労災認定した際に不服申し立てを認めない | GTZ&RSのブログ

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最高裁判所第一小法廷(堺徹裁判長)は、4日(木)に『労働者の迅速かつ公平な保護という労災保険法の趣旨を損なう』として事業主の国の労災認定した際に不服申し立てを認めない初判断を示し確定しました。

今回の(一財)あんしん財団事件の端緒は、2015年(H27年)4月1日付けの配置転換及び人事異動等に依り労働者2名が精神疾患に罹患したことについて、労災保険法に基づき札幌中央労働基準監督署長が行政処分したことの様です。

そもそも、労災保険は、労働者が業務や通勤に於いてケガ、病気及び死亡した場合に、治療費及び休業補償を給付する公的補償制度で、その原資は労働保険徴収法に拠り全額事業主負担となっており、且つ事業主の保険料負担の公平性の確保と労働災害防止努力の促進を目的とするメリット制(労災の多寡に応じて保険料を増減)があります。 

従って、労働保険徴収法第12条第3項に拠り、労働災害が多く労災保険の給付が多い事業所は負担する保険料が増額されますが、今回の(一財)あんしん財団事件では、国を相手として、当該財団の労災保険法に基づく行政処分(労災認定)の取消しを請求したものです。

  • 1審:東京地裁・2022年(R4年)4月15日-国勝訴(使用者の原告適格を認めず)
  • 2審:東京高裁・2022年(R4年)11月29日-国敗訴(使用者の原告適格を認める)
  • 最終審:最高裁・2024年(R6年)7月4日-国勝訴(使用者の原告適格を認めず)・確定
        裁判官5人全員一致

今回の最高裁判所の判決では、一度認められた労災認定が後から取り消されて労働者の立場が不安定になる懸念を回避させるものとなりました。

なお、労働保険徴収法メリット制(労災の多寡に応じて保険料を増減)については、所謂労災隠しを誘発するとの懸念もある様です。