人にはみな他人から理解されないことがある。

 

なんでそんなことが、なんでそんな人が、と言われてみれば自分でもおかしいなと思うのだが、すっかり気持ちはそっちに向かってしまっていて引き返す気にもなれない。

 

そんな対象があたかも自分のことを待っていたのではないか、とある程度勘違いして思い詰める。自分こそがその対象を何とかしなければならない、というへんてこな使命感に燃えてくる。誰もがそういう体験をしたことがあるだろうと思う。

 

🌻

 

コーヒーなんて飲むのは年に数度、すすめられたり訪問先でお茶代わりに出されて飲む程度であった。

 

それが暑いタイでガンガンに冷やされた甘ったるいコーヒーに出会って目覚めた。なんだこのうまさは(賛同できない人は多数いると思うけど)。体が求めていたものを摂取しているという満足感。このあたりでコーヒーという今まで無縁だったものが自分の領域に入ってきた気がする。

 

日本に帰るとそんなことはすっかり忘れてコーヒーは頭の中から消えていたようだが、実はそうではなかった。体のどこかに巣食っていたようだ。ちらりと、千葉にはマックスコーヒーというものがある、と耳に挟んで気になった。自分の中のコーヒーアンテナが伸びてきていたのだろう。しかも甘ったるいというから決して高級品ではなさそうだ。

 

まあ、その時は、ふーん、と思ったぐらいだった。

 

それが先週末に車の運転の眠気覚ましに買ったドトールのペットボトルのコーヒー(カフェオーレだったかもしれない)を飲んでタイのコーヒーに味が似ている!と気づき、そういえばマックスコーヒーっていうのもあったのだと思い出し、それは希少な存在のようだし、是非一度飲んでみたいものだと思うようになった。

 

🌻

 

そんなことをちょっとブログに書いたらCornさんから驚くべき情報が飛び込んできた。マックスコーヒーだったら日医大の前の古本屋の自販機にありましたよ、ということだった。

 

日医大?その永山駅のそばのあの病院か?だったら自宅からすぐではないか。

 

職場からの帰り道の途中、というにはかなり無理があるが、帰宅途中に寄れないところではない。帰宅路から多分3キロも迂回すればその自販機にたどり着けるはずだ。自転車で出勤した昨日、早速行ってみることにした。

 

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いつになったら架け代わるのか分からない万年工事中の関戸橋で多摩川を渡る。そのまま鎌倉街道を西に向かって進んでいく。オリーブの丘の交差点で南に進路を変えて永山駅に向かって登っていく。日医大はすぐに見つかった。

 

 

こんなところに本屋があるのかな、と思ったが本屋もすぐに見つかった。自販機もある!

 

 

これか。

 

 

因みに金剛号のサドルは近々交換するつもり。

 

 

Coca ColaとかBOSSと書かれた単色で無機的な自販機が多い中、この自販機はなかなかユニークな立ち姿をしている。そういえば秩父歩き巡礼をした際、見かける自販機はほとんどがDAIDOであった。自販機にも地方色があるのかもしれないな。

 

そんなことはどうでいい。

 

さて、マックスコーヒーはどれだ?

 

 

ない?

 

ないぞ。Cornさん、ないよ。

 

さつまいもミルクとかヨーグルンソーダとかルートビアとか、かなり個性の強いドリンクが目白押しだが肝心のマックスがない。

 

この自販機を見てある仮定というか推論を思いついた。

 

自販機の右下を見る。ドトールのカフェオーレ(今はカフェオレというのか)がある。おれが週末に飲んだのはペットボトルだったがここではアルミ缶だ。中身は同じものだろう。

 

推論とはこうである。マックスコーヒーは千葉の弱小メーカーが作ったものであるそうだが、ドトールという大資本に吸収された。そして企業経営の常として製品ラインアップの整理統合が行われ、あわれ、マックスコーヒーはドトールのカフェオーレと味が酷似しているので廃版となった、、、、

 

なんと寂しい推論だろうか。自販機の前に佇んでいたおれは、おれは正気に返った。

 

そんなことはなかろう。たまたま商品の入れ替えがあったに過ぎまい。マーケティング論の中のナントカ戦略というやつだ。顧客の目に新しいものをさらして購買意欲をさそう方法だ。きっとそうに違いない。

 

桜の時期には多摩の目黒川といわれる乞田川。そんなこと言ってるのはおれだけか。流れ続ける乞田川を眺めていたら、ますますマックスコーヒーが飲みたくなってきた。

 

 

しかしマックスコーヒーを探し出すのはなかなか難しそうだ。インターネットなどを使えばいくらでも情報を得ることができるが、その手を使って探してはおもしろくない。自分の足と口コミ情報だけを頼りにマックスコーヒーを見つけ出すことにした。また変な楽しみが出来てしまった。これは単なるPleasure(楽しみ)でもLeisure(余暇)でもない。Quest(探求)とでも呼びたくなってきた。

 

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坂を下って鎌倉街道を東に向かって帰途に就く。

 

鎌倉街道のサガン鳥栖、いや左岸を滑走していく。と、最後にCornさんばりのギャグを放っておく。

 

ムフフフフ。