バンコクでは定宿は決めてないが、カオマンガイを食べる店はいつもここになる。
ファランポーン駅の近く。
行くたびに道に迷い、チャイナタウンのディープな迷宮にさまよい込んでしまう。嫌いじゃないけど油くさい小規模金属加工業者の集まる地帯に埋没したりする。一度はまると抜け出せなくなる不思議な地域。
この中華門のロータリーがなんだか方向感覚の仇になってる気がする。いくつもある放射状の道。ロータリーを回っているうちに誤って魔界へ堕ちる小径に足を踏み入れる。
今日は大丈夫だった。
タイの典型的な店構え。
鶏の蒸しと揚げのミックスのカオマンガイ。
コーラに氷が欲しかった暑い朝。
たれも生姜もトウガラシも取り放題。
蒸しと揚げ。
どちらも肉がしっとりしている。
揚げものにはスイートチリソースを使う人が多い。たしかに合う。このソース、自宅みやげに買って帰るのだが、なぜか日本では出番が少なくよく使い余す。でもまた買って帰る不思議。
食べ汚したところで失礼。ディテールをお見せしたくて。米も鶏のダシでふっくら炊けている。
95.55バーツ。細かいが安いといえる。
LOTUSに寄って息子へのみやげを買う。風呂上がりなどにつけるとヒヤッとすっきりする、蛇印のパウダー。きれい好きでお洒落な息子にぴったりだろう。36バーツ。評判のいいタイの歯磨き粉も買っておく。
歩いて地下鉄の駅へ。
タイらしい雑景を2点。
電線。タイに限らないか。
祠。
地下鉄とスカイトレインを乗り継いでMBKセンターへ。サイアム駅から歩く。冷房の効いたハイソなビルを渡り歩きながら。肩に背負っているリュックは10キロ越えているだろう。ずいぶん旅行下手になった。
巨大なショッピングセンターだが、買いたいものはなし。このフロア、ぜーんぶスマホ関係の店。
遅い昼食。
まだそれほどお腹が空いてないが、のどが渇いた。6階の大きなフードコートへ。
ここには日本人がたくさんいる。
軽くパッタイにしておく。
トウガラシと砂糖をバサっとふりかける。
コーラの大と合わせて100バーツ。
パッタイは結構量があって味もよかった。フードコートをみくびってはいけないな。
食べ終わってもなかなか立ち上がる気力が出ず。しばらく一人でたむろする。レシートをみたらコーラは中だった。指差し注文したのだが。ぴったり100バーツのはずが10バーツのおつりになった。
ドンキがあった。
CMJはバンコクで買うと400円以上する。
日本に住んでてよかった。ミックスナッツはなかったが、あったら4000円してた計算になる。
サイアム駅からスカイトレイン2駅でパヤタイ駅へ出て、そこから空港レールリンクで空港へ。とうとう帰国だ。
だが飛行機の出発はまだまだだ。
空港横の職員向けのミニマートへ。もしかしたらあれ売ってるかも。
あった。空港で50バーツは高くない。
おれはタイで飲むシンハビールよりうまいビールを知らない。
一気飲みした。
飛行機は格安なので食事はおろか飲み物も出ない。
預けていたスーツケースを引き取りタイで過ごした3日間の荷物をリュックから移す。預け荷物の制限重量20キロ以内には収まってるだろう。
オンラインでチェックインしてあったので預け荷物をカウンターで渡して身軽になる。スーツケースは18.3キロだった。
地下のセブンイレブンでこれ。
67バーツ。350mlよりお得だった。
全く酔わないし、それは期待してない。
かいた汗と同じ成分を補給しているだけとしか感じられない。
成田までのフライトは気流に乗ったのか予定より50分早く到着。
日本は休日の朝。
とりあえず空港のコンビニでビール。
タイとの時差2時間。時差ぼけと呼べるほどのものはない。旅の後は心身ともに疲れるものだ。楽しかった旅の後ほど、現実に戻った虚無感もある。体は帰ったがまだ心は家路のはるか後方をさまよっているような不思議な気分。これも一種の軽い幽体離脱か。
旅をやめたくないのか、時間がある時は成田からは特別料金のかからない電車でのんびり帰る。日暮里へ。そこから山手線から私鉄。
駅から自宅はスーツケースを引いて歩けない距離ではないが、億劫なので久しぶりに100円のコミュニティバスを使ってみる。バス停の路線図を見ると結構複雑で2路線あるうちのどっち方向に乗るべきかしばらく考える。バスでドバイからアルアインに行く方が単純だ。
そういえば「押したくなるもの症候群」の一つの、バスの降りますボタン、を押す滅多にないチャンス。
押そうと思ったら誰かに先に押された。
知らされてはいたが、自宅には誰もおらず、猫三匹も集まって昼寝中で、玄関を開ける音で目を覚ましたものの、あれ帰ったの、みたいな顔をしてまた眠りに落ちた。
泥のように疲れてるのに、なんだか心のエンジンが
低回転ながら止まらないみたいで、猫の真似して寝てみようとしたがかなわず。
二日ぶりに髭を剃る。
思ってたより顔が日焼けしていた。