こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と恋に恋する恋人たち2020というテーマで
アデルの恋の物語
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
本作のフランス語の原題は「L'HISTOIRE D'ADELE H.(アデル・Hの物語)」。
おお!
"恋"が付くかどうかを別にかれば、邦題もほぼ同じタイトルのような気がしますね!
けれど、本作のタイトルで重要となってくるのは、ADELE H.という名字の略のH!!
↑英語のタイトルも「THE STORY OF ADELE H.」です!
このHがあるかないかは、アニエスベー(agnès b.)のbと同じくらい重要なポイントとなっているのです!!
↑本作は「アデル・Hの恋の物語」であるべきなのです!!
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
はい。
この解説で、もうアデル・Hでなければならない理由がお分かり頂けたと思います😊
本作は、単なるアデルの物語ではなく、詩人であり文豪であり、多くのフランス国民から愛されたヴィクトル=マリー・ユーゴー(Victor-Marie Hugo)の娘、アデール・ユーゴー(Adèle Hugo)の激して恋を描いた物語なのですが、ここで言う激しい愛とは、ロマンティックなものではなく、狂気に近いストーカーの愛だったのです!
↑夜中に想い人の家を覗き見するアデル!!
かつて英国騎兵中尉ピンソンと恋仲だったアデルですが、ヴィクトル・ユーゴとピンソンは折り合いが悪く結婚話は破談となってしまい、ピンソンはアメリカで勃発した南北戦争で南軍を支援するために、カナダのハリファックスへと赴任してしまいました。
けれどピンソンを忘れられないアデルは、父親に黙って勝手にハリファックスへと赴き、アデルと別れたピンソンへ向けて、熱烈な手紙を何枚も送りつけるようになります!
軍の駐屯地であるハリファックスに、アデルが単身乗り込んで来たのを知ったピンソンは、彼女を諫めて帰国させようとしますが、アデルは頑として帰国を承諾しなかっただけでなく、父親にピンソンと和解し結婚する事になったという嘘の手紙を書いて金を無心し、所持金をはたいてピンソンへの秋波を送り続けるようになったのです!
↑前みたいに私を愛してと、無茶な要求をして断られるアデル。
↑ユーゴに、ピンソンと結婚するという嘘手紙を出すアデル
↑ピンソンに手紙を書くための紙代で食事もとれないアデル
↑栄養失調で、雪の中倒れ込むアデル
↑ほら、現金をプレゼントするわ…。
ユーゴが送金した金を、ピンソンに貢ごうとするアデル
…これはどう考えても、精神的に危うい感じですね
さて、ピンソンへの愛がこじれて、暴走するようなったアデルは一体どうなってしまったのでしょうか?
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
↑憑かれたように謎の文章を執筆するアデルの精神状態は!?
本作は、アデルというストーカー女性の映画として見る事も可能ですが、フランス国民から愛された文豪の娘が、どうしてストーカーのようになってしまったのかを考えると、偉大過ぎる父親の元で苦しみ続けていた少女の苦悩の物語として観る事も可能な映画。
映画の序盤でアデルは、自分の姉が19歳の時にヨットの事故で水死したと下宿先の老女に語りますが、事故があった時、ユーゴ自身は愛人と旅行中で娘の死を看取れませんでした。
そんな性に奔放な父親にも関わらず、ピンソンへのアデルの愛を否定し破談させたユーゴに対してアデルは、終生憎んでいたのかもしれません。
↑アデルに思いを寄せる本屋の主人がサプライズで
父親の名著「レ・ミゼラブル」をアデルに贈った時
アデルの目元は痙攣し、突然怒り出してしまうのです。
そう。
「レ・ミゼラブル」は、悪党ジャンバルジャンが自分の罪を悔いて、心優しいコゼットという少女に無償の愛を注ぎ込み、人生の最後には、先に死んでいった人々から植福され光に包まれて死んでゆく物語。
けれどヴィクトル・ユーゴの人生最後の言葉は「真っ暗な闇が見える」というもの。
これは、彼自身がジャンバルジャンのように光に包まれた最期を迎えられなかった事を意味しているのかもしれません。
人々に尊敬されたヴィクトル・ユーゴの陰で、彼に人生をゆがめられたアデルは、後にパリの精神病院に収容され、誰にも知られずに死んでいったのです…
↑姉妹も、恋人も奪われたアデルは狂人だったのか?
それとも…
という訳で次回は
前轍を踏む恐怖
というテーマで
アリスの恋
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
おまけ
「レ・ミゼラブル」
「オール・ザット・ジャズ」
「ある愛の詩」