こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と人間観察記というテーマで

 

アカデミー 栄光と悲劇

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

ドロシー・ダンドリッジの悲劇

 

スティーブン・フリアーズ監督とマーサ・クーリッジ監督の作品を中心に、人間そのものに興味を持っていらっしゃる監督さんの鋭い人間観察眼で作られた映画をご紹介させて頂いてまいりましたが、いかがでしたでしょうか?

 

 

ラストは、女性監督であるマーサ・クーリッジ氏によって生み出された、黒人女性として初めてアカデミー賞にノミネートされた女優ドロシー・ダンドリッジの悲劇を描いた作品です…

 

↑ドロシー・ダンドリッジ 1922~65年(42歳没)

 

 

 

 アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

『チョコレート』のハル・ベリーが、黒人女優、ドロシー・ダンドリッジの半生を演じたTV映画。女優を目指すドロシーは、結婚、出産、離婚を経ながらも、ミュージカル映画の主役の座を射止める。この映画でアカデミー賞にノミネートされるが…。【スタッフ&キャスト】監督:マーサ・クーリッジ 製作:ラリー・Y・アルブッチャー 脚本:ションダ・ライムズ 撮影:ロビー・グリーンバーグ 出演:ハル・ベリー/ブレント・スピナー/クラリス・マリア・ブランダウアー/オッバ・ババタント

 

…この解説だとアカデミー賞にノミネートされた出演作が分からいので、ドロシーの偉業が分かりづらいですね汗

 

 

ちなみにその作品を監督したのは、ジーン・セバーグ主演の「悲しみよこんにちは」や、マリリン・モンロー主演の「帰らざる河」などを監督した巨匠オットー・プレミンジャー監督!

 

 

作品タイトルは、史上初のオール黒人キャストで作られた「カルメン」!!

 

 

 

カルメンが公開された1954年は、まだ公然と黒人差別が行われていた時代。

 

 

そんな時にヒスパニック女性が演じるカルメンを演じきった勇気ある女優こそが、ドロシー・ダンドリッジだったのです!

 


↑堂々とカルメンを演じきったドロシー。
 

 

という事は、それ以前からドロシーは人気女優だったの?

 

いいえ。

 

 

彼女は、身持ちの悪いタップダンサーの夫と離婚した後、辛酸を舐めるような人生を送りながらも、歌手として評価されていった傍流の女優。

 

 

もちろんメジャーな作品には出させてもらえず、ターザン・シリーズでセクシー担当のような役回りばかり!

 

↑歌手として評価されていたのに、映画ではこんな役あせる
 (「ターザンと密林の王女」より)

 

 

 

けれどそんな時、彼女の才能に惚れ込んだアールという白人のマネージャー。

 

 

アールだけは、黒人差別&女性差別で苦しめられるドロシーを励まし続け、ついには彼女をオットー・プレミンジャーに引き合わせる事に成功します!

 

↑頑張れドロシー!大役を掴むんだよ。

 

 

最初はドロシーを端役に起用しようとしていたプレミンジャー監督ですが、生来の強い性格でプレミンジャーに直接交渉を行いカルメン役を勝ち取ったドロシーは、主役の座だけでなくプレミンジャーの愛人の座も勝ち取る事に成功するのですが、プレミンジャーからの愛はまやかしであり、彼女は再び男性問題で迷走し、ついにはアールを追い出し、別の男性と結婚してしまうのです!

 

 

さて、カルメンで成功したドロシーには、一体どんな未来が待っていたのでしょう?

 

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑私は負けない!絶対幸福になってやる!!

 

 

 

小さな幸せに気づけない不幸

 

幼い頃に父母を失い、変に禁欲的な叔母に育てられたドロシー・ダンドリッジは、家族の幸せというものを実感する事なく、幸せを探し続けていた女性!

 

彼女には美貌と歌唱力が備わっていましたが、ただ一つ欠けていたのは、誰が自分を一番大切に思っていてくれているのかを察する観察眼でした…

 

 

劇中で彼女が選んだ元夫、プレミンジャー、新マネージャー共通点は、自分から彼女に迫っていった男たち!

 

彼らの求愛を受け入れる事が幸せだと感じていたドロシーは、彼女の欠点まで含めて大切にしていてくれたマネージャーのアールの告白しない愛を理解する事ができませんでした。

 

 

そう。

 

 

これは現実でもよくある事だと思いますが、目の前にいる自分を大切にしてくれている控えめな人の愛というのは、あまり気づいてもらえないものなのです…

 

↑南部への講演で、差別的な扱いを受けたドロシーに

 「ぼくも同じ扱いを受けるから」と取りなしたアールを

 そんな事、何の意味もないとなじったドロシーですが

 そんな行為をしてくれる人って、大切なのでしないでしょうか?

 

↑落ち目になり、アルコール中毒となったドロシーを

 それでも助けようと奔走したのは、アールだけだったのです汗

 

 

 

という訳で本シリーズは本日でおしまい。

 

長い間お付き合いいただき、本当にありがとうございました!

 

 

次回からはまた別のテーマで、映画をご紹介できればと思っておりますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

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