「カシミヤは軽くてあったかいよ、10万もあれば今なら買えるんだから」
この言葉をいただいたのは 最後のお勤め先での理事長から。
理事長といってもまだお若くて、世代としては同じ、少しだけ上。
内心 「サラリーマンの給料、カシミアなんて無理でしょ～」
苦笑していました。
でも記憶に残っていまして、ずーっと。
出会いは突然にやってきました。
息子が幼稚園受験の年でした。
コートが欲しくて、でも受験時期だから紺色で・・・
形はシンプルで。
店頭ではコレというほどのモノはなくて
ネットで検索していると・・・ 脳裏によぎったカシミヤがありました。
それも、好みのスタイル。
買えなくもない、カシミアとしてはとっても安い。
でも・・・カシミア？！ 私が？！ もったいない、もったいない！！
でも・・・着てみたい、あったかいって言ってたよ、軽いって言ってたなぁ。。
そうだ、受験ってお母さんはどんな服装なんだーーー？！？！
受験もこのコートでいいんじゃないのかな。
頭の中は大混乱です。
迷って、迷って、ポチっとして。
数日後に手にした時は 感動しました。
「カシミヤ・・・軽い（涙）」
買ってよかった、心から思いました。
そして 大活躍してもらいました。
もちろん、幼稚園受験貢献してくれたと思います。
入園式、卒園式、ずっと共にいてくれました。
今年、一度も着ることはありませんでした。
ここ2年くらい感じていました、もう形が好みでない、古いと。
でも「カシミア」という名が
「大丈夫、まだ着れるよ、着るよ♪」
「ウールとカシミア、カシミアでしょ～～」
いつもいつも囁いてくるようで。
それはコートが囁いているのではなくて
二人の私が葛藤しているんです、綱引きみたいに。
それもうっとうしく感じるようになりました。
このコート、最後に手に取ってみると
捨てない気持ち、選択肢は湧いてこないものの 色々な思いが巡ります。
ちょっとだけ、思い出の旅に。
素材の持つ高級感。
落差のあるセルフイメージ。
この位、着ないと、という見栄。 見栄が満たされていたときの天狗状態（はずかしや・・
）
着ていることで得られた安心感。ちょっぴり優越感（どんな顔してたんだ・・はずかしや）
様々な思い出されるシーン。
思い込んでいた何か、象徴のこれを見ているイタい女だなぁ・・と恥ずかしくもなり、笑えてもきて。
一皮むけた？！そんな気がしています。
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