アタマを使え!
おふくろは4人兄妹の末っ子。上の3人はすべて男。つまり俺の母方には3人のおじさんがいることになる。もう10年以上前になるかな。次兄が亡くなった。豪快なひとで、いつも冗談ばかり言って、酒を飲んで。だけど自分が一代で起こした会社で、必死に仕事をしていた。会社が休みの5月の連休には、京都やらナガシマスパーランドやら、連れて行ってくれた。そのおじさんの生前の口癖が、真也、人より秀でようと思ったら、アタマ使うか身体使うかじぇん(銭)使うかじゃということだった。つまり、アタマを人より回すか、誰よりも人より長く働くか、カネを使って投資するか。それを守ったつもりもないが、いつの間にか、俺も甥っ子に同じことを言うようになっていた。この春、中学に入学した、下の甥っ子は、走るのが好きで、走るのが速い。短距離が得意。陸上部に入って、市で賞状を取ってきた。本人も欲が出てきたらしく、一緒懸命に練習して、ぐんぐんタイムを縮めてゆく。俺は陸上をやったことがないから、技術的なことは、何も言えない。いいか。練習にもアタマを使え。野球の選手が素振りするやろ。なんも考えずに素振りする奴はうまくならん。あそこにピッチャーがいると思って、ストレートがくるんか、カーブの軌道か、フォークの軌道か、一本一本考えながら振ることでうまくなる。陸上も一緒や。漫然と走るな。アタマを使え。結局いつのまにか、おじさんが俺に言ってくれたことを、知らず知らず俺も甥っ子に言っていた。もう耳にタコができるくらいあいつに言ってきた。今日、久しぶりに電話で話したが、また同じことを言ってしまった。それが奏功したのか知らんが、0.5秒もタイムが縮んだと言う!嬉しそうだった。走って、走ってどこまでも行け。努力が成果につながったことは、必ずおまえの財産になる。