今回の連続テレビドラマ「らんまん」は、主人公のモデルが植物学者の牧野富太郎で、面白い
欠かさず見ている
先週から今週は、東大の田辺教授から『学歴のない君が、新種植物の発表をしても誰も信じてくれない。君は私のものになりなさい (教授の植物採取と標本つくりの下働きになれ)』と言われる
万太郎(主人公)は断り、自分で植物雑誌の発行を考えるが、諸般の事情で自分の植物図鑑の発行を計画する
今の日本の研究者を取り巻く環境も、その頃の悪習を挽きずっているかと、感心
研究者が論文を雑誌に発表するとき、関係の無い上司が、『自分の名前を著者にに入れろ』などと割り込んでくる
研究論文は、著者名の一覧があり、先頭の一人がファーストオーサー(第一著者)、次がセカンドオーサー(第二著者)と呼ばれる
第一著者は研究の基本を発想し、研究を中心になって進めた人、第二著者は研究に大きな助けとなった人で、第三、第四と順に貢献度が薄くなる
欧米諸国では、第一著者、第二著者の定義がはっきりしているので、発表の際に何も迷わない
日本では曖昧なので、誰を何番に入れるか、何処まで入れるか、迷う
そこに付け込んで、何もしていない人が権力を傘に割り込む
日本の場合、研究に関与しない上司が割り込んでくることが多い
特に企業内研究はその温床
パワハラが幅を利かすのが、日本の研究者にとって嫌なことの一つ
私が経験した最も酷いパワハラを紹介
ある大学教授からの依頼で、医薬品開発の百科事典的な全集の一部の執筆をした
全15巻の内の一節だ
残業もつけられず、自分の時間を使って完成
会社の発表許可を受ける手続きをした
執筆者は私ひとり・・・・研究には専門があって、その依頼の執筆ができるのは社内に私しかいなかった
執筆したことを忘れたころ、出版社から私が執筆した巻が送られてきた
みたら、私の上司が第一著者に入っていて、私が第二著者
社内で稟議が終わってから、原稿が出版社にわたる間に、著者名が改竄されていたのだ
このような研究の著作物は、「知的財産」と呼ばれて、お金とか貴金属と同様に、個人の脳の中にある「財産」なのだ
それを盗むなんて
驚愕! しかも、執筆料が丸取りされたらしく、一円も貰えなかった
研究の先進国の外国だったら、間違いなく裁判沙汰で、私が勝訴する
日本では、周囲を慮って訴訟さええできない
その本は、見るのも嫌だが、悪い輩はどこにでもいるという教訓でもある
今の日本は、西欧諸国に近づいているとはいえ、
研究者、特に企業内研究者はこうした不条理に悩んでいる人が多い
これでは、研究者の意欲が薄れて、優れた頭脳は外国に行ってしまう
ノーベル賞を日本が受賞というが、日本生まれ学者が、外国で成し遂げた研究が大半
何とかしないと、日本はますます衰退する