Spin the memory | ポラ丸の競馬推理ノート

ポラ丸の競馬推理ノート

一口馬主と馬券 謎解きの日々

22年生まれの2番手はこの馬

ハリウッドメモリー(スピニングワイルドキャット22)

 

■2/29のクラブコメント

この馬を語るには2/29のクラブコメントに触れないわけにはいかないだろう。2歳馬の近況報告で本馬を三石育成馬の一番馬と言い切ったコメントだ。自分は既に複数口出資していたのだが、その時「チッ余計なことを」と思ったことを覚えている。

 

自分らしさがない所作は馬券でも一口でも好きでない。馬選びなら「誕生日が一緒」「母馬に出資」「顔がきれい」「馬体のバランス」・・なんでもいいが、そこに自己判断と愛情があるのが前提。クラブがこう言ってるから出資という方とはあまりご一緒したくないのだ。走らない時にああ言ってたのに、あの値段なのにというのをそばで聞くのもイヤだ。

 

■何故あのコメントが

この子へのコメントがそれまで悪かったわけではない。むしろ自分は極上の評価だと思っていた。なんでこれだけ書いてるのにこの子に票が集まらない?あれだけ兄オールライトが人気したのに何故この子は低調?とクラブが悔しい気持ちになったのは当然?

 

気持ちは分かるけどこの子が一番となれば他の馬は一番ではありえない。言い換えれば会員みんなにチョッピリの落胆をプレゼントしたとも思えるのがどうなんだろう。

 

■調教

この子の調教仲間はゼストちゃんとオールフォーラヴちゃん。どちらの場合でも2番目を走っている。走り方は地味。一見モッサリついていってるだけにも見える。しかし見方を変えると今期のお嬢さん方の中で抜群に走る2頭に地味な走りで遅れないのが凄いとも言える。

 

■リーダー

この子は幼少期から女の子組のリーダーで群れの先頭を走っていた。馬は本能でリーダーが分かる。彼女もリーダーらしく先頭に立つと群れ全体に気を配ったのだろう。今調教でも先頭に立つとスピードが落ちるのはそのためではないか。

 

入厩して本番で走った時に一緒に走ってるのは仲間じゃない、仲間の代表で「競争」してるんだということをこの子が理解できるかどうか。大成の鍵はそこだと思う。

 

■長谷川浩大厩舎

まだ若い先生だけにクラブ会員の中には懸念の声も少しは目にする。しかし自分は全然そんなことはないと思っている。なんせ騎手・調教助手時代、調教師会会長を務めた怖いテキの下で最後まで勤め上げた精神力はハンパない。

 

昨年度預かったロード馬はメルトユアハートとロードバロンドール。まずメルトユアハート。入厩したこの馬に対して長谷川調教師は前代未聞の対処をした。「返品」。まだ入厩すべき状態にないと言って北海道に返してしまったのだった。普通なら馬主様に逆らうことは調教師には出来ない。まして相手が牧場では仕事ぶりが悪いと叱ってるようなものではないか。

 

当時これを聞いてどうなるか楽しみだった。そして面白いことにこの長谷川調教師の率直さがロードの琴線に触れたのだと思う。この子を預託したのが証拠。

 

そこから逆に推理するとこの子は本物とも言える。信頼関係があるところでバトンタッチされるのは可能性のある競走馬なのだ。

 

めでたくメルトユアハートも先日勝ち上がった。

 

もう1頭のロードバロンドール、これは自分の出資馬でもあるのだが、この子の処遇にも不満の会員の声を聞いた。もうちょっと何とかならなかったか、見切りが早すぎるというのである。それは間違い。競走馬の能力不足はどうにもならないものだ。早く見切ったのはむしろ会員のためであって、調教師的には預託料をもらいながら恰好をつけるほうが楽。

 

入厩してすぐこの子は中央では足りないと判断したのだろう。短い期間に様々な条件で5戦して、条件の問題ではないことを示し、かつ未勝利引退では精算時に最も出資者に還元される5戦のキャリアを消化した。短期間であったので出資者にとってはカイバ代の負担が少ない。馬自身にとっても地方で目が出るならば早く行く方がいい。

 

ただ自分自身の恰好をつけていないので誤解されることもあるだろうがそれを恐れなかったということだろう。

 

ぜひこの厩舎でハリウッドメモリーが華やかな活躍をすることを願いたい。

 

(了)