネモトは、負傷したオランダ兵のデ・ヨンを襲った事で、ハラ軍曹より切腹を命じられます。

 

 

切腹となった経緯は、ハラがデ・ヨンに対して「お前もホモセクシャルか?」と問いかた時、デ・ヨンが自分はノーマルだと証言したから。

 

この状況だとカネモトは、デ・ヨンをレイプした犯人として罰せられる事となりますので、ハラはカネモトを自決させる事で、戦死者扱いとして家族に恩給が付くよう図らったのです。

 

↑捕虜をレイプしたという汚名を負わせたくない…

 ですが自死なら犯罪者扱いされません!

 

 

けれど、いざカネモトが切腹すると、それを見ていたデ・ヨンは、自ら舌を噛み切って死んでしまいます!

 

 

えっ?

 

自分をレイプした犯人が処刑されたのに、どうして一緒に死んじゃったの??

 

 

 

はい。

 

賢明な皆様でしたら、理由はもうお分かりですね!

 

デ・ヨンもまたホモセクシャルな人間でありながら、ハラに対して、その事を告白する勇気を持たず、結果としてカネモトを殺してしまった事に罪を感じていたのです。

 

つまり2人目のホモセクシャルは、デ・ヨンだっのです!

 

↑死にきれないカネモトの介錯をしようとするハラ軍曹。

 けれど、カネモトの死を見ていたデ・ヨンは泣き崩れて

 お互いが声を出さないで"何か"を伝えあっていたのです!

 

 

日本に限らず、1940年当時、自分がホモセクシャルであると公言する事など、まだ誰もできなかった時代には、彼らと同様のホモセクシャルであるとこを「言えない」「言わない」事で起こる悲劇は、数多く存在したのではないと思います。

 

ちなみに、残る3人のホモセクシャルな当時要人物は…

 

3人目は、日本人に住んでいた事がある捕虜との通訳担当のローネンス。

 

↑捕虜仲間から距離を置かれているローネンスが

 同じ宿舎で寝る事になった時、他の囚人がサラッと

 「襲われないよう気を付けなきゃ」と冗談を言いますので

 彼は認知さた結果差別されているホモセクシャルです。

 

 

4人目は、捕虜収容所の所長のヨノイ大尉

 

↑満州にいて226事件に参加できなかったヨノイ大尉は

 恋した友人と共に死ねなかった苦しさを隠しており

 その苦しさを誰にも伝えず、剣術の稽古で紛らわしています…

 

 

そして5人目は、英国陸軍少佐ジャック・セリアズ。

 

↑無謀な作戦に志願して捕虜となったジャック少佐は

 どことなく生きている事を憂いている様子の男。

 

 

彼は青年の頃、自分の弟に恋心を抱きながらも弟と距離を置いたため、弟と絶縁同然となってしまった、辛い過去を持つ男だったのです…

 

↑可愛い弟に恋していたジャックは、それを口にできず…

 

↑学校で兄を頼っていた弟を見捨てた過去がありました。

 

 

さて、自分の想いを決して口に出さない彼らは、ジャワ島の捕虜収容所で、どのような関係となっていったのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑日本兵に拷問されたと肌を見せるジャック少佐でしたが…

 

↑その肌を見たヨノイは、禁断の想いを抱いてしまうのです。

 

 

 

想いを語らず生きてゆく辛さ…

 

えっ!

 

1つの収容所の話にホモセクシャルな方が5人も登場するって、ちょっと多すぎない?と思われる方もいらっしゃるかとは思いますが、ヨノイ大尉の収容所に収容されていたのは600人!!

 

ですので、本作におけるホモセクシャルな方の比率は120人に1人という事になりますので、決して多いとは言えないのではないかと思われますし、恐らくですが本作では語られる事のなかったホモセクシャルな方も多数存在していたのではないかと思われます(ヨノイの部下で切腹した男も恐らくはホモセクシャル)。

 

 

 

そう。

 

LGBTの方の苦しみとは、自分の想いを公言できない辛さ!!

 

 

 

彼らは皆、言葉にできなかった想いによって相手を傷つけた、傷つけられたりしながらも、それを表明する事もなく、心に秘めて生きているのです。

 

 

本作でジャック少佐を演じたのは、かつてジギー・スターダストという役を演じてバイセクシャルを公言していた故デビッド・ボウイ氏。

 

そんな彼をホモセクシャルの役として起用し、誰にも言えないLGBTの寂莫とした心の中を描いた本作は、現代にこそ、改めて内容を論じるべき映画なのではないかと思います。

 

↑ヨノイの語らぬ想いを察し、公衆で抱擁したジャックてしたが

 秘された想いを公言したジャックには残酷な運命が…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

完璧主義者の後悔

というテーマで

 

恐怖と欲望

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

合格おまけ合格