目が覚めた瞬間はっとして、ここはどこだ、今何時か、今日はなにするか、とすごいスピードで頭を回転させることがある。


それはごく平和的な夢の途中に突然訪れる。天上から突然現世に生み落とされた気がする。旅の途中によく起きる現象で、まさに今朝がそうだった。


爆睡していたようだ。灯りをつけっぱなしで寝ていて、空調は適度に効いている。ここどこ?ドバイ?朝遅い?今日はどこへ?


ここはドバイだ。リヤドからバンコクに行く飛行機の乗り換えで一泊だけしてるはず。時計を見るとまだ夜中の0時を回ったところ。詳しい時間は忘れたが、翌夜中の飛行機でバンコクへ行く。バンコクへは直行便ではなくてバーレーン乗り継ぎだったはず。今ここにいて何も問題ないようだ。


二日酔いもしてないし、ホテルは1時間だけだがただでチェックアウト時間を延ばしてもらってある。飲み直すか。


5日間のサウジでは2回出張する分以上に仕事ができた。サウジに行くよ、と言ったら、現地で会いましょう、という人が次々に現れて毎晩酒なしの仕事と接待で、毎晩睡眠時間は2時間くらいだった。会えば仕事も情報ももらえるし、それを整理して会社に指示することは指示し、調べててもらうことは依頼する。驚くような話があったりして2時間寝るのももったいないくらいの楽しい毎日であった。


そういえば、ホテルにはプールがあったし海パンも度付きのゴーグルも持っていたのに、泳ごうという気もおきなかった。


なので酒がないというのはほとんど苦にならず、むしろ酒抜きでないとあれほど仕事は楽しめなかったと思う。一方、サウジにいた間は相当プレッシャーも感じていてみたいで、何しろ先月は大雨で飛行機が飛ばずにドバイまできたものの主戦場たるサウジには行けなかった。行けないと分かった瞬間、間を開けずにすぐ来直すとその場で誓った。来たからにはできる仕事は全部するつもりでやって来たのだ。


仕事が済んで、取引先の方にリヤド空港へフェラーリで送ってもらっている途中ですっかり緊張感がゆるんで珍しく居眠りするところだった。動画を撮っておく。



取引先の二人が前席で話をしているが、インド語でなにを話しているのか全く分からない。ミーティングでもよくあることだ。そういえば、フェラーリに後部座席なんてないか。


そんな日々を過ごしてドバイに来た。空港の免税店でウイスキーを買ってホテルに入ったのは夕方だった。5日ぶりの酒だ。


さらば、リヤド。



こんにちは、ドバイ。





免税店。



先月来たばかりなのになぜか懐かしいドバイの町。



つまみはサモサとシャワルマ。





今回最後のビリヤニ。




脱力、睡眠不足、達成感、これからまだある先の行程など、夢の途中で現世に生み落とされるには条件が整っていたと思う。


飲み直して目が覚めたら7時前だった。調べたら今日の飛行機のドバイ発は夜の9時であった。チェックアウトするまでホテルで何もせずのんびり過ごそうと思う。自宅を出てからこんな時間をとるのも、とろうという気になるのも初めてだ。日本も今日は休みだし。


飲み残しのウイスキーのボトルを下着類で包んでスーツケースの中心に納めた。